願いが叶うという飛行機を見た後、チョルに会えた。
後ろに倒れそうになるミエを、チョルが支える。
「前からやってるそれ、一体何なんだ?なんで飛行機ばっか見てんだよ」
「・・じゃなくて」
チョルはそう言って居住まいを正した。
周りを見るとみんながこちらを見てクスクスと笑っている。
チョルは若干小さめの声でミエに話し掛ける。
「・・お前」
「もし・・」
来る!とミエは目を見開いた。
「明日時間あるなら・・・」「あるっ!」
「あるっ!あるよっ」
キラキラした瞳でそう言うミエに、チョルは少し面食らう・・。
<えっ?何だって?>
「あ・・」
「そうか・・よかった」
ゆっくりと話すチョルから目が離せないミエ。
心臓がドクドクと大きく脈を打つ。
「それじゃあ・・」 なに?なになに?
なんで緊張してるの?
緊張しているのは自分かチョルか、境目が曖昧になってくる。
まるで永遠のように感じられる時間の中で、チョルはとうとう切り出した。
「もし良ければ俺と一緒に・・」
これは一体・・
地面についた指に、力がこもった。
しかし次の瞬間耳に入って来たのは、予想もつかない答えだった。
「ホンギュの誕生祝いに行かないか?」
[・・・えっ?]
あまりに斜め上から降ってきた答えに、ミエは目を丸くするばかりだ・・。
<もう一回言ってみて>
ミエは壊れたからくり人形のように、チョルが口にした言葉を繰り返した。
「ホンギュ・・ベ・ホンギュ?誕生日?」
「あぁ。明日塾が始まる前に屋上で・・ジョンウクが屋上の鍵持ってるから入れるんだ。あ、もう知ってたよな。
「なんのメモ?」
そう口にしたチョルの瞳は澄んでいた。
知らないふりをしているわけではなさそうだ。
なにも言えないでいるミエに、チョルは気を回してこう続けた。
「あ、お前の母さんには俺が言うから心配すんな」
「お前・・・ホンギュとよく喧嘩するけどさ、実はあいつそんな悪い奴でもないし・・。
ミエの脳裏に、走馬灯のように数々の場面が思い起こされる。
気まずそうに話し出すチョルの顔。
そして、「確実に大魔王は何かしてくる」と言ったユンヒたちの顔。
違った。
自惚れた。
期待してた。
けど、違った。
「ビデオ・・」
「ビデオ観た日のことは・・」
そう口にしたチョルの言葉を、ミエはまるで聞いていなかった。
いきなり立ち上がる。
ガバッ
そして次の瞬間、ミエの表情を見たチョルの目が、大きく見開かれる・・・・。
第八十六話②でした。
八十六話少し短くて、ちょっとここで一旦切ります〜すみません
あ〜〜〜〜なんと〜〜〜〜
キャラクター紹介の時に、「ミエとホンギュって誕生日一緒やん!」と思いましたが、
こういう伏線か〜〜〜〜〜!!!(膝100回打ってる)
何か因縁めいたものを感じますね・・同じ星の元に生まれた二人・・・
第八十六話③に続きます