北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

マイナンバー制度離脱請求訴訟 不当判決!

2020-06-12 | マイナンバー制度


金沢地裁でのマイナンバー制度離脱請求訴訟の判決からすでに3日。
あまりにお粗末、情けない判決で報告をパスしていたが、やはり批判はしておかなければと思い直し、以下、簡単な報告を。

私を含む原告50人が、マイナンバー制度はプライバシー権を侵害する憲法違反の制度であり離脱を認めよと金沢地裁に提訴したのはマイナンバー制度がスタートする直前の2016年12月。
以来約4年半、情報漏えい事件は次々と発生し、もはや制度の欠陥は仮説や推測の域を超え、動かしがたい事実となっている。一方、制度スタートで行政の効率化が進んだかと言えばむしろ逆で、現在のコロナ給付金のオンライン申請でも明らかになったように、現場に無用の負担と混乱をもたらしていることも明らかだ。



こうして迎えた6月9日の判決。
金沢地裁前には多くの報道関係者が詰めかけ、判決の行方に注目が集まった。
金沢地裁202号法廷の傍聴席は、コロナ対策で間隔をあけて座わることになっており、定員の3分の1ほどの傍聴者しか入れない。
13時10分、押野純裁判長が入廷。
マスコミの法廷内の撮影終了後、押野純裁判長が判決文を読み上げる。
「主文 原告らの請求はいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」
ものの10秒もかからず判決の言い渡しは終了し、押野裁判長は退廷した。

どんな立派な判決か、是非一読いただきたい。
要旨はこちら
判決文はこちら

以下の記事中、岩淵弁護団長が指摘している通り、形式的で実態を無視した判決である。

・収集した個人情報の利用、提供は法令等の根拠に基づき、正当な範囲内で行う制度となっている。(要旨第3(4))
 → 行政運営の効率化など、掲げた目的と実態が大きく乖離していることは明らか!

・情報の漏えいや目的外利用について、法制度には不備はない。、情報漏えいの事故は存在するが個人的なミスや故意の不正行為に起因し、制度自体に不備はない。(要旨第3(5))
 → 個人情報保護委員会などの制度は実態としては機能していない!情報漏えいについては、原発に例えると「人為ミスや悪意のあるテロ行為による事故はあるかもしれないが、安全基準をクリアした原発は安全である」といっているようなもの。

制度構築に3000億円程度、毎年の運用にも年数百億円を要すると言われるマイナンバー制度。住基ネットの失敗を繰り返すことは許されないと、安倍政権あげて利用拡大に必死になっている。
「『制度に欠陥あり!』『憲法にも違反する!』なんて判決、書けるわけないでしょ。最高裁に睨まれ、私の裁判官人生、おしまいですよ。」
という押野裁判長の本音が透けて見えるような判決だ。

もちろん、私たちはこんな判決を受け入れるわけにはいかない。
控訴の方向で議論を進めている。


北陸中日新聞(2020年6月10日)


北國新聞(2020年6月10日)




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