ナスは天平勝宝2年(753)6月の『正倉院文書』に「藍国茄子を進上した」とみえ,1000年以上の歴史を有する。煮る,焼く,蒸す,油で揚げる,漬物に向くなど多様な調理に対応できたことから,庶民に珍重された野菜である。公式の生産統計は明治42年産からで,この年は28万3千トンとネギ(10万6千トン)を上回る収穫があった。
その後,増減を繰り返しながら,昭和46年には75万4,800トンと史上最高の収穫量を記録した。その後は他の野菜の出回りなどの影響を受けて減少傾向をたどるが,ここ数年は横ばいで推移している。
平成26年産は32万2,700トンで,ピーク時の57%減であった。季節別内訳は,冬春ナスが11万9,400トン(全体の37%),夏秋ナスが20万3,300トン(63%)である。単収に差があり,冬春ナスは10,700kg/10a,夏秋ナスは2410kg。
主な都道府県別収穫量は下図の通りである。
ここで,家庭内での消費状況を『家計調査』でみてみると,下図の通り,消費は減少傾向にあるが,このところ横ばいに推移している。ナスへの支出金額の食料費に占める割合は平成12年と比べると低下している。なお,11年以前は農林漁家世帯を除く結果,12年以降は農林漁家世帯を含む結果である。
都市別に購入量をみると,最多購入量(新潟市:2,232g)と最少購入量(那覇市:669g)とは3.3倍の差,変動係数は20.6%である。価格については,産地県の熊本市(29.62円/100g)や高知市(32.96円)は低価格。最高値(札幌市:54.03円,北海道はナスの生産なし)と最低値(熊本市)の差は24.41円と大きく,変動係数は12.0%である。
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