わたしの魚(ウォ)キペディア 第28回 ほっけ
「今日はホッケをお刺身で出すんだよ」と聞いた時は驚きました。
「ホッケ?ホッケってあのホッケ?開きの、居酒屋さんにあるあのおっきいホッケ?」
主人は「ホッケっていま何回も言ったね」とでも言いたげな笑みを浮かべながら、冷蔵庫からホッケを出してきました。
「おそらくその開きはシマホッケ、これはマホッケ」
まな板に一尾まるごと横に倒すではなく背鰭が上の向きで泳いでるのと同じ状態に置かれたマホッケは、薄っすら黒くて太い筒のようで、まるでアメリカのコミックに出てくる魚の頭が付いたミサイルのようでした。北の最終兵器という異名を思い出しました。
「イゴール・ボブチャンチン‥」
「え?」
「いや、なんかマンガのミサイルみたいだなって」
「ああ、活け〆でまだ身がイカッてるから模型みたいにパキーンってしてるかもな。開きじゃないホッケってこっちだと見ないもんな。アイナメっぽいっちゃぽいけど…いや、あんま似てないか」
堅く太ったホッケを三枚におろす主人を見ながら
「お刺身かー」
とつぶやくと
「流通が格段によくなったからできることなんですよ」
と返事がきました。
「メヒカリとかさー、シシャモとかさー、タチウオとかもそう?」
お刺身で食べられると聞いてビックリしたものを挙げると
「ああ、そうね」
と言われました。
私の記憶にあるホッケは居酒屋チェーン店のメニューにある『ホッケの開き』です。アジの開きしか知らなかった当時、四~五倍の大きさに驚いたものです。