ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

「釜たけうどん」でちく玉天ぶっかけを食べる

2023年02月23日 | グルメ

久しぶりに東京駅のレストラン街にある八重洲北食堂店の「難波千日前 釜たけうどん」に行ってみた。以前、何回か来たことがあるが最近しばらく来てなかった。11時半近くだから並んでいるかな、と思ったが1人だけだったので並ぶことにした。

5分くらいで店に入り、一番の売り物である「ちく玉天ぶっかけ」880円を注文した。ご飯とのセットメニューもあったが、うどんだけで十分なので単品でたのんだ。実はこの店、大阪難波の店では食べたことがない、なぜか大阪に行くときこの店を思い出せず、道頓堀の「今井」に行ってしまうのだ。

さて、この「ちく玉天ぶっかけ」だが、基本的にはぶっかけうどんに大きなちくわの天ぷら1本と半熟卵の天ぷらが乗って、おろしショウガとレモンが一切れ添えてあるもので、麺は暖かいものと冷たいものとが選べる。今日は暖かいものを注文した。食べてみるとやはりちくわのインパクトが非常に大きい。ここの売りだから当然であろう。玉子の天ぷらもおいしかった。周りの客を見ると若い人が多かった。

ごちそう様でした。また来ます。


「佐伯祐三展、自画像としての風景」を観る

2023年02月22日 | 美術

いつも見ているテレビ番組で今東京ステーションギャラリーで開催中の佐伯祐三展をやっていたので、行ってみたくなった。ホームページを見ると予約制とのことなのでネットで朝一番の10時に予約してステーションギャラリーにやってきた。東京では18年ぶりの回顧展となるそうである。

10時少し過ぎて到着して見ると入口前に行列が・・・・予約者だけでも行列ができているのかと思ったら、これは当日券を求める人のようで予約済みの人はスマホで予約表を見せてすぐに入れた。最初に3階までエレベーターで上がると、次の順番で展示してあった。

  • プロローグ 自画像
  • 1-1 大阪と東京:画家になるまで
  • 1-2 大阪と東京:柱と坂の日本、下落合と滞船
  • 親しい人人々の肖像
  • 静物
  • 2-1 パリ:自己の作風を模索して
  • 2-2 パリ:壁のパリ
  • 2-3 パリ:線のパリ
  • 3  ヴィリエ=シュル=モラン
  • エピローグ 人物と扉

佐伯祐三(1898-1928、30才没)はパリの街を独特のタッチで描いた作家としてその存在はよく知っていたが、今回改めて彼の展覧会を観てその業績を確認することができたのは大変良かった。上記の展示の順番は彼が生きてきた順であり、一つ一つのコーナーを解説を読みながら観て歩くと彼の人生が良く理解できるようにうまく展示されていた。

