さらに世界記録の思い出

イチロー選手のシーズン最多安打世界記録、お見事でした。これからもたくさんの記録が作られていくと思います。で、話は突然過去へ飛び、高校時代の野球の思い出。王貞治選手の本塁打記録７５６本目を、同級生とテレビででみた時のこと。

ミッション系の女子高だったので、「修養会」という行事がありました。山荘にこもって、聖書のお話を聞いたり、「黙想」といって黙っている時間があったり、グループに分かれてテーマに沿ってディスカッションしたりする。至極まじめなもんです。しかし、「巨人VS阪神」とかやっちゃってる学年ですから、ただでは済みませんでした。王選手はすでにアーロン選手に並んでいました。みたい、みたい、やきゅうがみたいーという声なき声が夕方になってふつふつと沸いてきておりました。野球が身近に感じられた時代でもあったのかもしれません。

本当なら夕食後は各部屋で静かに過ごす「予定」でしたが、「王選手の記録が出るかもよ」の声にわらわらとロビー(テレビはここしかなかった)に集まってきた少女たち。担任が「みなさん、お部屋におもどりなさい」と当然「指導」。「先生、世界に誇る記録をみたいのです。」「先生もご一緒にぜひ感動を」と束になってお願いしました。おお、神よ、少女たちの願いをききいれたまえ。


担任苦笑い。「・・・・まったく、あなたがたときたら。」


普段は、野球に興味のなさそうな顔ぶれも、なんだか神妙な顔でロビーに集まって、床に座り込んでのテレビ観戦。まるで、力道山のプロレス中継をみる昭和３０年代の光景でした。



「うったー！」
「きゃー」(こういうの、黄色い声っていいます)

「さあ、さあ、気が済んだでしょ、お部屋にお戻りなさい」
「はあーい、先生。ありがとうございましたー。」


ありがとう、王さん。ありがとう担任のＫ先生。みんなで見た世界記録、わすれません。うたれたピッチャーさんもありがとう。なんかいい時代でした。



さて、次の日も粛々とスケジュールはすすみました。
静かに終わるはずだったんです。
神様にみまもられて。


でも、やっぱり最後の夜ははじけてしまいました。昼間まじめに生きた反動がでたのか、(うそ、行く前から仕込んでた計画的犯行)キャンプファイヤーは大演芸大会になりました。ザ・ベストテン状態でした。
ピンクレディもキャンディーズも楽しかったけれど、先生に仮装させて歌っていただいたのがさいこーでした。ごめんなさいＫ先生、榊原郁恵ちゃんをやらせて。ごめんなさい校長先生、西条秀樹をやらせて。そのかわり、わたしたちもいっぱいうったったから勘弁してください。


「服まで用意してきて、うたわせるなんて、まったくあなたがたときたら・・・。」

はちゃめちゃな高校時代、野球と歌謡曲がきらきらしていた時代でもありました。



【一年後の追記】
この記事に出てくるイチローと王貞治が組んでＷＢＣという野球大会で日本チームが一等賞になったのよ。ああ、びっくり。
まして、３０数年前の乙女たちにこんなこと話したら「うっそー！！！」と大合唱がおきそうです。(２００６．３．２７記)