黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

学生自治の悲哀

2008-08-24 01:20:46 | 時事
 黒猫です。久しくご無沙汰しております。
 相変わらず病気療養中の身ですので、本格的なブログの更新再開はもうしばらく後のことになると思います。

 そんな中ですが、8月22日、23日と、公認会計士試験の論文式試験を受験してきました。今年勉強を再開したばかりである上に、体調悪化でろくな準備も出来なかったので、仮に受験したところで合格できるはずもないのですが、とりあえず気力を振り絞って受けてきました。
 今年から公認会計士試験の論文試験では全科目で法令集が配布されることになったので、法令集を見ながら司法試験のような感覚で解答を書き、まあ個人的にはよく書けた方かなと自己満足しているのですが、どうせ後で錯覚だったと気付くだけでしょう。
 ただ、気になったのは会計学の午後試験ですね。通常、会計学の論文試験は計算問題と論述問題が半々くらいなのですが、今年の午後問題は大半が論述問題で、計算問題は申し訳程度にちょこちょこあるくらい。それでいて計算問題の資料が異様に長くて、どこから手を着けて良いか分からないような問題で、まるで計算問題は解くなと言わんばかり。なので、計算問題は捨てて、論述問題の答案作成に全力を注ぎました。
 もっとも、そのように考えたのはどうやら黒猫だけらしく、周囲の受験生の多くは配布された法令集には目もくれず、ひたすら電卓を叩き続けていたのが印象的でした。黒猫はこれまで数多くの資格試験を受験してきましたが、明らかに自分だけが他人と違うことをやっているという体験をしたのは今回が初めてですね。

 そんなことはどうでもいいんです。公認会計士試験の会場は早稲田大学の早稲田キャンパスだったのですが、そこで、最近早稲田大学社会学部の自治会が取り潰しにあって、その問題に関する東京高裁の判決があったことを知りました。判決文はまだ読んでいませんが、学生側の抗議の立て看板を読む限り、どうやら自治会室の撤去手続きには問題があったことを認めながらも、結論として自治会の公認廃止は適法と判断されたようです。
 自治会や学友会といった組織は、大抵どこの大学にもあると思いますが、学生自治の気風などはとうの昔に消え失せてしまった大学の中で、自治組織を運営していくのは結構大変なことです。
 東京大学教養学部の学生自治会は、定員20名の常任委員会、各クラス2名の自治委員で構成される自治委員会、各7名の代議員で構成される代議員大会という機関があり、クラス数を考えると自治委員は200人前後、代議員は1000人前後いるはずなのですが、黒猫が在学していた頃には、一部の例外を除いて、自治委員会も代議員大会も実際に出席しているのは20人ないし30人程度というのが一般的になってきていました。会議の定足数を満たすため、民青の人たちが必死に電話入れをして議場委任を取り付け、やっと会議を成立させていたのです。
(注:民青とは、日本民主青年同盟の略で、日本共産党の青年組織です。東京大学教養学部の学生自治会では、民青の人たちが長年執行部の主導権を握っていました。今はどうなっているか知りませんが。ちなみに、黒猫は民青には所属していなかったので、自治会執行部の中では反主流派のような立場にありました。)
 一時期、黒猫は自治会の常任委員をやっていたことがあるのですが、その頃には常任委員会の出席者も5~6名程度で、これも議場委任を取ってやっと成立させている有様でした。常任委員の候補者を20名揃えるのにも苦労していたようです。
 早稲田大学社会学部の場合はさらにひどく、大学側の掲示によると自治委員会などの出席者は学外者を含めて10人前後、常任委員も数名、果てには本人の承諾もなく学生が勝手に役員に選任されるといった事態を起こすまでに落ちぶれていたようで、これにより大学側もとうとう公認廃止に踏み切ったようです。
 今にして思うと、民青の人たちは、学部による自治会潰しの口実を与えないために、周囲から煙たがれながらも、誰も知らないところでひっそりと努力を続けていたんだなあということが分かります。
 黒猫も、教養学部学友会の会計理事のほか、学生自治会の会計と法学部緑会の会計をやり、学生時代は衰えゆく学生自治の組織を必死で守ろうとしてきた人間の一人ですが、今にして昔のことを思い出すと、学生自治というのは一体何だったのかなあと考えてしまいます。
 学生の自治組織がやっていることは、所詮学生が自分で考えてやっていることであり、学生時代に自分がやっていたことを思い出せば、はっきり言ってデタラメもいいところです。しかしそれでも、黒猫は学生達が自分で物事を考え、自分で実行することに学生自治の意味があると思っているのです。当時も今も。
 はっきり言って、最近は自分で物事を考えようとしない人たちが多すぎます。司法試験や公認会計士試験を受ける人たちの中にも、何事も予備校の教える暗記に頼って、自分で物事を考えようとしない人たちがいて、黒猫の見る限り、そういう人たちが司法試験や公認会計士試験のレベルをどんどん落としているような気がしてなりません。
(ちなみに、合格者数の大幅増員に伴い、公認会計士試験でも合格者の質の低下は起こっているそうです。クレアールでは、公認会計士の試験勉強は計算が9割、理論は1割、計算問題は誰でもできる問題を確実に解ければよく、理論問題はとにかくキーワードを書けばいいなどと教えていました。)
 学生自治の衰退が始まったのは1970年代頃からのようですが、この国の将来を担うべき学生達が、自分たちで考え実行するという気風を失ってしまい、そうした人たちがこの国の中枢を担うようになってきた頃から、この国の衰退は始まってしまったのでしょうか。