観た感想をいくつか述べよう

  • 年とともに彼の作風が大きく変化していくのがわかった、パリの街の壁の広告描いた画家というようなイメージを持っていたが、東京の下落合の風景や死の直前のフランスのモランの教会の風景などパリの街の風景と全く違うタッチで描いているのが意外だった、作風の変化はパリの滞在経験(フォービズムの画家ヴラマンクからの批判を含む)から当然であるが、結構大胆に変わっていると思った、ゴッホもパリに出てきて大きく作風が変わったが、佐伯が変わる方向性は次に述べるようにゴッホとは全く逆方向のような気がする、ただ、死期が近づいたモランで描いた絵や郵便配達夫の絵ではまた作風の転換があったように思う。
  • パリの街の風景だが、全体的にどんよりとした曇りの日の風景が多い、実際、西ヨーロッパの天気はそんな日が多いのだろうが、印象派の絵のように晴れた日の絵が一枚も展示されていない、というのも何か画家としての彼の主張があるような気がしたが、果たしてそれは何だろうか
  • 人物画より風景画が多いと感じた
  • ゴッホの「オーヴェルの教会」と全く同じところで同じ教会を描いた絵(作品展示番号60、オーヴェールの教会)があったのには驚いた、ゴッホとは違うイメージでその対比が面白かった
  • 「パリ遠望」(展示番号54)はセザンヌの影響を受けたと説明書きがあったが、絵を見たただけで色彩のタッチが全くセザンヌと同じだと一目でわかった、ユトリロの影響も受けたと説明があったが、ユトリロについては不勉強で何も知らない、勉強せねば、ユトリロの絵をネットでちょっと見るといい絵がいっぱいある
  • 死の直前に書いた展覧会のポスターにもなっている「郵便配達夫」(展示番号140)はゴッホの「郵便配達人 ジョセフ・ルーラン」とよく似ていると思った、ゴッホからの影響も受けているとのことで、それが出た一つの例であろうが私はこの郵便配達夫は佐伯の絵の方が好きだ、が、先ほどのオーヴェールの教会はゴッホの方が好きだ
  • 大阪中之島美術館所蔵となっているものが多かったがここは昨年行ったのだったが、佐伯の絵があったか記憶にない(モディリアーニの企画展が開催中だったからかもしれない)、佐伯の絵をこんなに所蔵しているとは知らなかった、中之島美術館はできたばかりの美術館で、また行ってみたい美術館だ
  • 今回も写真の撮影は不可であった、なぜであろう、海外は撮影OKのところが多いのではないだろうか、パリのオルセーやルーブル、ピカソ美術館、ニューヨークのMOMA、グッゲンハイムなどはOKだ。
  • 佐伯は自身が結核で早死にしただけではなく、一人娘も結核で亡くなったとは知らなかった、更に奥さんの米子が画家になったというのも知らなかった
  • 佐伯、ゴッホ、モーツアルトなど、なんでこんなに素晴らしい芸術家が早死にするのだ、もっと生きてほしかった
  • 東京ステーションギャラリーは室内の壁に東京駅の煉瓦塀をそのまま使っているところが多くあったが、これが今回展示されている佐伯の絵と妙にマッチしているように感じた

美術館内はかなり混雑していたが客は圧倒的におばさま方が多かった

帰りに入口を見るとまだ行列ができていた。

 


森駅名物「いかめし」を買う

2023年02月21日 | グルメ

北海道の物産を売っている店があったので立ち寄って見たら、北海道の森駅の名物「いかめし」を売っていたので買った。この「いかめし」は駅弁ファンなら誰でも知っている有名な駅弁であり、東京駅の駅弁屋でも売っているときがある。私も何回か買ったことがある。現地(函館の少し北)に行ったことはないため詳しいことは知らないが、阿部商店の「いかめし」が有名なようだ。今回買ったのは駅弁ではなく、真空パックした「ひとくち いかめし」だ。小さめのいかめしが4つ入っている。

帰って食べてみると、味が少し濃いめで大変おいしい。小さめなのですぐに食べてしまった。これだけではさすがに足りないだろからサラダやおかずもつくって食べた。今回買った商品は駅弁で阿部商店のではなく、モリヤ商店というところのものだが、駅弁を買おうと思うと大変なので、これで十分だと思った。


スタバでコーヒー豆を買う

2023年02月21日 | グルメ

自宅で朝食にコーヒーを淹れて飲むのが習慣になっている。我が家では自分たちで好きなコーヒー豆を複数買ってきて、それをブレンドしてハウスブレンドにして飲んでいる。

具体的には、スタバのコーヒー豆とキャピタルコーヒーのブラジルサントスナンバー2を2:1の比率でブレンドしている。スタバの豆はケニア、グァテマラ、コロンビア、エチオピアなどの単一種類の豆を使う。しかし、スタバの豆は深煎りでこれだけではキツいので苦みも酸味もマイルドなブラジルサントスをブレンドすると好みの味になる。そして、コーヒーを淹れる直前にミルで粉にしてサイフォンで抽出している。味はセブンで売っているコーヒーと同じような感じだ(よって、セブンのコーヒーはうまいと思っている)。

