新支店長に指名されて、出納業務の責任者になったのは、信用金庫に就職して5年を過ぎた26才の時だった。
昭和30年代には、当時の金融機関での出納の仕事は、機械など何も無い時代です。
当然に、お札勘定も硬貨の整理など何をするにもすべて「手作業」です。
平成19年現在の出納業務のやり方を前項「現金間違いの防止 2」に書きましたが、今はこれだけ「合理化・機械化」が進んでいれば「現金の間違い」はほとんど無いと考えられます。
しかし、某官庁では、現在でも、いまだに「現金の不突合」が発生しているという。さらに「現金の着服や詐取」もあるという。
何んと予算のムダ使いがいつまでも続くのか、前項で書いたが、信用金庫に学んで現金事務の機械化を早るべきだ。
昔に出納業務をやってきた私は怒っている。
手作業で作業してきた、戦後間もなくの時代でもこれほどに現金間違いが出ることはなかったぞ。
諺(ことわざ)《親子の中でも金銭は他人》
(金銭に関しては、親子の間柄でも他人のように水臭くなるのが人の常であるという事。
また、親子であっても金銭に関しては他人と同様にきちんとけじめをつけなくてはいけないの意もある。)
A.《金銭出納事務で間違いが発生》
私も昔に、現金出納事務の責任者を任されて、3年間勤めたがその間一度も現金間違いの発生は無かった。
と「新支店長のやり方 その6とその7」で書いてきました。
しかし、こんな現金の不突合事件があったことを書いて参考にしたいと思います。
「或る日、中堅の当店取引先が現金の支払に店に見えました。午前10時ころのことと覚えています。
当店での支払い金額は30万円でした。当然に千円札の札束で、一束10万円の3束で支払をしたわけです。
(当時は千円札が最高金額です。今の価値に直すと300万円を超える金額になるものと思います。)
午後2時ごろ、当店のお客様から電話があり、材料の仕入れ先にそっくりそのまま支払い。
材料屋さんも、そのまま自分の金融機関に入金した。
たが、千円札が一枚不足していると、材料屋さんの取引金融機関から連絡が入ったと言うのだ。
先方の材料屋さんは、大恥をかいたと大変に怒っていると言う。」
と言う苦情の電話が支店長に入った。
私共金融機関の札束の始末の仕方を書いておきますと、
上記の不始末は発生しないように日頃から十分注意していて次の様に取り扱っている。
ア・当日に窓口入金の千円札束は、当日の支払には原則使わない。
イ・当日入金された、他の金融機関の札束は、必ず札帯を外して、第一担当者が数えて間違いないことを確認してから入金手続きをする。
ウ・この10万円の千円札束は、次の第二担当者に回して再度金額の確認してから帯封する。
エ・帯封した、帯には日付印と第二担当者の印鑑を押して、第一担当者に戻し印鑑を押させて、出納責任者に返す。
オ・責任者は、当日の現金出納事務が間違いなく終了することを確認しで、全部金庫内に収納する。
カ・当然に当日の現金類は、翌日まで封印される。
こんな出納事務処理の流れの中での、現金不足事件の発生である。
早速、出納事務職員全員を残して、当日現金在高の確認作業を行う。
その確認作業はこうだ。
出納事務方の対応。
ア・金庫室に格納した現金を全部出して、千円札10万円の金額札束は元より、小額硬貨まで全部再検査する。
イ・金銭での間違い出ないということが確認されたら。
ウ・各自の机の廻り、上も下も丹念に調べる。机の中引き出しも当然に調べる。足元の床の上も丹念に調べさせる。
エ・この調べは、Aの担当者の調べはB担当者に、B担当者の調べはC担当者という風に交代させて調べさせる。
オ・ここまで、調べても当方に現金の過不足が無く、間違いが出なかったことを確認したら。
責任者から支店長に報告する。
カ・すぐに、出納責任者が女子担当者を連れて、当店の取引先宅に事情を説明しに行く。
キ・取引先が当方の説明に納得されない場合には、電話で支店長に報告し。
ク・支店長または次席責任者に来宅してもらい、その始末を任せる。
このような、流れで作業する。
ケ・当然に、当方に責任が有ると言う、結果が出たら、出納責任者と担当者は「始末書」を書いて、支店長に堤出する。
コ・金銭負担と責任の始末は、支店長に委ねる。
B.《金銭出納事務の間違いの顛末》
この件の現金出納事務の不足金発生の結果はこうなった。
ア・翌日、重い頭を抱えて店舗に出勤する。
イ・支店長に、お客様との話合いの様子を伺う。
