三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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ナンセンス系4

2005-04-03 23:50:12 | モンスター映画
 ■アリス■ やはり映像はストーリーなしの自由さがいちばん! 次に何が起きてもOKってホント楽しいや! 準ひとり芝居のアリスがもぅ可愛すぎて(パンチラ2回半あり)。口元アップのナレーションの時に上下微妙に糸引く唾が幼くていい。縮んで人形になっても表情がしっかりつながってるものなあ。同じシュヴァンクマイエル(仕方ない、ワ→ヴァって表記しとくよ)の短編「地下室の怪」の女の子が陰だとしたらこの子はなにげに陽ね。何度かたまらず吹き出しちゃう瞬間にチラッと、常識世界の時間が垣間見えたり。ワタシの文脈では、ブタやハリネズミやニワトリがポンと出現する場面とか、逃げだそうとする靴下を捕まえるシーンとか、わけわからん骸骨クリーチャーたちが迫り来るしつこいくだりとか、いや選べないや、どこもかしこも大笑いってば。他人のレビューはほとんど参照しないワタシですが、このブっちぎり最高傑作ばかりは誰かいい褒め方してる同志いないかなーと探してみたところ、ありましたありました。2才女児がこっちを観てからディズニーのアリスに興味失って、これを観せろと矢の催促だとか。……そうでしょうそうでしょう! 良いモノは子どもにも(にこそ)わかるんです。妥協ない芸術作品よりお子さま向けの方に惹かれてみたりするのは疲れ切ったおとなだけだったりするんです(そういや横浜美術館『マルセル・デュシャン展』の最終日、3歳くらいの男の子が「ねえ、これ怖いお化け? これは? これも怖いお化けかなあ?」としきりにお父さんに話しかけてました(視線は常に作品に)。なんでもかんでも「怖いお化け?」なのでお父さんに無視されててかわいそーだったけど)。ともあれ2歳の頃から『アリス』観て育てば、地べたに尻ついときながら虫見たらキャーなんてのがたしなみだと思ってるギャルにならずにすむんだろうな。ゴキブリゾロゾロ的シーン断片もしっかり配置されてるわけなので。
 ■ファウスト■ (1994) うぁ~シュヴァンクマイエル(仕方ないこう表記しとくよ)お得意の繰り返しモノだ~。内部と外部で同じことが飽かず反復されると。俺も「伝言板」等でやったからわかるけど、このジャンル、1/f の肌理をどれだけ確保できるかが命なんだよな。反復の方向性というかメカが早い時期に見えてしまって『アリス』的予想不能ナンセンス風味が薄れちゃってるのがこの作品の難点だけど、人間と操り人形が目まぐるしく入れ替わるパターンが微妙にズレてくミニマルミュージックっぽさ、相変わらず快感。服を脱ぎ捨てる足踏みぶりなんか大爆笑ですよまったく。ただワタシとしては操り人形より前半チョコッとお目見えした例の骨クリーチャー&虫型クリーチャーにもうちょっと出ててもらいたかったような。しっかしまあ実写の人間をわざわざコマ撮りアニメに組み替えて本人と対話させるなんてなあ。ああいう凝りまくった手法がシュール度向上にとどまらずリアル度増強にも役立ってるわけだよな。実際、悪魔が訪れてくるとしたらほぼ自分自身の顔してて顔筋の動きだけ超異質だろうってのはまことに信じやすいモデルだぞ……。