スタバではモーニングブレンド、ハウスブレンドなどスタバで作ったブレンド豆を売っている。今回もスプリングブレンドが発売されていたし、年末にはクリスマスブレンドが毎年発売される。これらのブレンドに更にブラジルサントスをブレンドするのは、ブレンド豆+ブラジルで3種類以上の豆をブレンドすることになり、何を飲んでいるのかわらなくなるので、基本的にはスタバでは単一種類の豆を買い、あとブラジルサントスをブレンドして、2種類のブレンドとしている。しかし、今回はスプリングブレンドも買ってみた、季節を感じたいからだ。スタバは商売うまいよ。

ところが最近、コーヒー豆を買うとき間違えてブラジルサントスでない豆を買ってしまった。それは苦みと酸味がともに★3つ(5つが一番強い)となっているもので、サントスは酸味が★2つなので、それに比べ酸味が強いものだ。酸味が強いものは好きでないので失敗したな、と思ったが使ってみたら、これが以外と普段のハウスブレンドより味に深みが出ておいしかった。いろいろ試して見る必要があると思った。

さて、最近物価が高騰しているがコーヒー豆の値上げも相当なものだ。ブラジルサントスも以前は100グラム600円くらいだったと思うが、最近は900円くらいになっている。買いに行くたびに値上がりしている感じがしている。原価が上がっているのであれば仕方ないが、早く収まってほしいものだ。


「舟和本店喫茶室」にて一休み

2023年02月21日 | カフェ・喫茶店

淺草に出かけた際、ちょっと疲れたのでいつもの舟和で一休みした。この喫茶室は舟和本店の2階にあるが、3階も喫茶室のようだ。

今日は昼過ぎに入ったが先客は3組くらいだったか。窓側の席にかけて何を注文しようか、考えた末、あんこ玉とお抹茶セット780円をたのんだ。あんこ玉は2つで好みのものを選べるので、小豆と苺にしてみたら同じような系統の色で色彩的には失敗だったが味はおいしかった。抹茶と良く合う。

落ち着いた雰囲気でゆっくり休むにはちょうど良い。ごちそう様でした。

 


クラシック音楽鑑賞店「バロック」で寛ぐ

2023年02月20日 | カフェ・喫茶店

前から行ってみたかった吉祥寺の名曲喫茶「バロック」に行った。場所は駅から歩いてすぐのところ。2階にある。営業は金曜から翌週月曜の4日間しかやっていないのでなかなか日程が合わなかった。

店に入ると年配の女性店主のマダムに「どうぞ」と言われて空いてる席に。先客は少々。席が全部スピーカーに向いているかスピーカーの方を見れる位置になっている。コーヒー800円を注文して音楽を聴く。スピーカー左側にガラス張りの部屋があり、オーディオセットとLPレコード収納の棚が見え、ガラスには今かけている曲名を書いた白板とLPのジャケットがおいてあり、次にかける曲も同様になっている。全ての席から見えるようになっているのは有難いが目が悪い人は見えないかもしれない。2階なので窓から灯りが入り、室内が明るいのはうれしい。

コーヒーが到着するとおしぼりがついている、伝票が置かれるが伝票の下にはリクエスト曲が書ける欄が用意されているので、頼んでいる人もいた。座席は全部で15席くらいあるか、今日は次々と客が入ってくるがみんな基本的には長居だ、会話禁止のため、音楽をじっと聴いている人、本を読んでいる人、スマホを見ている人など様々な形でクラシック音楽を楽しんでいる。年齢も老若男女いろいろなのは面白い、若者の街吉祥寺という場所柄もあり、若い人も来るのかもしれない。しかし名曲喫茶でこれだけはやっている店はめずらしい。

