ファーム富田のある中富良野から美瑛までは富良野線で30分弱。列車に乗っている間に雨は止み、雲の切れ間から時折日が射すほどに天気は回復してきた。車内はこれからそれぞれの宿へ帰る観光客たちでいっぱいだった。
美瑛駅に降り立ったのは7時20分前。暫く宿からの車を待っているうちに日は落ち始めた。やって来た迎えの車に乗せてもらい丘を幾つか越えていく。辺りが夕日に照らされてみるみるうちに茜色に染まっていった。今夜の宿のある通称”マイルドセブンの丘”の付近まで登ってくると光はいっそう色を帯びてきた。この夕日は写しておかねばと、宿の少し手前で車を降りた。
足元から伸びた一本の農道がジャガイモ畑を突っ切っている。未舗装の農道は赤く燃え立ち、遥か遠く十勝岳の麓へと続いている。今しがたまで降っていた雨の名残りか、ぬかるみの道は燃え立つ落日に濡れて輝いている。それは起伏の中を蛇行しながら流れる一筋の川のように見えた。朱色に燃えて流れる命の川だった。
その日泊まった宿の名は”星の庵”といって、広大な麦畑の中に立つ一軒宿であった。その夜、テレビも冷蔵庫もエアコンも一切ない部屋で我々は夢を見ることなく眠った。
美瑛駅に降り立ったのは7時20分前。暫く宿からの車を待っているうちに日は落ち始めた。やって来た迎えの車に乗せてもらい丘を幾つか越えていく。辺りが夕日に照らされてみるみるうちに茜色に染まっていった。今夜の宿のある通称”マイルドセブンの丘”の付近まで登ってくると光はいっそう色を帯びてきた。この夕日は写しておかねばと、宿の少し手前で車を降りた。
足元から伸びた一本の農道がジャガイモ畑を突っ切っている。未舗装の農道は赤く燃え立ち、遥か遠く十勝岳の麓へと続いている。今しがたまで降っていた雨の名残りか、ぬかるみの道は燃え立つ落日に濡れて輝いている。それは起伏の中を蛇行しながら流れる一筋の川のように見えた。朱色に燃えて流れる命の川だった。
その日泊まった宿の名は”星の庵”といって、広大な麦畑の中に立つ一軒宿であった。その夜、テレビも冷蔵庫もエアコンも一切ない部屋で我々は夢を見ることなく眠った。