
「港ーマス」は「ミナトーマス」と読むのだそうだ。これは講師:北王子翼(屍派家元)、司会:大橋美加(ジャス歌手)を中心とした句会である。それにきのうの夜参加した。
都会は苦手で3人の人に聴いてやっとたどりついた。
秋雨やカフカのKのごと迷ふ わたる

頭の大きい二人に負けそう。ぼくの左の黒い衣装の方が北王子翼さん。
美加さんとは2009年6月25日、松山のNHKスタジオではじめて会った。座長が夏井いつきの俳句王国に一緒に出演したのであった。以来彼女からジャズ講演のこと句会のこととしばしばメールをいただいているがほとんど返信していない。
ジャズも句会も興味がなかったのだがさきごろこの句会のお知らせが来たとき兼題が「運動会」であった。
教師父母子供御苦労運動会
爺婆に運動会の砂が降る
先見えぬ世を輝いて運動会
を暑い孫の運動会で作っていて急にそれを人に見せたい心理であった。また、北王子翼という息子ほどの年齢の有名な俳人に急に会いたくなった。
美加さんはぼくに握手して懐かしがった。彼女はぼくに興味を持ち続けていて驚いた。
この10年の間に呼ばれて一度大橋家で句会をしたことがある。そのとき翼さんはすでにそこにいたらしく、ぼくが彼に「君、俳句うまいね」と言ったらしいのである。
「君、俳句うまいねと言われちゃったよ」と後で翼さんと美加さんが大笑いしたのだそうだ。それが美加さんに強烈な印象を与えたのだそうだ。
まったく覚えていない。
その句会はとにかくルーズでありあのとき翼さんはまだ30代の半ば、リーダーの自覚が乏しかったのではないか。いまほどの座長の意識があればもっと句会は締まっていたからぼくがそんな発言をするはずはない。
美加さんは「君、俳句うまいね」をはじめとした天地わたるの喋りに味わいを感じていたらしく、「つまらないことを言ってもおもしろみ味がありそれは父に感じるようなもの」とえらく持ち上げる。父はかの大橋巨泉である。
ぼくは北王子翼選しか興味がなかったのであるが、
籾殻燃ゆ雨降れど母身籠れど わたる
流星やレーニン白く横たはり わたる
が採られた。もっとも上の句は「身罷れど」を「身籠れど」で誰かが誤記したのだが、翼さんの土俗的なものへの思い入れを聴くうち受胎のほうがいいかもしれないと気が動いた。
流星のほうは、防腐処置を施された死体とまでわからず倒れたレーニン像と読んだが、彼ひとりこの句に関心を示したのはさすが。流星の句に「君、俳句うまいね」と翼さんが意趣返しをして笑った。
兼題のもう一句、
二杯目の紅茶もひとり秋の雨 わたる
美加さんは絶賛したが翼さんはパス。「悪くはないが出来すぎ」、この評価はわかる。
さて北王子翼の句をぼくは一句も採らなかった。
蓑虫や己に唄ふ子守唄 みどり
これを特選でいただき翼さんだろうと思ったが女性のような名前にして51歳の男性であった。翼さんは季語が近いというがぼくは付けた内容がいいのでこれでいいと思った。みどりさんとは俳句の行き方で気が合った。
翼さんは相手を見て手抜きをしていたのではないか。それが不満であった。彼と一度、ガチンコ試合をしたい。