スピーカーはかなり大きく、音楽は大きな音で、特に交響曲は大音響という感じで流していた。ネットで見るとスピーカーは2系統あるようで、かける曲で使い分けているようだがオーディオに詳しくないので私には分からなかった。かかっていた曲はモーツアルト、ベートーベン、シューベルトなどの定番音楽が多かったのはうれしいが、店のホームページでは店の名前の通りバロック音楽がコレクションの相当な部分を占めているようだ。バッハの宗教音楽などがそうなのか。ホームページには亡くなったマダムのご亭主の熱い思いがいろいろと書かれているので勉強になる。

マダムは非常に優しい感じの方で、リクエストにも丁寧に対応している、そして、私もかなり長い時間いたが頼んでもいないのにコーヒーのおかわりを入れてくるのでびっくりした、1時間以上いるともう一杯注文しなければいけないシステムなのかな。

帰りに支払するとき、1杯分の料金しか請求されなかったので、2杯分支払わな良くていのか聞いたら、「かまいません」との回答。おしぼりも3回は出し直してくれた。そして、帰りにマッチ箱を一つくれた。こんな素晴らしい店があるのか信じられない思いで店をあとにした。はやっているのも店全体のこういう対応のせいだと思った。いつまでも続けてほしい店だ。また来たい。中央線沿線は良い名曲喫茶が多い、クラシック音楽ファンにはたまらないところだが、いずこも後継者難に悩んでいるみたいでそれが心配だ。


映画「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」を観る

2023年02月19日 | 映画

「ホワイト・クロウ、伝説のダンサー」を観た。バレエが好きな人にとっては是非観たい映画だろう。私もバレエは好きなので観たくなった。

監督:レイフ・ファインズ
脚本:デヴィッド・ヘアー
音楽:イラン・エシュケリ
バレエ・アドバイザー&振付:ヨハン・コボー
出演:

  • オレグ・イヴェンコ(ヌレエフ)
  • アデル・エグザルホプロス(クララ、ヌレエフの亡命を助ける仏人女性)
  • ラファエル・ペルソナ(ピエール)
  • レイフ・ファインズ(プーシキン、バレエの先生)
  • チュルパン・ハマートヴァ(プーシキンの妻)

この映画はバレエダンサーとして有名なソ連人、ヌレエフの亡命に至る半生を描いたもの。現在のバレエを観る自分にとってはヌレエフというのはもっぱら振付師として認識しているが、こんなにすごい運命を経験したダンサーだったのだと改めて感心した。

映画では、ヌレエフはソ連において少し遅れてバレエを始めたため、ダンサーとして成功する可能性は低いとみられていたこと、そのため人一倍努力、強い上昇志向・反抗的とも言える自己主張をする人物、バレエの先生さえ変えろと要求する人物、先生の妻との不倫関係、西側諸国での公演などでソ連からマークされる、最後はギリギリのところで西側に亡命するハラハラドキドキなどが描かれている。

映画の説明を観るとヌレエフ役のオレグ・イヴェンコは本物のダンサーだ、どおりで筋肉質の体型としなやかな踊りの演技ができると思った。本作でプロバレエダンサーとして映画初デビューとなったそうだ。彼はウクライナ出身だというのも驚いた。キエフバレエというのは有名だ。最近、日本人の寺田宜弘氏が芸術監督に就任したと言うニュースがでていた。

バレエという世界も大変な世界だ、というのも成功できるのはごく一部だろうし、ピアニストと同じように小さい頃から英才教育を受けてライバルと戦う、更にピアニストよりもきついと思うのはバレエには「故障」というものがあるからだ。この映画でもヌレエフが途中でけがをしてしばらく休まざるを得ない場面が出てくるが、当事者としては大変なストレスであろう。ダンサーの足、足首、指などは強靱かつ柔軟な筋肉によりできあがっているのであろうが、一方で、ガラス細工のようにもろいものでもあるのではないか、そして一度けがするとクセになるという恐怖もあろう、映画の中でもダンサーは恐怖との闘いに勝たなければダメだ、というようなセリフを言うシーンがあった。ダンスを失敗する恐怖、故障をする恐怖、故障が再発する恐怖、などなど大変なものだ。