エ。どうも、お客様は当方の説明に納得しないで未解決の様子だ。
オ・午前9時30分過ぎ、当該お客様から支店長に電話が入る。
カ・支店長の、受け答えが、柔らかい。
キ・直感的に解決したなと感じる。
《解決の結末》
ク。間もなく、支店長に私か呼ばれた。
ケ・別室でその経緯を聞かされた。
お客様は大変恐ひくしていたと言われる。
コ。支払を受けた30万円の札束3束は、旦那さんが、材料屋さんに支払うために下ろしたもので。
サ・自宅に帰って来て、午後に取引先が見えるまで「神棚にそのまま載せて置いた」
シ・午後取引先に、神棚の札束をそのままに、材料屋さんに30万円の支払いをした。
ス・取引先は、その日のうちに自分の金融機関に入金した。
セ・しかし、材料屋さんの取引金融機関から「千円札が一枚不足」といわれた。
ここまでの説明が、私に支店長が私にしてくれた内容だ。
別室での支店長は、この経緯は出納係員には、「円満に解決した。」とだけ伝えてくれ。
それは、「この現金過不足事件は、取引先の奥さんが起こしたもので、あまり大騒ぎすると、家庭内が難しくなる。」
一応、「円満解決としておけ。」と言う支店長の指示。
ソ・私としては、それでは「なにがあって解決になったのか判らない」と質問する。
タ・結局。「神棚に置いた30万円の札束」から、旦那が用事で外出した後、
奥さんが買い物に出るのときに、手持ち現金が不足するので、旦那が不在だったが、神棚の札束から一枚引き抜き買い物に使ったのだという。」ことが後で解った。
結果を聞くと、「なあんだ」と言うことになるが、信用第一の金融機関だ。
現金の不始末には、このくらいの配慮と注意力を割いていて当たり前なのだ。
円満に解決したが、一歩間違いがこちら側の金融機関の責任で有ったとしたらと考えるとぞっとする。
「一度失われた信用は戻ってこないぞ。」とくに現金事務では。
「現金過不足はあってはならないのだ。ただ理屈では誰でも分かっているが実際には難しい。」
・一生懸命にやっていても間違いは発生する。 (善意の過不足)
・心に忍び込む不正心、悪心が目の前のお金に手を出す。(悪意の過不足)
・出納現金事務は、携わる人の心との戦いだ。(管理者は注意深く常時善か悪か目を光らせている必要がある。)
昭和30年代には、当時の金融機関での出納の仕事は、機械など何も無い時代です。
当然に、お札勘定も硬貨の整理など何をするにもすべて「手作業」です。
平成19年現在の出納業務のやり方を前項「現金間違いの防止 2」に書きましたが、今はこれだけ「合理化・機械化」が進んでいれば「現金の間違い」はほとんど無いと考えられます。
しかし、某官庁では、現在でも、いまだに「現金の不突合」が発生しているという。さらに「現金の着服や詐取」もあるという。
何んと予算のムダ使いがいつまでも続くのか、前項で書いたが、信用金庫に学んで現金事務の機械化を早るべきだ。
昔に出納業務をやってきた私は怒っている。
手作業で作業してきた、戦後間もなくの時代でもこれほどに現金間違いが出ることはなかったぞ。
諺(ことわざ)《親子の中でも金銭は他人》
(金銭に関しては、親子の間柄でも他人のように水臭くなるのが人の常であるという事。
また、親子であっても金銭に関しては他人と同様にきちんとけじめをつけなくてはいけないの意もある。)
A.《金銭出納事務で間違いが発生》
私も昔に、現金出納事務の責任者を任されて、3年間勤めたがその間一度も現金間違いの発生は無かった。
と「新支店長のやり方 その6とその7」で書いてきました。
しかし、こんな現金の不突合事件があったことを書いて参考にしたいと思います。
「或る日、中堅の当店取引先が現金の支払に店に見えました。午前10時ころのことと覚えています。
当店での支払い金額は30万円でした。当然に千円札の札束で、一束10万円の3束で支払をしたわけです。
(当時は千円札が最高金額です。今の価値に直すと300万円を超える金額になるものと思います。)
午後2時ごろ、当店のお客様から電話があり、材料の仕入れ先にそっくりそのまま支払い。
材料屋さんも、そのまま自分の金融機関に入金した。
たが、千円札が一枚不足していると、材料屋さんの取引金融機関から連絡が入ったと言うのだ。
先方の材料屋さんは、大恥をかいたと大変に怒っていると言う。」
と言う苦情の電話が支店長に入った。
私共金融機関の札束の始末の仕方を書いておきますと、
