さて”大魔王”化したチョルであるが、彼の昨日の詳細はこうである。
「なんなんだよっ!!」
「なんで部屋交換したんだよ!!もう一回戻して・・」
「はぁ?
この恩知らずが!」
スンジョン姉はチョルにチョップを繰り返した・・。
キム家の女三人は長男が何事もなかったことを確認し、部屋を後にする。
「うちは7月までは絶対エアコンつけないってルールだかんね?
「気をつけて着替えなさいよ?ミエちゃん驚いたでしょうね・・」
「ふむ、異常なし!」「いや俺が自分の部屋で・・・!」
チョルは「着替えようとしただけ・・」と続けようとしたが、すでに皆出て行ってしまった。
そしてチョルは新たに気がついた。
ジーンズのボタンを、外そうとしていたことに——・・!
下も脱ぐとこだったっつーの!!
チョルはサッカーボールを、そのムシャクシャをぶつけながらガムシャラに蹴った。
心の中でミエに詰め寄る。
おい!全部見たんだろ?!
何を見てたんだ?!なんでその場所で男が着替えてんのを見てんだ?!
変人変人って言われすぎて麻痺してんのか?!
なあっ!?!!
ひとしきり蹴り終えたところで、チョルに声が掛かった。
モ・ジンソプである。
「おおチョル、今日は完全に翔ばしてんじゃん」
「今度みんなで一緒にバスケしない?」
ジンソプの後ろに、3組のシン・チョンヒョンがいた。
シンとは以前ミエのことで少し揉めたが、シンはチョルとは穏便にやっていきたいらしい。
「・・・・」
チョルは警戒を解かずに、そのまま無言でいたのだった・・。
<ギリギリで>
12組の、天井についた扇風機が回る。
ミエは席に座りながら、未だ解けない誤解を持て余してイラついていた。
もー!マジで話聞いて欲しいのに・・
そもそも私が、あっちが服脱ぐまで待ってたとでも思ってんの?!
いやそもそも上半身裸見られたからって何?
ミエは”男の上半身裸”を思い浮かべた。
例えばドラマでよくある一場面。
「会長がお呼びです」「あぁ、あのじいさんか」
そして、プロレスラーなどは基本上半身裸である。
テレビつけたらあちこちでマッチョが出てくるじゃんか!
ていうか、あいつこそ大体裸で過ごしてなかった?
タンクトップだったじゃん!
ミエは五年前の夏のキム・チョルを、思い出してみようとした。
田舎でだって全部見たんじゃなかったっけ?渓谷で・・
しかし浮かんできたのは、少しメタボ気味の父親の裸・・。
いやいやそういうことじゃなくって・・
「ミエ〜お父さんが浮き輪膨らませてやろうか?」
あれ?うちら仲よかったじゃん
川で遊んだ記憶が蘇って来て、そしてそれは楽しかった記憶として残っていた。
もっとよく思い出そうとしたその時、教室のドアが開いた。
ガラッ
「あ〜あちぃ〜」
汗をかいた男子たちが、一斉に入って来たのだ。汚れた上着を脱いで、上半身裸で。
女子たちは強く言った。
「ちょっと!なんなの男子!」
「扇風機当たろうぜ〜」「暑いんだからしょーがねーだろー?」「はははは!」
「目が腐るー!」「汚っ!」「てか汗くさっ!」
そう女子たちが非難している中、ミエは男子たちの裸を目に写しながら「ほら、全く一緒・・」と思っていた。
薄汚れた男子たちの裸を見たところで、何が起こるわけでもない・・。
するとその中に、キム・チョルもいた。
今日、初めて目が合う——・・・・。
第七十一話④でした。
確かに好きでもない男子の裸なぞ、ジャガイモみたいなもんですよね・・
チョルだけなんか違う、なんか見ちゃう、みたいなところから自覚していくのかしら・・
いつ恋心になるのか、楽しみなんですー!早く自覚せんかしら・・
第七十一話⑤に続きます
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