オカンとワンコ

過去と他人は変えられない 自分と未来は変えられる

「生きるぼくら」

2022年04月10日 12時02分25秒 | 読書
「生きるぼくら」原田マハ著を読了しました。


【画像】原田マハ著「生きるぼくら」

読み始めて、なんだか既読感があることに気付いた。
ずいぶん前のドラマ「妖獣マメシバ」と始まりが似てる。
長く引きこもっていた主人公はある日、
前触れもなく母親が家を出ていき途方に暮れる。
(どちらも父親はいない)
そして否応なく外に出ていくという始まり。

本の主人公の場合は虐めが原因で高校を中退し、
働き始めるも人間関係がうまくいかず、引きこもってしまうのね。
母親は朝から夜まで働き詰めで生活を支えていたけど、
家賃や通信料金は今まで通り払込むという手紙と数枚の年賀状を残して、
アパートを出て姿をくらますのです。
主人公が嫌悪する「梅干し」の入ったおにぎりを置いてね。
この「梅干し」がね、なかなか重いのよね。

携帯さえあれば何処とでも繋がって何でも出来ると思っていた主人公。
しかし頼れるのは結局「人」の繋がり。
父親の郷里で一人暮らすばあちゃんを訪ねていく。
そこには自分こそ孫だという女の子がいてね。
なんだかんだで三人で暮らし始め、
やがて人生(主人公の名前)の「人生」が変わってくるのよ。

ばあちゃんが長年続けてきた全くの自然農法の米作り。
燻炭も手作りして籾から苗を育て、
多くの人の手を借りて苗を植え、
夏の間の草取りや、実りの前の動物よけなど、
それはそれは、次から次へと手がかかる。
稲刈り後、稲架掛けして乾燥、脱穀、籾摺り、精米。
そうして口に入る米になる。
米を作るのに八十八の手間がかかると言われる所以が知れました。

食べるという事を粗末にしているオカン。
物語の内容とは別に、チクチク胸が痛みました。

義父さんの作るお米は美味しかったな。
今になって分かる有り難さです。