三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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オムニバス系3

2005-04-11 04:51:43 | モンスター映画
 ■シュヴァンクマイエルの不思議な世界■ 7作すべて傑作ですね。「男のゲーム」や「対話の可能性」の反復のクドさときたらもう。気持ちいいったら。すべて傑作ってことはもう自明中の自明として、一つ言いたいのは、なぜにシュワンクマイエル→シュヴァンクマイエルとタイトル改訂されたかってことですよ。これは次の『短編集』についても言えることだが、昔出たVHS版では「シュワンクマイエル」と表記されてて。単なるクレジットはともかくタイトルにヴァって来られるときついよ。昔から教室で学生にこれ上映してみせるとき「シュワンクマイエル」って発声で紹介してましたんでね私は。日本人で「シュヴァンクマイエル」なんて発音するやつほんとにいるのかよ。発音されもしない表記はやめてほしいよ。「ヴェトナム」とかな。いっそシュバンクマイエルならわかるのよ。マ、文字一つで目くじら立てても仕方ないですがね、一事が万事ってことで、そもそもパッケージデザインもなんかVHS版より明るくなっちゃって格調薄れてるような気が。これはだねー世紀の大傑作なんだからね、細かいとこ気使ってほしいよ。……あ、それにしてもこれもついにエントリーしたとは、俺の「モンスター映画」もだいぶ枠が広がったものだな。いやもちろん、「闇・光・闇」のパーツクリーチャーや「地下室の怪」の靴(ヤン恒例の)は間違いなくモンスターなんだけども。「対話の可能性」の融合分離生物もね。
 ■ヤン・シュヴァンクマイエル短編集■ 『不思議な世界』より全般少し質落ちるけど、ヤンはやっぱりヤン。「フード」3作のうち朝食がベストかな、やはり。ヤンお得意の永遠反復もの。きわめて退屈で欠伸を誘った「ワイズマンとのピクニック」はラストにガイ~んとオチが付いてて引き締まった。笑える。「スターリン主義の死」あたりになるとやっぱ社会風刺というかモロに押し出していて芸術性が薄れたね。あと最後に「プラハからのものがたり」てぇドキュメンタリー付けるのはちょっと……。むろん情報的に価値あるんだけど、オムニバス作品としての純度が薄まっちゃったな。
 ■大林宣彦青春回顧録■ 学生時代に『ウルトラQ』の自主上映会行くと「喰べた人」や「EMOTION 伝説の午後 いつか見たドラキュラ」をいっしょにやってることがなぜか多くて、だから複数回観てるよな、あの頃。「喰べた人」のシュールぶりは依然新鮮、前景ウェイトレスの無表情ぶりと後景ウェイトレスの平凡ぶりの対照がまた乙なんだけど、(ありゃ)と思ったのは「Complexe 微熱の玻璃あるいは悲しい饒舌ワルツに乗って 葬列の散歩道」。みんなでオッサンにわーっと飛びかかって靴脱がして足の裏くすぐりまくるあのシーンをね、また切に観たくなってこのたびDVD購入したのだけど、鮮烈に記憶に残っていたあそこ、実物は意外と淡泊だったんだね。もっとしつッこくやってるのかとばかり。体全体をくすぐっちゃってるしね。俺の中ではそーじゃなかったんだな、一点集中でもっと鋭角的だったんだ。両足の裏だけをみんなで寄ってたかってガリガリ爪立てて引っ掻いてる光景を期待してたんだよ~~。
 ■キャッツ・アイ■ 禁煙奇談の第1話はありがちな不条理モノゆえ言及に値しないとして、第2話の普通にハラハラさせる高層ぶら下がりシーンと「妻をあげよう」のオチ(あのオチだったら外壁一周、むしろ成功させてやりたかったわけだよな)、第3話のオープニングいかにも当方邪悪ですの呼吸音&地這い視点、そのへん結構素晴らしいのではないか。ネコ好きにとってもたまらない映画でしょうね。しかし第2話と第3話は最後の最後もう一個オチが来るのかと思ったら普通に終わっちゃったんでどうもな。第3話はたとえば、今度はネコが女の子の呼吸を吸い取っておりましたとさ、とかなんとか。だっててっきりそうなるかと思ったんだよ、ラストシーン。
 ■お茶の子博士の HORROR THEATER■ これほんとに、子どもが見る時間帯に放映されてたの? ホラーにコメディにナンセンスに、うーんいい味だ。流れ星拾ってエイリアンに変身するやつとか、なかなか本格的に作りまくってて。それと怪獣フィギュアオタク君、ほんとに出現した大怪獣に大喜びしたのも束の間踏みつぶされちゃうってやつが俺けっこう好きかな。単純で。単純って言えば幕間に監督と岸田森のコントが挟まるの、あれ面白いんだけど、なければ余計よかったよな、シュールとしか言いようのないあの手この手がハイテンポで畳み掛けられるからこその、このイカガワシめ作品なので。