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父、帰る

2004-10-02 | 映画
監督:アンドレイ・ズビヤギンツェフ ロシア 2003

12年ぶりに「帰って」きた父。いつものように戯れて家に戻った兄弟に母が、静かにしなさい、なかでパパが寝ているんだから、と、煙草プカー。寝室のドアをあけると、ブルーのシルクのシーツをまとい、足裏をみせてベットに横たわる男。あれはほんとうのパパなの? 屋根裏にしまってある12年前の家族写真を探しにいくふたりの息子、イワンとアンドレイ。旧約聖書の「アブラハムのイザクの犠牲」の場面にはさまれた写真をみて、たしかにパパだ、とふたり。そして翌日から三人の「一週間」がはじまる……。

聖書をしらないと謎おおすぎ。と感じさせるところがこの作品の弱さ。ポップコーンくいながら映画みるひとはどうでもいいって監督言っていて、それはまよわず同意するけど、聖書とポップコーンを両極に置かれても困る。
これは、ごくふつうの兄弟(姉妹)を描く映画とみればよい。誰がみても歳が異なることだけを役割として与えられた兄弟(姉妹)という関係の、陳腐さと貴重さ、ゆるぎなさ。とにかく父といったらおとうさんであって、神ではないよわたしにとっては。兄弟が戯れて、弟のわがままを兄がきき、父との約束をやぶってしまった、父は兄を叱る、弟が名乗り出る、それでも父は兄を責める、弟は兄が好き、その兄が慕う父が兄を責めるのが許せない、そうしてないがしろにされた自分が哀しい、兄も逆の意味で哀しい、父もまたそれは誤解なんだと断末魔で無防備に告白する。みなそれぞれ哀しい。映画ですから最後は劇的なんですが、場面転換は驚くほど淡々。聖書抜き父性抜きとして、水と木と雑草と火と兄弟と車と船と、魚と灯台と飛び込みとカメラと双眼鏡、個々の日記に記されることがら。
アンドレイのカメラにおさめられたモノクロ写真がいいです。おとうさん、撮らなかったの?映んなかったんじゃない?

参照:公式サイト
   No hay banda/「父、帰る」

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