 やはり体調が優れないせいか、どうも話がうまくまとまりません。今日はこのくらいにしておきます。それと星野ジャパン、気合い無さ過ぎ。いつからあの闘将と呼ばれた人はあんな弱気になったんだ。メダル取れなかったのも当然か。

8 コメント

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お大事に (tamago)
2008-08-24 13:52:21
一日も早くお元気になられるようお祈りしています。
Unknown (さかな君)
2008-08-25 06:54:04
学生は、結局、流行り廃りに敏感ですから、自治会の問題も時代と共に消え行く存在なのでしょう。
いわんやロースクールをもや。
Unknown (Unknown)
2008-08-25 10:35:04
星野が「闘将」なんていうのは作られたイメージでしかありませんよ。監督としては、故島野育夫氏が一緒にいなければ何もできない人物です(選手にもそういうところを見透かされていたんでしょう)。金集めや人脈作りの能力は凄いと思いますけどね。
Unknown (Unknown)
2008-08-25 19:48:09
黒猫さんも司法試験は予備校だったのですか?
Unknown (花道)
2008-08-25 21:30:59
星野ジャパンは負けるべくして負けました。高額年俸のぬるま湯に浸かりきった日本チームが、兵役免除がかかってる韓国や貧しいキューバやハングリー精神の塊であるアメリカチーム(彼らはマイナーの寄せ集め)勝てるわけがない。試合に臨む姿勢が違いすぎましたね。
健康一番 (豊後魂)
2008-08-26 09:16:02
 やはりご自分で健康のことをかかれるので、僕も含め皆さん心配していたはずです。先ずは、受験も出来たのですから、快気おめでとうございます。健康が一番です。弁護士人生は、これからですよ。
 さて、「自治会」も、時代の流れとしては、70年代までに「ポツダム自治会粉砕」で、結論が出ているはずですね。問題を共有した有志が、個々に声を上げていき、行為を通じて団結を図る、なんて言う運動体方式(全共闘方式)で、結構学生も社会人も頑張っているようです。 言うまでもなく、「権利のための闘争」は、自ら望む人が、自らの手でつかむ事ですからね。  くれぐれも健康に留意され、ご活躍を期待しています。では、また。
学生の視点 (野菜生活)
2008-09-02 15:00:05
黒猫さんのご指摘のとおり、学生の視点からみても、ある局面において学生の自発性といったものが失われてきているといった感じはします。そしてそういった現状では個々人が自発的になんらかの目的意識をもって、同じような目的をもった人達とつながっていくといったようなモデルは時代に合わないように思います。ただしそうは言っても学生はロボットになったわけではありませんし、無気力にみえて内には不満やなんかも含めていろいろと抱え込んでいる人も多いように思います。ですから仮に現在なんらかの運動を起こして強固なコミュニティーを形成しようとするならば、その原動力として個々人の自発性に頼れない以上、個人のカリスマ性によるしかないのだと思います。
Unknown (野菜生活)
2008-09-02 15:06:47
溜め込んでも吐き出せないものを目的に変えてくれる。まず目的から与えてくれる存在というのが果たして良いのか悪いのかは問題だと思いますが、それで社会が少しでもよくなるのであればそれも仕方ないかと思います。