1995年 日本 <劇場>
監督、脚本 岩井俊二
出演 中山美穂 豊川悦司 酒井美紀 柏原崇 氾文雀 篠原勝之 鈴木蘭々 光石研 加賀まりこ 鈴木慶一 ほか
この映画を劇場で見るのに30年かかった。ビデオやDVD、テレビでは何回か見たことはあるのだけれど劇場で見るとずいぶんと印象が違った。ビデオなどの小さい画面で見たときは細かい点に目が行ったが、劇場の大スクリーンで見るとこの話の要するにというところしか入ってこないのだった。映画の遊びが多い作品ではあるがそれは話の主軸のためであってうんざりはしなかった。誰かを亡くした喪失感というのがこの映画のテーマだと思うが自分も同じような経験をし理解が深まったのか不覚にも涙がにじんだ。自分の青春時代とは違う青春をヒロインたちは過ごしているのになぜか懐かしい話でもあった。こんなやついたなあとかそんな感じになった。ヒロインの中山美穂は芝居の型がない分、繊細さを感じさせる演技を見せていた。豊川悦司の役のキャラクターは面白かった。氾文雀と加賀まりこがどこか一対となって映画を引き締めていてよかった。この脚本は監督によるオリジナルのものだが構成が見事だと思う。30年前の作品だから若さもあるが中弛みせずに見せてくれる。中山美穂はいなくなってしまったがこの映画の中に永遠に存在する。
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