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羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 1

2015-10-10 19:57:30 | 日記
「槍が鳴ってる、どこだ?!」見回す潮。婢妖が腕に張り付き、運転手が絶叫していた。「うわあぁッ!」駆け寄り、槍で斬り払って運転手を解放する潮。「蒼月潮」「逃がしはせぬぞっ!!」婢妖は運転手不在のままバスを暴走させ始めた! とらがバスの去った跡を嗅いで婢妖に感付いていると流がバイクで追い付いてきた。「何だ? ワシにやられたら、大人しくくたばってな!」槍が解放されてから婢妖達が活発に出現するようになっていたことは流達も知っていた。「立場上、黙ってられねぇな」流はバイクでバスを追って行った。「じゃ、ワシは見物だ」とらも飛んで続いた。
「オメェはもう、我らの腹ん中よッ!」バスをガードレールに擦り付ける婢妖達。乗客は悲鳴を上げた。窓を破って外の様子を見る潮。次々対向車を弾き跳ばす婢妖バス!「やめろッ!」「アハハハっ!!」笑う婢妖。「蒼月!!」流ととらが追い付いてきた。「バイクの兄さん?! とらッ!」「ケッ、さっさと飛び降りちまえば済む話じゃねぇか?」「やだねっ! 大勢の乗客が居るんだ! てめぇだけ助かる何て、死んでもやだね!!」とらに怒鳴り返す潮を、流は黙って見ていた。
「あ~あ、あのバカ! また悪いクセが出やがった」頭を抱えるとら。「おい妖怪!」「あ?」「俺に考えがある。一口乗るか?」流はニヤリとした。潮が身をすくませる乗客に気を取られていると「おい潮!」とらが割った窓に近付いてきた。「ホントは嫌だけど助けてやるっ! 通路の真ん中で待ってろ!」とらが飛び退いてゆくと、潮は笑顔を見せて乗客を通路に誘導した。「とらが来たからさ! どうしようもないヤツだけど、あいつが来てどうにもならなかったこと何て無いんだよ!」外では流が錫杖を二本構え、とらが妖気を溜め出したが、潮は周囲から染み出した婢妖に体を拘束された! バスはトンネルに直進している。
     2に続く

うしおととら 2

2015-10-10 19:57:18 | 日記
流は婢妖に完全に乗っ取られたバスの後部を錫杖1本を使い切って斬り離した。「開けてやるぜ、風穴をよぉっ!!」もう1本でバス前面も斬り離す!「乗客を吹き飛ばせっ!」「おうっ!!」とらは後ろから溜めた力を咆哮と共にバスの通路に放った。「ガァアアアアアッ!!!」婢妖に取り付かれた潮以外は纏めてバス前方の中空に吹き飛ばされた。流が仕上げに独鈷4本を使って結界を張り受け止めるだけだったが「よくもぉッ!!」婢妖が張り付いてきた!「伝承候補者を舐めるなよっ!」流は構わず独鈷を投げ「かぁああっ!!」気合いと共に結界を張り、張り付いた婢妖を吹き飛ばした!
乗客は結界に受け止められたが、婢妖バスは止まらない!! しかし潮は取り付かれて動けずにいた。流がバイクで体当たりした止めようとすると、とらが止めた。「おめぇはあいつみたいにはなれん。その証拠が、今見られるぞ?」潮は妖気を高め、変化し始めた。槍でバスの両側面を斬り、屋根ごと斬り離す潮! 驚く流。「止まれぇえええッ!!」潮はバスの床を槍で突き通し、道路を削り出した! 焼き鏝を押し当てられたように煙を上げ苦しむ婢妖達。「口惜しやぁああッ!! 白面の御方様ぁっ! 済みませぬぅううッ!! っぁあああ!!!」婢妖バスは取り憑いてなかったらしいタイヤだけ残して青く燃え吹き飛んだ。
「助かった」変化を解き、一息ついた潮だったが、負傷した乗客に(俺のせいだ)「ごめんっ!」潮は一人、傍のトンネルへ走り込んで行った。トンネルを抜け、後悔で泣きそうになる潮。と、「よお兄ちゃん」とらをバイクの後ろに乗せた流が追い付いた。「バイクの、とら」「チッ、こいつも伝承候補者だとよ」「乗せて行ってやろうか? ただし、その情けねぇ面直ったらな」慌てて涙を拭う潮。「何で俺が情けねぇんだよ!」笑ってしまう流。
     3に続く

