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TANEの独り言

日々の生活の中でのつぶやきだから聞き流してネ

今年3山目になる『山陰遠征の三瓶山』【最終話】

2023-02-09 16:26:00 | 山岳会
風を避けられる子三瓶山の南斜面で昼食を摂った私たちは、「扇沢」に向かって下山をはじめました。


その頃には青空も見え、陽光が白い雪に反射して眩しいほどでした。

雪目にならないよう持ってきたサングラスも着けました。

子三瓶山の北斜面は滑り台みたいに急傾斜になっており、深い雪に覆われています。


その斜面を半ばお尻で滑るように(尻セード)して降りていきます。

途中、前を行っていた会長さんの奥さんの右脚が腰まではまり込み、一人では身動きできなくなったのです。

奥さんは笑いながら、

「登山靴が岩に挟まり抜けなーい!」

と助けを求められたので私は直ぐに近付いたのですが、私も右脚がスッポリとはまり込んでしまったのです。

私は何とか自力で抜け出すことができましたが、2人揃ってはまり込んだ姿はさぞ滑稽だった事でしょう。

奥さんの方は、はまり込んだ右脚の爪先側と踵側を2人がかりで掘り出し事なきを得ました。

岩に挟まって抜けないと思われた奥さんの足の周りは、登山靴をスッポリ包んだかたちで雪が固まりかけていました。

ストックかピッケルを使わないと掻き出せないくらいでした。

『単独行だったら抜け出せないなぁ… 』

と、何だか恐ろしくなりました。


途中、1か所ルートを間違えそうになりましたが「扇沢」まで降りてきました。

「西の原登山口」と逆の方向にあるお鉢の内側の「室の内池」へ行くことも考えましたが、雪の状況も分からない上に時間的な問題もあり真っ直ぐ下山することにしました。

麓に近づくにつれて雪質は水を含み重く感じられました。

登山靴で踏んだ雪の下に枯葉や土の色も見えはじめた頃、私たち6名は無事に下山したのでした。


「西の原登山口」では下山した私たちを祝福するように長く繋がった連凧が夕暮れの空を泳いでいました。













今年3山目になる『山陰遠征の三瓶山』【その④】

2023-02-08 15:40:00 | 山岳会
下の地図の青い線が当初計画していたルートで、赤い線が実際に辿ったルートです(タイムは夏山時で、今回この1.5倍で計画)。


時には腰まで雪にはまり込みながら「風越」まで一旦下った私たちは、子三瓶山への登りに取り付きました。

「風越」から先の子三瓶山への登りには数日前のモノと思われるトレース(歩いた跡)があり、

『これから先はこのトレースを辿るだけだから随分と楽になる!』

と喜んだものでした。

ところが、そのトレースも山頂下の急登の手前で消えてしまっているではありませんか。

余りの雪の深さに登頂を諦めて、撤退したようなのです。

私たち6名は山頂に続く雪の斜面をしばらく見上げていました。

そのうちに、登山歴も長く三瓶山の周回も何度か経験がある年配の女性メンバーが口を開きました。

「山頂はこの斜面を登った先にあるから、ココを登って行くしかないよね!」

その言葉を合図に、会長さんは四つん這いになりながら深い雪の斜面に取り付かれたのでした。

一番の年配者である会長さんに大変なラッセルをさせるわけには行きません。

その時ピッケルを手にしていた私が先頭に立ちました。



『グレートトラバース』で田中陽希さんが、ピッケルを使って胸まである雪を掻き出しながら膝で押さえつけ、更に登山靴で踏み固めながらラッセルしている映像思い出し、見よう見まねでやってみました。

この時の雪は、1週間ほど前に積もった雪がその後の好天で少しずつ溶け、その上に昨晩から今朝にかけて降った新雪が数cmかぶっている模様でした。

下層の雪は半透明で氷の粒が固まっており、横にしたピッケルで雪を掻き出そうとしてもそう簡単にはいきませんでした。

それならばと、ピッケルを掴んでいる両腕の力で体を引っ張り上げ、膝で雪を締めてから登山靴で踏み固めながら登って行ったのでした。



標高にして50m足らずだったと思いますが、私は疲労困憊し、緩やかな稜線に出た後は最後尾からヨタヨタしながら付いて行ったほどです。



子三瓶山の山頂に立った時の喜びは格別でした。



太陽の光を受けた男三瓶山から女三瓶、孫三瓶山の山々も格別でした。



もちろん、そこで食べたカップ麺の味も格別なものでした。










今年3山目になる『山陰遠征の三瓶山』【その③】

2023-02-07 20:38:00 | 山岳会
宿舎を出発した時点での気温は3℃で、登り始めると汗が出るほどでしたが、1時間くらい経った頃から小さな粒状になった霰が降ってきました。