上記の不始末は発生しないように日頃から十分注意していて次の様に取り扱っている。
ア・当日に窓口入金の千円札束は、当日の支払には原則使わない。
イ・当日入金された、他の金融機関の札束は、必ず札帯を外して、第一担当者が数えて間違いないことを確認してから入金手続きをする。
ウ・この10万円の千円札束は、次の第二担当者に回して再度金額の確認してから帯封する。
エ・帯封した、帯には日付印と第二担当者の印鑑を押して、第一担当者に戻し印鑑を押させて、出納責任者に返す。
オ・責任者は、当日の現金出納事務が間違いなく終了することを確認しで、全部金庫内に収納する。
カ・当然に当日の現金類は、翌日まで封印される。
こんな出納事務処理の流れの中での、現金不足事件の発生である。
早速、出納事務職員全員を残して、当日現金在高の確認作業を行う。
その確認作業はこうだ。
出納事務方の対応。
ア・金庫室に格納した現金を全部出して、千円札10万円の金額札束は元より、小額硬貨まで全部再検査する。
イ・金銭での間違い出ないということが確認されたら。
ウ・各自の机の廻り、上も下も丹念に調べる。机の中引き出しも当然に調べる。足元の床の上も丹念に調べさせる。
エ・この調べは、Aの担当者の調べはB担当者に、B担当者の調べはC担当者という風に交代させて調べさせる。
オ・ここまで、調べても当方に現金の過不足が無く、間違いが出なかったことを確認したら。
責任者から支店長に報告する。
カ・すぐに、出納責任者が女子担当者を連れて、当店の取引先宅に事情を説明しに行く。
キ・取引先が当方の説明に納得されない場合には、電話で支店長に報告し。
ク・支店長または次席責任者に来宅してもらい、その始末を任せる。
このような、流れで作業する。
ケ・当然に、当方に責任が有ると言う、結果が出たら、出納責任者と担当者は「始末書」を書いて、支店長に堤出する。
コ・金銭負担と責任の始末は、支店長に委ねる。
B.《金銭出納事務の間違いの顛末》
この件の現金出納事務の不足金発生の結果はこうなった。
ア・翌日、重い頭を抱えて店舗に出勤する。
イ・支店長に、お客様との話合いの様子を伺う。
エ。どうも、お客様は当方の説明に納得しないで未解決の様子だ。
オ・午前9時30分過ぎ、当該お客様から支店長に電話が入る。
カ・支店長の、受け答えが、柔らかい。
キ・直感的に解決したなと感じる。
《解決の結末》
ク。間もなく、支店長に私か呼ばれた。
ケ・別室でその経緯を聞かされた。
お客様は大変恐ひくしていたと言われる。
コ。支払を受けた30万円の札束3束は、旦那さんが、材料屋さんに支払うために下ろしたもので。
サ・自宅に帰って来て、午後に取引先が見えるまで「神棚にそのまま載せて置いた」
シ・午後取引先に、神棚の札束をそのままに、材料屋さんに30万円の支払いをした。
ス・取引先は、その日のうちに自分の金融機関に入金した。
セ・しかし、材料屋さんの取引金融機関から「千円札が一枚不足」といわれた。
ここまでの説明が、私に支店長が私にしてくれた内容だ。
別室での支店長は、この経緯は出納係員には、「円満に解決した。」とだけ伝えてくれ。
それは、「この現金過不足事件は、取引先の奥さんが起こしたもので、あまり大騒ぎすると、家庭内が難しくなる。」
一応、「円満解決としておけ。」と言う支店長の指示。
ソ・私としては、それでは「なにがあって解決になったのか判らない」と質問する。
タ・結局。「神棚に置いた30万円の札束」から、旦那が用事で外出した後、
奥さんが買い物に出るのときに、手持ち現金が不足するので、旦那が不在だったが、神棚の札束から一枚引き抜き買い物に使ったのだという。」ことが後で解った。
結果を聞くと、「なあんだ」と言うことになるが、信用第一の金融機関だ。
現金の不始末には、このくらいの配慮と注意力を割いていて当たり前なのだ。
円満に解決したが、一歩間違いがこちら側の金融機関の責任で有ったとしたらと考えるとぞっとする。
「一度失われた信用は戻ってこないぞ。」とくに現金事務では。
「現金過不足はあってはならないのだ。ただ理屈では誰でも分かっているが実際には難しい。」
・一生懸命にやっていても間違いは発生する。 (善意の過不足)
・心に忍び込む不正心、悪心が目の前のお金に手を出す。(悪意の過不足)
・出納現金事務は、携わる人の心との戦いだ。(管理者は注意深く常時善か悪か目を光らせている必要がある。)