変温動物のほんとうはあったかはーと

冷たくないよ、ちょっと心が暖かくなる話を書きます。

逆境に強いひと

2007-10-17 22:04:48 | Weblog
プップ、、プップ、、

あぁ、、せっかく話をしてたのに、「キャッチ」がはいってしまった。
昼間は、ほとんど電話はかかってこないのに、こういう時に邪魔がはいるのは、いったいなんなのよう、、、

そう思いながら、「あぁごめんね、キャッチがはいったみたい、またね、、」と心残りながら、別れの言葉を言って、切り替える。

すると、
「あの○○です。」
「え!○○さん。げんき!」
「久しぶり。お店、開店したのよね。落ち着いた?」
「うん、おかげさまで、なんとかね」

○○は、ただひとりの私の幼ななじみ。小学生の頃、ずっと一緒だった。
どちらかというとおとなしく、でも私よりずっとしっかりしていて、いつも私を守ってくれてるような存在だった。
中学生になると、私は、私立に入ったので、ほとんど会うことはなかった。でも、時折、ふっと思い出して、主に電話で連絡をとりあっていた。お互いの状況は、だいたいのところは、把握しているつもりだった。

ところが、その彼女が、ここ半年ほどで、劇的に変わったのだ。
住所が実家のあるM市に変わり、そこでカラオケの店を開店したのだ。
驚きだ!小学生の頃の彼女から想像もつかない変化だった。

彼女は、今現在、病気で入院中のご主人がいる。不治の病で、良くなることはない。奥さんの顔を認識できない。まだ、50代の若さだ。二人の子供達は、色々ありながらも、家を出て社会人になっている。一家は、ばらばらの状態で、年一回会うのがやっとだという。しかも、彼女自身、病気も抱えていて、半年に一回の検査は欠かせない。年老いた母親が一人で暮らしているので、思い切ってきたという。

そんな彼女なのに、話は実に明るい。
家計を助けるために事務の仕事をしていたのだが、その頃に覚えたカラオケの趣味が高じて、お店を開店するに至ったのだ。

それにしても、開店資金もいるだろうし、実に思い切った行動をしたものだ。お金はほとんど使ったという。

そんなこんなを話していて、やっと、やっと、今の彼女がつながってきた。点と点が部分的につながってきた。

彼女は、逆境に強いのだ。苦境にたつと力を発揮して、乗り越えていくのだ。強いのだ。なんだか、話していて元気を与えられた。

長い電話を切ったら、ケータイがなった。夫からの「帰るコール」だ。
弾んだ私の声に、夫は、敏感に反応した。
「ビールでも飲んだのか」
「え!まさか!今ね、○○さんからの電話を切ったところよ。彼女と話してて元気が出たのかもね」
「そうか」
「帰ったら、話すね」

強い彼女、これからもその明るさを失わず、頑張って欲しい。


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