中南米各国の女性閣僚や市民団体の代表らが参加する第14回中南米カリブ海地域女性会議が1月28日から4日間、チリの首都サンティアゴで開かれました。政治・経済・社会面でいまだ根強い女性差別の実態やその是正のとりくみ、対策などが話し合われ、最終日の31日には、女性への差別を一掃する課題、ジェンダー平等への努力を強化する方策を列挙した文書を採択しました。
会議はサンティアゴに本部を置く国連中南米カリブ経済委員会(ECLAC)が主催。ECLACの発表によると、地域の全33カ国から14人の女性閣僚を含む政府代表、356人の市民団体代表が出席しました。
採択された文書「サンティアゴの約束」は、ジェンダー平等が強調された「第4回世界女性会議(1995年、北京)行動綱領の効果的な実践を加速するため必要なあらゆる措置をとる」「国のさまざまな段階で女性の登用とジェンダーの視点を貫くことを通じて、ジェンダー問題の諸機関を強化する」と述べています。
また、性別や人種などを理由にした賃金差別の是正も勧告。低賃金の仕事が女性に押し付けられ、「貧困の女性化」といわれる問題に着目し、解決を訴えています。
メキシコ政府は1月初旬に女性の視点を重視した外交方針を発表し、外務省職員の男女同数化を目指すと表明したばかり。同国のマルタ・デルガド外務副大臣は、会議中のメディア取材に対して、外交の重要な決定過程に男性だけが参加する現状を批判し、女性の外交官を増やすことが必要だと強調。「私たち女性は違った見方ができる。それが議論を豊かにし、より現実的な解決策をしめすのを助けることになる」と説明しました。
ECLACのアリシア・バルセナ事務局長は閉会式で、不平等とたたかう決意を表明。「私たち女性がいなければ何もなしえないのです。女性の殺人も暴力もない世界、賃金や経済の分野で平等な世界を望みます」と訴えました。
2年後にアルゼンチンで開催される次回会議まで地域女性会議の議長国となったチリのイサベル・プラ女性・ジェンダー平等相は、女性の地位向上でさまざまな成果があったものの、社会的経済的格差が女性を苦しめている問題を提起し、格差を解決しなければ「持続可能な発展への門をくぐることはできない」と語りました。
UNウィメンのマリアノエル・バエサ中南米カリブ局長は、この地域では「この間にジェンダー平等に向けて重要な前進があったが、まだなすべきことはたくさんある。女性はもう待てない」と述べ、今回採択された「サンティアゴの約束」を「行程表」として活用しようと呼び掛けました。
UNウィメン ジェンダー平等や女性の地位向上に取り組む国連機関。2010年の国連総会決議によって国連女性地位向上部など四つの機関を統合して創設されました。
― 2/3 しんぶん赤旗より ―