北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

原発の地震評価は小さ過ぎる!~島崎邦彦氏の警告を学ぶ~

2016-07-31 | 脱原発


元原子力規制員会委員長代理を務めた島崎邦彦氏が、従来の国の地震規模の予測のやり方は、特定の条件下では過小に評価する危険性があると指摘し、原子力行政を揺るがす大きな問題になっている。
今日は京都市内で「『島崎邦彦氏の警告』原発の地震評価は過小 原発震災・破局的災害を止めるための集い」が開催され、関西圏を中心に全国各地で原発の耐震問題に関心を寄せる市民や弁護士さんらが集まった。
集会を企画したのは「志賀原発を廃炉に!訴訟」の弁護団にも加わる鹿島弁護士。



前半は地震の過小評価が指摘されている「入倉・三宅式」についての学習。
まずは名古屋高裁金沢支部で争われている大飯原発差止控訴審で、入倉・三宅式の問題点を指摘する島崎氏の陳述書を提出した甫守弁護士が、この間経緯をわかりやすく報告する。



続いて、この問題を長く追及してきた美浜の会代表の小山英之さんが島崎氏の発言の意味と意義を解説。ここから話は一気に専門用語モードに。
去る5月に発生した熊本地震で測定された揺れが入倉・三宅式の過小評価を決定的に証明することになった。
この事実から規制委員会は逃れようもない。
計算式を見直すと想定される地震動は1.5倍。
想定されてきた原発の最大の地震動を大きく超え、最悪の場合は福島以上の過酷事故に。



さらに若狭ネット資料室の長沢啓行さんも入倉・三宅式の問題点を解説。
地震の専門用語が機関銃のように飛び出す。
午前中に見た「ダリ展」に並んだダリの絵以上の難解さで、頭がついていかない。
が、活断層評価や地震動評価を巡り、原子力ムラがいかに地震学会の多数説から逸れて独自の見解を振りかざしてきたかはよくわかる。
今回も入倉・三宅式もその一環。原子力ムラの最後の砦である。
だからこそ、この問題で規制委員会は大揺れ、激震状態に陥っている。
展開次第では稼働中の川内原発はもちろん、再稼働を8月に控えた伊方原発、そして全国の原発裁判にも影響を及ぼすことになるのである。
いま、規制委員会は姑息な策を弄して島崎発言を葬り去ろうとしているが、そうはさせじと今日の集会に全国から多くの市民が集まっている。
事は地震の専門的議論だけでなく原子力規制委員会の在り方にも及んでおり、原発問題に関わってきた人たちの注目度は日増しに高まっている。



後半は、この問題を裁判でどう生かすか、運動にどう生かすかの、全国から集まった参加者の間で意見交換。
福井や滋賀、大阪、京都で若狭の原発の差止訴訟に取り組む弁護団からそれぞれ訴訟でどう生かしていくか報告を受ける。
(ラフなスタイルだが皆さん、弁護士さん)



志賀訴訟からは岩淵弁護士が報告。
敷地内断層が最大の争点で、入倉・三宅式による基準地震動が争点とはなっていないが、そもそもこの間提起されてきた武村式や松田式など他の地震動の算定式が規制委員会で検討されてこなかったこと自体、非科学的と規制委員会の問題点を指摘する。

踏み込めば踏み込むほど難解な分野だが、裁判官にも伝わるわかりやすさ、マスコミや市民(私も含め)にも伝わるわかりやすさ、がこれからの運動の最大のポイント。
地震動問題は再稼働路線を突き進む安倍政権に対峙する最大の争点の一つである。
これからもぜひ注目を!


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