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普段色々考えていることの日記です。

ヘタリア感想2

2008年04月03日 | 漫画
ヘタリアについてちょっとまじめな感想2

 さて、このようにまじめな理論をぶったあとで、『ヘタリア』について感想を言いましょう。
 ジェンダー論的には、擬人化された国はほとんど男性で男性→女性という構造はないのでぎりぎりの範囲でクリアという感じでしょうか。国同士の関係も男の友情という範囲において語られています。
 ただし、オーストリアの半植民地国だったハンガリーが女性だったり、一コマだけですがイギリスの植民地として登場したアジアの国が女性だったりしているので、もしかすると「本国→植民地」=「男性→女性」=「支配→被支配」という関係があるかもしれません。
 また、イギリスは先ほども言ったように連合国家なのに、スコットランド、ウェールズ、マン島、チャンネル諸島、北アイルランドの存在は無かったモノとして描かれています。またアメリカも黒人とかヒスパニア人の存在について言及されたことはありません。カナダに関しては、昨今移民してきた中国人や韓国人の存在をまるで自国の異分子であるかのように描いています。
 さらに「○○人ジョーク」というのを擬人化された国の性格に取り入れていたりします。
 例えば「○○人が電球を取り替えるのに何人いるか? 答えは三人。一人がテーブルに乗って電球を持ち、あとの二人がそのテーブルを回すから」というモノです。
 これはそのジョークにした人を誹謗するモノで、聞いた本人にとって決していい気持ちがしないモノです。
 さらにこのジョークには実は民族差別も含まれているのです。例えば上記のギャグは、アイルランド人、ポーランド人、ロシア人などに使われます。これらの国々はヨーロッパの中の植民地といわれ、遅れた国と考えられている国です。ロシアはさらに共産主義国という偏見も含まれて、意地悪くジョークにされていたりします。

 そもそも「へたれイタリア」という評価そのものが正しいのでしょうか?
 私は国家の戦争には命をかけないくせに、自分の戦いには命をかけるイタリア人が大好きなので、そんなイタリアを「へたれ」と呼ばれること自体に違和感を感じます。
 実はイタリアは北部はともかく南部はムッソリーニに対する反感が強く、まじめに戦争しないというのもイタリア人流の抵抗運動だったんじゃないでしょうか?
 実際にレジスタンス活動はフランスと同じように盛んでしたし。
 そして、「へたれ」というと実はドイツも日本もそうなんです。
 ドイツは敗戦し始めてくると、死守命令のヒットラーの命令を無視して次々と連合軍に投降していきましたし、日本も「本土決戦」などと国民にうそぶき、沖縄まで犠牲にしながら結局あっさり無条件降伏をしているのです。
 アメリカはほとんど死に体のドイツにぼこぼこにやられていたりしますし、イギリスは「バトル・オブ・ブリテン」などと格好いいことを言っていますが、ドイツに手も足も出なかっただけだったりします。
 パリを落とされながらレジスタンス活動で抵抗したフランスや、日本にめちゃくちゃにされながら耐えた中国や、モスクワの手前まで攻め込まれながらそこから持ち直したロシアの方がよっぽど骨があります。

 まぁ、漫画自体はすべてギャグというオブラートに包んでいますし、国家間の国際的な関係を説明するには擬人化が一番手っ取り早いのは事実です。
 これが縁で世界史や国際情勢に興味を持ったという人も多いようで、「ひきこもり」日本としてはいい傾向ではないでしょうか。
 さらに漫画は、国の擬人化というレベルを超えて個々のキャラクターが立ち、もはや帝国主義とかそんなこと以前の世界で物語が紡がれています。
 だから、漫画がギャグの範囲で語られるならいいと思います。
 ただし、やはり擬人化はそのままその国の国民性を象徴してしまう危険もあるので、楽しむ人はそこを十分気をつけなければならないと思います。
 民族差別や人種差別は決して過去の遺物ではなく、現在もなお存在するものです。
 そしてこの差別により多くの人が命を失っているのも事実です。これは決して戦争だけの話ではありません。2005年アメリカのニューオリンズを襲った台風により多数の死傷者が出た事件も民族差別、人種差別の結果です。
 この事を描く側も見る側も良く頭の中に叩き込んでおく必要があると思います。
 そうすると二次創作(同人)サイトにおいて、「原爆萌えw」「○○が××侵略すればいいのに」「第三次世界大戦起こらないかなぁ」という発言は自然と出てこないと思います。


 差別と戦争は常に人の命を奪い続けています。
 そして、抽象的な存在である国とは違い、そこに住む人々は血肉を持った存在としてそこに生きているのです


以上、ヘタリアのまじめな感想でした。


1 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-06-18 09:51:56
ヘタリアに対してまじめな感想はやめてください。
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