野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

北海道旅行③ー楽園を歩く

2006-07-22 | 旅行
 礼文島にとまった翌日、朝5時前に眼が覚めてしまった。。耳を澄ますとかすかに雨音が聞こえる。一瞬暗然となる。今回の旅行で一番楽しみにしていた、礼文島ハイキングがこれでは出来ない。朝食後相談した結果レンタカーを借り、午前中は島内の主だった所、スコトン岬、澄海岬、高山植物園、鉄府漁港などを見て廻り、午後からの天候回復を待つことにした。
 
 嬉しいことに午後になって雲も切れ陽が射すようになってきたので、桃岩展望コースを歩くことにした。香深港(村上春樹の「海辺のカフカ」lを連想させる)からは登りで1時間少しで桃岩展望台へついた。16時のフェリーまでまだ時間があったので金梅の谷まで歩を延ばす。天候は更によくなってきた。花園の向こうに利尻山の秀麗な姿が見えてきた。背の高い木がまるでないので、晴れると遠くまで展望が利く。

 風が心地よく、汗をふき取ってくれる。辺り一面には様々な高山植物の芳香が複雑に絡み合って広がる。眼をつぶるとかすかに潮の香りがし、波の音さえ聞こえるかと思えるほどだ。静かだ。雲が切れると一瞬柔らかな光線が満ちてきて、こわばった心を解きほぐしてくれる。世界は祝福され、時は歩みをゆっくりと止める…

 思いをそこに置いたまま、我々は下山した。振り返ることは出来なかった。
 

北海道旅行②ーサイホクタン

2006-07-21 | ハイキング
 稚内の宗谷岬には沢山のサイホクタンがある。写真はそのハシリとも親玉とでもいうべき”最北端の地碑”だ。他にも最北端の民宿、最北端の電話ボックス、最北端の公衆トイレ等等、品のないものも含めて枚挙に暇がなかった。挙句の果てには最北端到達証明書なるものさえ土産物屋で100円(笑える)で売られていた。

 人はどうしてこんなにサイホクタンを有り難がるのだろうか。南の地でもサイナンタンの地碑があるらしいがネット情報によると規模スケールがまるで違うそうだ。日本最南端の碑の記事と写真はここにあるが、北と違うのどかな様子がうかがえる。

 僕自身も旅行と言えば北のほうを無意識に考える、どちらかと言うと北志向型の人間である。身の回りの人の嗜好から考えても、また北海道観光客の多さからいってもどうやら南よりも北志向の人間が多そうだ。どうしてなんだろうか。何故南ではだめなんだろうか。ましてや東や西でも構わないじゃないか。

 一つ考えられるのは、我々の普段眼にする地図では北が上、南が下になっていることだ。バカと煙が上に登りたがるように、人は無意識に北に針路付けられてしまうのではないだろうか。勿論僕も例外ではない。

北海道旅行①ー運の総量

2006-07-20 | 旅行
 昨日3泊4日の北海道旅行から帰ってきた。式も挙げることのなかった結婚。以来24年。ちょっと気の早い、ささやかな銀婚旅行のつもりだった。16日から19日まで空路稚内へ、礼文、旭川、富良野、美瑛と廻り帰路は旭川から羽田へと慌ただしい日程を組んだ。

 行く前から天気予報には雨マークが多かった。また、実際雨にも何度か降られた。が、礼文のハイキング、ノシャップ岬の夕日、美瑛の丘散策などの大事なところでは晴れてくれたのが嬉しかった。まだまだ、私の人生の運の総量はのこっている。そういえば大して恵まれた人生ではなかったから、これから良い事が沢山待ち構えている…と信じたい。
 
 写真は稚内ー礼文航路の船から利尻島を写したもの。なかなか姿を見せてくれなかった利尻山をウミネコが飛び去る瞬間撮った。

ムヨウラン(無葉蘭)

2006-07-16 | ハイキング
 つれあいの勤める老人ホーム傍の林の中に、マヤランが咲いていると言うので今朝出かけて来た。暑くなる前にと思って8時半ごろに行ったら、まだ花が開ききっていなかった。咲き初めだったのか、それとも咲く時間帯や天候の条件が決まっているのか、ぼくの図鑑には載っていない花なのでよく分からなかった。ネットで調べるとシュンランの仲間で葉のない無葉ラン、なかなか見つけることが出来ないとあったがそれ以上の記述はない。
 何とかしてこの花の完全に開ききった姿に出会いたいものだ。北海道の旅行から帰ってくる20日まで咲き残っていて欲しいが、最近の暑さではそれも危ういか。

馬面蘭

2006-07-14 | 野の花
 今年の初夏、群馬の山で撮ったもの。盗掘を防ぐため山名の特定は避けておこう。イチヨウランといい、ラン科の多年草で一属一種の花である。和名は茎の根元に楕円形の葉を一枚だけ展開することから付けられた。結構希少種に属するので初めて出会えたときは嬉しくて暫く見入っていた。

 見るからに愛嬌のある顔をしていて憎めない。3つの上がく片と垂れ下がった2つの側がく片のバランスがよく、馬面顔の唇弁には左右に切れ込みがあってそれが笑みを浮かべた眼のように見える。人懐っこそうな花だ。写真の花は虫に食われて雀斑のようになっていたがそれがまた独特の味を醸し出していた。洋ランに比べ野で見かける日本のランは慎ましやかで、気品がありそれでいてそれぞれが非常に個性的な花姿をしている。