朝、ファン家の電話が鳴っている。
そのベルを、ミエはげっそりした顔で聞いていた。
「はいもしもし?もー!なんなの昨日から!」
「行って来ます・・」
「ちょっと!ふらふらしないで真っ直ぐ帰って来なさいよ!
調子の悪い電話機にイラつきながら、母は忘れずにミエに釘を刺した。
しかし心ここにあらずといったミエの姿を見て、母は思わずため息をつく。
ミエは、何度もあくびをしながら道を歩いた。
昨夜の衝撃で寝付けず、眠いのだ。
あー寝たんだか寝てないんだか・・
ていうか今日会ったらなんて言おう・・
まず謝って・・でもお互いやらかしたんだからお互い様・・
そこまで思ったところで、視線に気づいた。
二人はこうしてバッタリと会う運命らしい。
「あ・・あの・・」
ミエが弁解を口にしようとした矢先、チョルの眼光が厳しくミエを貫いた。
ギッッ!
「あっち行けこの変態!」
あまつさえ、そんな捨て台詞付きだ。
ドドドド、とすごいスピードで走り去って行った。
は・・?
え・・こんなに怒る?いたいけな少女に変態って・・ひどすぎん?
ミエは寝不足で回らない頭で考えた。
昨日自分が何をしたのかを、もう一度思い出す。
そして何をして、チョルに「変態」と言われているのかに気が付く。
そう、チョルはミエが、わざとチョルの裸を覗いていたと思っているのだ——・・!
「ち・・違うのーっ!」
「違う!違うの!本当に誤解なんだってば!」
「ねえっ!ちょっとは私の話も聞いてよ!違うって言ってんじゃんかー!」
「ねえーーっ!」
ミエの叫びは、学校に着くまで続いた。
<変態注意報>
そして学校では・・。
ソロ〜・・
「あの・・昨日は・・」
話しかけようとすると、すぐにどこかへ行ってしまうチョル。
これでは取り付く島も無い・・。
<大魔王は変態がお嫌い>
授業中も・・。
「これは声のない叫び、あの青い海原に向かって伸びる、
キム・チョル、お前首でも折れたのか?」
「サッカーした時、怪我をして・・」
「あぁそうか、じゃあ廊下に出て首を伸ばして来なさい」
休み時間も・・。
ドタドタッ
自習中も・・。
机に突っ伏してるか、席にいないかのチョル。
ミエはいい加減ストレスが溜まってきたので、筆をしたためる事にした。
ねえっ!
昨日のはマ・ジ・で誤解だから!
あんたは私がわざとあんなとこ見る恥ずかしい奴だと思う?!
筆談のために書き連ねた文章であったが、それをチョルに見つかるやいなや・・・
グシャッ!!
「ヒィィィィィ!!」
大魔王だ・・大魔王がここにいる・・。
そして大魔王は、変態がお嫌いなのだ——・・!
第七十一話③でした。
あちゃ〜
チョルが大魔王化しちゃってる・・
弁解もできないのは辛いですね〜!学校だと目立っちゃうしね・・・
必死にミエと目を合わせないようにするチョルが少し笑えますww
第七十一話④に続きます
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