コーンスターチ製造用トウモロコシの輸入量は,平成2年に初めて300万トンを超え,平成11年に過去最高の365万6,383トン(475億円, 12,995円/トン)を記録した。その後,300~350万トンの範囲で推移している。平成26年は316万トン(901億円,28,524円/トン)で,1000億円に迫る輸入品である。輸入先はほとんど米国(97.9%)。産地は中央部のコーンベルト地帯(アイオワ・イリノイ・ネブラスカ州など)。
コーンスターチ(トウモロコシでん粉)の用途としては異性化糖や水あめ,ブドウ糖など糖化製品が多く,また生ビールにも用いられる。食品以外にも工業用(段ボールの接着剤など)や薬品用として使用される。
製品中最も多い異性化糖はトウモロコシやジャガイモ,サツマイモのでん粉を加水分解してつくったブドウ糖の一部を酵素等の働きで果糖に変えた(異性化した)もので,液状の糖(年間生産量は約80万トン)である。
ブドウ糖を果糖に変えることを異性化という。果糖は冷えると甘味を増すため,砂糖の代わりに甘味料として清涼飲料や乳酸菌飲料,アイスクリーム・シャーベットなどの冷菓等に使用される。このほか,焼き肉のタレ,麺つゆ,ドレッシング,醸造用調味料,トマトケチャップ,濃厚ソース,納豆などの原材料として多方面で利用されている。これらの製品の原材料名欄には異性化液糖,果糖ブドウ糖液糖,ブドウ糖果糖液糖などの名で表示されている。
ところで,原料のトウモロコシは遺伝子組み換えトウモロコシの可能性があることから,例えば,氷菓を製造する良心的業者は,原料のトウモロコシが遺伝子組み換え不分別(遺伝子組み換えトウモロコシが含まれる可能性ある)旨表示している。
なお,異性化糖は原材料として利用されるため,一般消費者の目に触れることはないので,その価格を直接知ることはできないが,日本経済新聞の相場欄(毎週1回土曜日掲載)で「大口需要者向け,タンクローリー物,JAS規格品,水分25%,1㎏」の果糖分42%物と同55%物の価格の動向を知ることができる。