薄手の手袋だけでは指先が冷たくなってきたので、秘密兵器の『TEMRES』の登場です。


ここまで着けていた薄手の手袋は雪で少し湿ってしまったので『TEMRES』だけで様子を見ることにしました。

その後、山頂でもピッケルを使ったラッセル時も『TEMRES』1枚だけで通しましたが、指先が少し冷たく感じることはありましたが大丈夫でした。

『恐るべし、TEMRES!』


孫三瓶山頂に続く長い長い尾根道を登って行くと、開けた山頂に着きました。


ベンチの高さまで雪が積もっています。

そこはガスに包まれ展望はありませんでしたが、予定より30分遅れの孫三瓶山頂でした。

1週間前の大寒波で、その間誰も山頂には近付くことができてなかったようで、山頂は私たちが初の登頂者だったようです。



これから先のルートも厳しいラッセル(雪かき)が予想されたため、予定を変更し「子三瓶山」に登った後は「西の原登山口」へ下山することとなりました。

すぐさま、計画を変更したことを本部(地元の留守本部)に連絡を入れた私たちは山頂を後にしたのでした。

その下りもまたトレースは無く、私たちは時には腰まで雪にはまり込みながら誰一人会う事もなく、次に目指す山である「子三瓶山」に向けて進んで行きました。



こんな経験をした事がなかった私は、踏み跡の無い真っ新な雪に自分の足跡を残しているという事にワクワクしてしまい、不安や心配など全く湧いてこなかったのでした。











今年3山目になる『山陰遠征の三瓶山』【その②】

2023-02-06 21:46:00 | 山岳会
登山前の情報収集のために三瓶山を半時計周りに周回し、各登山口の積雪状況を確認するつもりでしたが、一部分の道路は除雪されておらず一周することはできませんでした。

でも、通行できる道路上には雪は無く快適に車を走らせる事ができます。

自分たちにできる冬山装備はできていると言う自負はありました。

アイゼンやピッケルまたはストックは持ってきていますし、念のためにスノーシューも持ってきている人も数人いました。

あとは実際に登ってからの状況判断です。

メンバーの中には山岳会の会長さんはじめ冬山登山の経験豊富なメンバーばかりです。

安全第一で、決して無理や無茶をする人はいません。

イザという時はキッパリと途中撤退することも辞さない、潔い方ばかりなのです。



宿舎に到着した日の夜は、やはり “前夜祭” となりました。

部屋に荷物を運び込むとすぐに温泉に直行で、部屋に戻るとすでに缶ビールから始まり各自持参した日本酒、ワイン、焼酎をホドホドに頂きました。

その後、食事会場でもアルコールを補給して皆さんはグッスリと眠りにつかれていたのでした。

しかし、私は明日の “冬山” に若干昂りを覚え、なかなか眠りにつくことができませんでした。

今更ながら自分の “繊細さ” を自覚することになったのでした。

どれくら眠ったか分かりません。

いつの間にか眠っていたようで、まだ暗いうちに会長さんがトイレに立たれたのをきっかけに、皆んな最終的な出発準備に取り掛かりました。

窓の外はまだ暗く、空模様は分かりませんでしたがスマホの天気予報では雨… 。

駐車場に停めてある車のフロントガラスには薄っすらと雪が張りついています。



前夜に宿舎で準備してくれたオニギリを食べ、午前7時には宿舎を出発しました。



その頃にはミゾレ混じりの雪は止んでいました。

除雪された道路を10分ほど歩いて登山口に着いた私たちは、急に雪深くなった登山道に立ったのでした。


前日かそれ以前のモノと思われる登山者のトレース(歩いた跡)があったので、それを辿って登って行きます。

そのトレースは30分も辿ると突然山の麓に向かって方向を変えていたのです。



その後は自分たちの足跡だけが降り積もった雪の上に刻まれていったのでした… 。

















今年3山目になる『山陰遠征の三瓶山』【その①】

2023-02-03 20:51:00 | 山岳会
今朝の7時半過ぎに家を出て、会長さん夫婦を車に乗せ集合場所に向かいました。

8時半に出発し、途中で昼食休憩をとりながら島根県太田市を目指します。

中国自動車道に入った辺りから、道路脇の斜面に雪がチラホラ積もっているのが見受けられました。

高田ICで高速を降りて一般道を北に向かって車を走らせて行くと、中国山地を越える辺りから積雪の量が増えてきました

そして、15時頃には雪を被って白くなっている三瓶山を目にすることができました。

宿舎に行く前に、三瓶山の麓にある各登山口の積雪状況を確認するため、車で三瓶山の麓を一周してみることにしました。

南側も東側も北側も道路は通れますが、道路以外一面雪に覆われています。


走る車の窓からは、明日登る予定の女三瓶・男三瓶・子三瓶・孫三瓶の各ピークが雪をかぶっているのが見えました。



更に、西側にある登山口に向かおうとしましたが除雪されておらず、1m程の高さの雪が道を塞いでいるではありませんか!



私たちは来た道をUターンして宿舎に向かったのでした。

さて、明日は最初からラッセル(雪かき)になるのかなぁ…