この映画はバレエの世界、共産主義国家におけるバレエの世界というものを知るには良い映画だと思った。

 

 


「神田まつや吉祥寺店」で天ぷら蕎麦を食べる

2023年02月18日 | グルメ

東京に出かけた際、昼食をどこかで食べようと思い、以前、何回か行列ができていて断念した「神田まつや吉祥寺店」(東急デーパート8階)に行ってみた。「神田まつや」はあの池波正太郎氏が贔屓にしていた神田の老舗蕎麦屋で、ここはその吉祥寺店だ。11時半くらいに到着、今日は行列がなくすぐに入れた。

何を食べようか迷ったが、食べたかったかき揚げ蕎麦がないので、天ぷら蕎麦(海老1本)1,815円を注文。店内はある程度の広さ、まだ満席になっていないがそこそこ埋まっている。テーブルにはまだアクリル板がおいてあった。私は冷たい蕎麦より温かい蕎麦の方が好きだ。冷たい天ざるには盛り合わせ天もり、というのがあるが暖かいものにはそのメニューがないのはどうしてか?

出てきた天ぷら蕎麦を食すると、大変おいしかった。海老もうまかった。私自身の好みとしては、エビ天はごま油がの匂いが香っている方が好きだが、これは好き嫌いがあるだろう。量的にはちょっと不足感があるが許容範囲であろう。

帰りには「肉のさとう」に寄ってコロッケと豚カツ1本を買った。丸メンチが有名で休日には大行列ができるが、平日は行列もほとんどない、今日は20人くらい並んでいたので、並ばずに済むものを買った。

ごちそう様でした。


「アレクサンドル・カントロフ ピアノ・リサイタル」を聴く

2023年02月18日 | クラシック音楽

NHKクラシック倶楽部の「アレクサンドル・カントロフ ピアノ・リサイタル」を聴いた。

曲目は

  • ピアノ・ソナタ第1番、嬰へ短調作品11 シューマン作曲せn
  • 巡礼の年第2年「イタリア」からソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」 リスト作曲

番組の説明では、アレクサンドル・カントルフ(25)はフランス出身、父はバイオリン奏者で指揮者のジャン・ジャック・カントロフ、2019年に22歳でチャイコフスキー国際コンクールでフランスのピアニストとして初めて優勝、これまでウェルビエ音楽祭、ルール・ピアノ音楽祭など著名な国際音楽祭に数多く出演、演奏活動や録音は各地で絶賛され、フランスピアノ界のホープとして注目されている。

ウィキペディアで調べるとチャイコフスキーコンクールで優勝したときの演目はピアノ協奏曲の2番で、この曲で優勝したのは初めてだったとのこと。先日観た読響プレミアで反田恭平が「カッコイイ曲だ」と言って弾いていたあの曲であり、作家の宮城谷昌光氏が「クラシック千夜一曲」の中で10曲のお勧めの曲を挙げている中の1曲でもある。氏はチャイコフスキーの2番について「1番より断然好きだ、それは品格が高い曲だからだ」と述べているが、世の中的には1番の方が断然人気と演奏機会は多いのでしょう。その2番で優勝したというのだから、カントロフも宮城谷氏と同じような2番にかける熱い思いがあったのでしょう。

インタビューでは、両親がバイオリニストだったので最初に挑戦したのはバイオリンだったがバイオリンは音を出すのが難しく、格闘している感じだった、ピアノは子どもにとってゲームのようだった、初見で弾くのが大好きで、楽譜を見るとすぐに手が行くべき鍵盤を見つけるので夢中だった。しかし、長い間ピアニストが理想の職業とは思えず科学の分野に進むつもりだった、高校に入学してから初めて皆、音楽家という環境になった、友人との共演や初めての舞台でアドレナリンが分泌された、そして演奏家になることを考えた、

