アバター観て来ました

SF小説の世界ではとっくに実現していることに現実が追いついてくるスピードはもしかして早くなっているのだろうか。
いや、人間の寿命を基準に考えると、遅々とした歩みかもしれない。
しかし、白黒の活劇映画を識っている世代からすれば、今生の映画技術には隔世の感を強くせざるを得ない。
3Dの魅力がたっぷり詰まった迫力の映像は実に美しい。
それでも、もどかしさは感じる。自分が観たいと念じた世界が今まさに目の前に展開されているのだが、既視感が感動をそいでしまうのだ。
ターミネーターがB級映画の傑作でなければならない理由は原初のエネルギーに含まれる雑味こそが命だからだ。
深め、洗練させようとするとどうしても本体の輪郭が痩せてしまうという矛盾が生じてしまう・・・。
空に浮かぶ島は今さらのようにマグリットの世界であり、ラピュタの世界であるし、植物の精霊というテーマは「ナウシカ」や「もののけ姫」のイメージに重なってしまうのだ。
それでも、やはり日本語風に云うと「反魂術」の落とし方には救いがあったし、人間がいつの時代でも似たような愚かさから脱することができないループの中にいるとしてもそこから飛び出す因子も決して皆無ではないという希望が盛り込まれていて健全な映画だったと思う。
美しい映像で描き出された異世界の風景。子供の自分で観てみたかったという気がします。