うしおととら 3

2015-10-10 19:57:05 | 日記
「お前の言う通りだぜ、こいつと居ると退屈しねぇな」鼻で笑うとら。流は潮を後ろに乗せ、旭川へとバイクを走らせ始めた。とらもそれに続いた。その頃、杜綱悟はホテルで苦しんでいた。全裸である。痛み止? を飲んでも収まらない。ベッドについた腕からは婢妖らしき細長い化け物達が溢れた。腕を押さえる悟。「ぐっ、うぐぅっっ!!」悟は呻いていた。
バイクで旅を続けながら、潮が巻き込んだ人々のことを考えていると「東京に残した女のことでも考えてたか?」流がからかってきた。「そんなのいねぇよ!」等と照れていると、後ろからバイクが5台続いてきた。伝承候補者の選考から漏れた僧達だった。その中に純も居た。「秋葉、兄さんに会ってない?」純の兄は杜綱悟。伝承候補者の筆頭と言われた男だった。「俺には無い人望があるからな」そんな悟の姿が2週間前から見えないという。
ここで、純の後方から異様な気配がした。「兄さんの気配!」「陰陽の気を操る者だな」姿を消していたとらが現れた。「近付いて来るのは、式神だ」とらが言った傍から地中から巨大な蛭ともミミズともつかないモノが飛び出してきた! 変化して槍で弾く潮。「何だよこれは?!」「蛭蠱か」呟くとらは、蛭蠱の向こうの人影に気付いた。悟だった。「お兄ちゃん?!」「お前、杜綱だよな?」悟の様子は普通ではない。「行けッ!」悟は蛭蠱をけしかけてきた! 潮は蛭蠱に喰い付かれ、体液を吸われ出した。
「あああッ!」「蒼月! どうしたんだよ杜綱?!」「お兄ちゃん?!」「待ってくれ、すぐに獣の槍を持つ者を破壊するから」「何? とにかく止めさせろ! 杜綱ぁ!!」錫杖で打ち掛かる流。「ダメだよ流。私達は友達じゃないか? それに、君は私に勝てないよっ!」錫杖を捌き、流の腹を打って吹っ飛ばす悟。止めに入った純以外の僧四人も蛭蠱に喰い付かれた!
     4に続く

うしおととら 4

2015-10-10 19:56:52 | 日記
潮が全滅を危惧していると、潮に喰い付いていた蛭蠱をとらが叩き潰した! 驚く悟。「バァカっ! ワシの喰いもんのクセに、ちんけな奴にモタついてんじゃねぇや! さっさとやらんかっ」「わかってるよ、うるせえな!」何とか変化し直す潮。槍に力を溜め、一気に蛭蠱達を撃破した。「あんた、無茶苦茶だよ! ブッ飛ばしてやりてぇぜ!!」「やってみろよ」「止めて! お兄ちゃんどうして?!」純は間に入ったが即、悟に殴られた。「いい子にしておいで純。いい」と言い出したところで悟の顔は異様に歪み、苦しみ出した。「こんな時にッ!」(まだ完全なモノになってないか)「獣の槍! 今日は長らえろっ、次は破壊してやる!!」悟は飛び上がって姿を消して行った。「ヤツのどたまの中に婢妖が棲み付いたのよっ」とらは看破していた。
「私の中から出てゆけ!」悟は川で苦しんでいた。体中から婢妖が飛び出し嘲笑う。「抗えぬよ」悟は絶叫していた。
潮はサービスエリアのトイレの鏡から雲外鏡に遠野の長に悟を救う方法を尋ねる為に取り次いでくれるよう頼んだ。長は答えた。外から追い出す方法は無いが『中』からならできるという。「化生、化け物だけがそれを可能にする。お主自身が化生になるしかない」槍の力を使えば可能だが、槍に魂を喰い尽くされ、潮は人に戻れなくなるという。「忘れるんだな。おめぇを喰えなくなっちまうからな」とらは忠告した。流は10年前、妖怪に襲われた純を一撃で妖怪を殺して助けたことを潮に話した。だが、返り血まみれの悟を純は恐れ「お兄ちゃん、怖い」と逃げ出してしまっていた。純はそれを泣いて悔やんでいた。
そこへ、悟が黒雲を逆巻かせて上空から現れた。「蒼月、次は必ず破壊してやると約束したな!」「お兄ちゃん!」純の叫びにわりと速攻で安定を保てなくなる悟だったが「カァッ!」気合いで数珠を放ち、
     5に続く

うしおととら 5

2015-10-10 19:56:41 | 日記
とらと槍を縛った。「蒼月、死ねぃ!!」百足(ヤスデ?)の式神を放ってくる悟。「もう止めて!」悟に抱き付く純。「邪魔をするのかぁ!」純を殴る悟。怯まずさらに抱き付く純。純は頑丈っ!「私にできるのはお兄ちゃんを離さないことだけだもん!! お兄ちゃんに伝えたいことがあるんだもん!」槍ととらは数珠を砕いた。潮は式神を斬り裂き、とらが電撃でこれを消し飛ばした。
悟は学生服の純を思い出した。子供の頃に純も思い出した。「うでぃあああッ! 殺してやるうッ!!」婢妖は焦り、短刀で純を殺そうとした。潮が槍を投げて短刀を払う! 瞬間、純の泣き顔を見た悟は正気を取り戻した。「純」「お兄ちゃん」「私は、何をした?!」体を離し、ガードレールまで後ずさる悟。「お兄ちゃん?」「私はもう、ダメだよ。流、皆。妹を、純を頼む」悟はガードレール下の崖へ自ら落ちて行った。「お兄ちゃーんッ!!」純の絶叫が響いた。
・・・早っ! 今回特に早かったね。妹アタックまで進むとは。純の件のいきなりクライマックス感半端無かったぜ。流の含むところはこの辺からもうバリバリだったんだな。あとは婢妖のキモさは常に高水準で安定している。御飯食べる時に思い出すと最悪っ! 田んぼのオタマジャクシとかも苦手なんよ。