作品について番組では、シューマンはこの作品で初めて大規模なソナタ形式に取組み1833年から35年にかけて作曲した、ピアノに新たな効果を発揮させるように意図して書かれ、それまでのピアノ技巧の集大成の作品とも言われている、と説明している。

一方、リストの曲についてカントロフは、ダンテの神曲の地獄編に基づいている、ギュスターブ・ドレのさし絵などを見て全体像をつかみ音に翻訳した、重要なのは通常のピアノの音ではない響きを見つけることができるかだ、本当に時間がかかる、と述べていた。リストの「巡礼の年」はラザール・ベルマンのピアノの全曲(CD3枚)を持っているが大作だ。個人的には第1年スイスの1番「ウィリアムテルの聖堂」が好きだ。

さて、カントロフだが、テレビのインタビューを見るといかにもやさしい性格のおとなしい青年である。ピアノを弾くときは情熱を込めて弾いている姿は見せるが、ピアノから離れるとやさしい好青年である。チャイコフスキーコンクールで優勝するくらいの人だからもっと世界中で活躍してもおかしくないと思うが(してるかもしれないが)、このおとなしそうな性格がビジネスという面で損をしているのではないかと心配になる。SNSの使用状況を見るとインスタグラムはフォロアーがごく少数、Facebookは8千人くらいのフォロアーである。ある程度の頻度で更新しているようだが、もっと積極的にマーケティングしていってはどうだろうか(やっているかもしれないが)。カラヤンくらいになれというのは無理かもしれないが、クラシック演奏家というのは全般的に似たようなものかもしれない。どうであろうか。

 


「カーザ・ヴェルディ」(藤田彩歌)を読む

2023年02月18日 | 読書

新聞の書評に載っていた「カーザ・ヴェルディ、世界一ユニークな音楽家のための高齢者施設」(藤田彩歌著)をKindleで読んだ。

このカーザ・ヴェルディというのはイタリアのミラノにある老人ホームであるが、これを作ったのはオペラ作曲家のヴェルディである。入居を許されるのは一流音楽家とその配偶者だけ、高齢者以外にミラノで音楽を学ぶ若者16人(国籍問わず)が入居できる。著者の藤田さんはその一人で、その貴重な体験談ををまとめたのが本書である。藤田さんは2015年からミラノの音楽院に留学していた。カーザCasaとはイタリア語で「家」という意味だ、従って、カーザ・ベルディとは「ヴェルディの家」という意味だが正式な名前は「音楽家のための高齢者施設」というものだ。イタリアでは高齢者施設のことを「憩いの家」と言うようで、日本のイメージとはかなり違う。これはヴェルティが一流の音楽家として活躍したのに老後に困っている音楽家を救いたい、という思いで作った施設だ。現在70名程度の入居者がいる。

カーザ・ヴェルディの魅力は年寄りの自主性や自由を尊重するところにあるが、これは全てが自己責任で成り立っているということ、酒を飲み過ぎて何かあっても、一人で夜道を歩いて帰れなくなっても全て自己責任だ、日本のように何かあると施設の責任が問われると言うのでは入居者の自由や自主性は保てない

カーザ・ベルディの素晴らしいことは年寄りと若者が同居していることだ、お互い必要とされる存在になり家族の絆を感じるようになる、また、車椅子でゆっくり歩いている入居者について誰も助けない、それは本人が望まないから、何歳になっても自分のことは自分でやる、それができなくなったときはおしまいだとの意識がある。日本の場合は何かあったときは施設側が責任を問われるので手助けしすぎてしまう。

著者は、日本では老人に対して「大丈夫~」とか「聞こえてる~」などと話しかける人がいるがこれは大変失礼なことだ、決して子どものように扱うべきではない、と言う。その通りだと思う。また、カーザ・ヴェルディが日本の老人ホームと比べて良いか悪いかではなく、良いところを取り入れるにはどうしたら良いか考えてほしいからこの本をまとめたと言っている。自身の老後の過ごし方の参考にしてほしい、ということだ。