運動が政府を動かす
フランス政府は23日、すべての学生に生理用品を無償提供すると発表しました。今月、学生団体の調査で経済的に困窮し食料か生理用品かの購入の選択を迫られる学生が10人に1人超もいることが明らかになったばかり。「生理の貧困」を無くすための運動が政治を動かしました。
フランス政府は、数週間以内に大学の寮や保健施設にタンポンや生理用ナプキンを無償提供するための機械を設置すると表明。次の年度が始まる9月には全国で計1500カ所に配布場所を設け、すべての学生への無償提供を目指します。
調査を実施した団体の一つ、全国学生助産師協会(ANESF)はツイッターに「長年求め続けてきたことが実現した。本当にうれしい」と投稿しました。
調査では、3人に1人の学生が生理用品を購入するための経済的な援助が必要だと考えていることも判明しています。ビダル高等教育・研究相は「生理の不安とのたたかいは、尊厳、連帯、健康の問題だ。2021年になっても食料か身を守るかの選択をしなければならない状況があるのは受け入れられない」と表明しました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う都市封鎖措置で、経済的に困窮した学生が食料の無料配布所に押し寄せる様子をフランスメディアが報じています。多くの学生がカフェやレストランでのアルバイトを失い、生活費のやりくりに苦労していると言います。
NZの小中高校 生理用品 生徒に無償提供
教育省「ぜいたく品でなく必需品」
ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相は18日、すべての小中高校で6月から生理用品を無償提供すると発表しました。生理用品が買えず学校を休む女子生徒の「生理の貧困」が問題となるなか、運動団体や学校長から無償化を求める声が上がっていました。
アーダーン首相は同日、ハミルトンの大学で講演し、「人口の半分の人たちにとって当たり前の生活の一部が原因で、若者が教育の機会を逃すことがあってはならない」と表明。昨年6月に一部の学校で試験的に始めた生理用品の無償提供で「積極的な成果が得られた」として、全国のすべての学校に拡大すると述べました。
同国で2019年に実施された調査で、9~13歳の生徒(約8000人)の12%が「価格のせいで生理用品の購入が難しい」と回答。「生理用品がないので学校を欠席したことがある」と述べた生徒も8%に上りました。政府は、生理中に学校に行かない生徒は9万5000人に上ると推計しています。
同国教育省は、生理用品は「ぜいたく品ではなく、生活必需品」だと指摘。無償提供によって▽授業やスポーツ活動への出席率を上げる▽貧困家庭の経済的負担を減らす▽生理のスティグマ(恥)を取り除き、積極的なジェンダー規範を促進する―としています。
「生理の貧困」をめぐっては、欧米各地で生理用品の無償化を求める取り組みが広がり、英スコットランド議会では昨年11月、必要とするすべての人に無償提供が決定しています。
― しんぶん赤旗より ―