<ミエの願いは>
ミエはその日、母親と共にお寺にやって来ていた。
母は頭を地面に付け、一生懸命お祈りをする。
ボーッとしているミエとは対照的に、母はずっとぶつぶつと願いを唱えていた。
良い旦那、そして良い家に恵まれますように・・と祈りは続く。
願い?
願い・・・
願い・・・!!
”願い”というキーワードでミエの脳内にスイッチが入った。
飛行機に願掛けをしていたミエのことだ。”願い”は山ほどある。
脳内PCに”Enter keyを押して下さい”表示が出た。
山ほどある願いを全てふるいにかけたらーー・・
多スギデス
ですよね、と納得したミエは、
これだけは譲れないという願いをお願いすることにした。
あの子と同じクラスにだけはなりませんように
そして・・
<新学期の朝>
ミエ・・ ファン・ミエ!
この子はファン・ミエだよ
閉じた瞼の裏側に、声が反響する。
誰かがミエのことを呼んでいる。
あの子の名前を聞く前に、意識が徐々に戻って行く。
聞き慣れた母の声が、ミエを現実に引き戻す。
「エ・・ ファン・ミエ ・・」
「ファン・ミエ!」
「早く起きなさい!」
怒鳴る母の声に混じって、ムンクが吠えているのが聞こえる。
「アンタ遅刻だよ遅刻!!」
ミエは時計を見て青ざめた。
「ぎゃっ!お母さん!私遅刻じゃん! 」
いよいよ中学三年生の幕が開ける、こんな日にミエは全力疾走していた。
「チャイム!」
ディンドンディンドンと鳴るチャイムを聞きながら、走るミエ。
「うわあああああ〜!」
「仲間がいる!」
ミエの前に何人も、教室に向かって走る生徒たちがいた。
ミエはさらに加速する。
まだ遅刻と決まったわけじゃないー!
↑短距離記録には自信がある方
正門を抜け廊下を走り抜け、階段を駆け上がった先にゴールが見えた。
「12組!」
「セーッ・・!」
「・・フ」
トンッとミエはおでこをぶつけた。
そこに人が立っていたからだ。
顔を上げるミエ。
そこにはあの少年がいた。
ミエの目は思わず点になる。
3年12組の前で固まる二人。
<当選>
ミエは思わず吃った。汗もすごい。
「あ・・あ・・あ・・」
そんなミエの様子を見て、少年も遂に悟ったようだ。
自分とこの小さな女子が、同じクラスに”当選”したことを!!
ドドン
ドドドン!
ドドーン!
蒼白
[同じクラス 100%]
顔面蒼白は少年だけの話ではない。ミエもだった。
あれほど嫌だと思っていたことが、リアルに起こってしまったのだから。
<最悪>
少年は大きな溜息を吐いて、
青い顔で、それでも覚悟を決めた。
ガラガラ、と教室のドアを開ける。
ありえない・・同じクラスだけは・・ありえない・・
パニックになるミエ。
それもそのはず、この先には地獄が待っていたのだから・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第三話③でした。
12組って・・生徒多っ
もっとクラスあるんでしょうかね?!しかしその中で同じクラスになるのは
すごい確率です 物語が動き出しましたね!
最初のお寺のシーンですが、お母さんがしていたのが韓国式のお祈りみたいですね。
子供の受験が上手くいきますように、と親がこうしてお祈りするそうです。
韓国の受験戦争は本当に大変そうで頭が下がります・・
第三話④へ続きます!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます