五月乃家

へい、ご案内!(某師匠のHPをパクってみました)

第75回柳家権太楼朝のおさらい会

2011年11月28日 | 落語
「弟子が誰も来ねぇんですよ」と渋い顔の権さま。
今回はおじさんさんと二人きりだそうで。
そんなわけで、おじさんさんも師匠も出囃子なしの登場。
お弟子さんには悪いけど、師匠の持ち時間たっぷり、
2席とも最近行われた独演会と同じ演目だったという、
1500円でなんとも贅沢な会でありましたよ。

『たらちね』柳家おじさん

ずっと避けてたという「たらちね」を。
なぜ避けてたのかは謎ですが・・・。
どこかで聴いたことがあるような気もする。

『1人酒盛』柳家権太楼

「落語界にも大きな出来事がありました」と。
家元の死に触れないわけにはいかないですよね。
晩年の芝浜がよかったのなんだのって言うけど、
若い頃のあれやこれが何と言ってもよかった・・・と。
でも、晩年の迷いのある高座には納得できなかった様子。
落語やってる最中に自己分析するもんじゃないっていうような。
自分が知ってる談志はこんなじゃないっていう思いなんでしょうか。

1人酒盛は初めて聴きました。
ほとんどが熊さんのモノローグ。
演りようによっては熊さんが嫌な奴になっちゃうから、
そうならないように演るようにしてるそうです。
留さんに意地悪してるわけじゃなくて、
本当に酒が好き過ぎて、周りが見えなくなってるだけ、
っていうそんな熊さん像に映りました。
納得いかないと何度でも同じ噺をかけるし、
おさらい会のチラシにも「ネタ出ししてあっても
出来ないものは絶対やらない」と書いてありました。
この前の独演会であまり満足していなかったのかな。
どっちにしても、この会でこの噺が聴けたのは僥倖です!

『居残り佐平次』柳家権太楼

居残りも権さまで聴くのは初めてです。
絶対面白いでしょう、どう考えたって!
調子がいいだけじゃなく、可愛らしさもないと
佐平次はあれだけ人を丸め込むことは出来なかったと思う。
幇間みたいなプロフェッショナルな客あしらいじゃなくて
なんか呼びたくなる魅力がないとね。
居残り聴くと「幕末太陽傳」観たくなるなぁ。

トンデモ落語の会@浅草・木馬亭

2011年11月22日 | 落語
「白鳥充」したくて行った2度目のこの会。
前回は大黒家別館でしたが、今回は木馬亭。
建物といい周辺の環境といい、場末感満載で素敵!
秘密クラブっぽいこの会にピッタリな会場で、
足を踏み入れてはいけない禁断の世界に入った気分です♪



かなり年季の入った場内は、寄席とそれほど変わりませんが、
舞台の上に高座がないのが違うところかな。
なんせ浪曲の定席がある小屋ですからね。
講談はたまに聴く機会もあるけど、浪曲はまずない。
女性の浪曲師を国立演芸場で1度だけ見たくらい。
国本武春さんくらいしか名前知らないし。
まったく未知の世界なんで興味津々。一度定席行ってみたいな。

『あいつのいない朝』瀧川鯉朝

この前の不二家のペコちゃんの姉妹編で、
薬局の前のサトちゃんとコロちゃんの話。
コルゲンのコロちゃん、私もケロヨンだと思ってた・・・。
薬局が閉店することになって、粗大ごみ業者に引き取られて行くコロちゃん。
喧嘩友達だったけど、いなくなると寂しいと悲しむサトちゃんの前に、
ある日思わぬ姿で現れたコロちゃん。というちょっとメルヘンなお話。
この前も思ったけど、鯉朝さんがこの会のメンバーっていうのも不思議。

『牛ほめ・改』快楽亭ブラック

マクラからいきなり禁断の発言ですよ!
世が世なら確実に逮捕されちゃうであろう過激さ。
噺の前半は、根問いモノっぽい。
ブラ坊さんがブラック師匠にいろいろものを訊ねていて、
そこから牛のように巨乳の奴隷をほめに行くという展開へ。
かなりお下劣な下ネタ満載で、ちょっとドン引き・・・。
うーん、この前の「キウイ調べ」はすごく面白かったんだけどな。
万人に受けようとは思っちゃいないんだろうけど、
あまりに過激なお下劣ネタは毒演会でお願いしたいかも・・・。
あ、でもブラック師匠って大体お下劣ネタだったりするの?

『実録・目黒のさんま暴れん坊将軍編』立川談之助

落語にはいろいろ矛盾があり、それが気になって仕方ないという。
目黒のさんまも矛盾だらけのため、それを史実に基づいたものに変え、
いろんな師匠の型を研究して、鳴り物と注釈付きでたっぷりと。
この噺の前にやる小噺も、たくさん披露してくれました。
こういうマニアックなネタ結構好き。面白かったです!

=仲入り=

げんきいいぞう

初めてでしたが、なかなか衝撃的な芸でした。
さすがトンデモ落語の会のゲスト・・・。

『なでしこ相撲』三遊亭白鳥

今夏の池袋での三題噺からできたというネタ。
SWAでかけるためのちょうどいい練習場だってことで、
SWAでは絶対言わないだろう下ネタもたくさん混ぜてました。
「お客さんSWAには来ないでしょ!?」・・・って。当たりです(笑)
女相撲の鉄砲のおくまと、歌舞伎役者の夢之丞、そして蝮のごんぞう、
という登場人物が出てくるという、舞台は古典のお話です。
鉄砲のおくまが女だてらにものすごく強く、弱きを助け強きをくじく、
という勧善懲悪の人情噺。それに色恋沙汰もちょっぴり入り、
三題噺が元とは思えぬよくできた噺です!サゲは思いっきりくだらないけど。
この噺が聴けただけでも、行った甲斐があったなぁ。
あ、そうそう。昨日の白鳥さんの着物の袂、
ラウンド型になってるだけじゃなく、羽根の柄も描いてあった!
超キュート♪♪

第5回 こしら一之輔ほぼ月刊 ニッポンの話芸

2011年11月18日 | 落語
月イチ通って5回目になる成城ですが、いまだに馴染めません・・・。

『看板のピン』立川こしら

前回のこの会では一之輔さんの真打が決まり、
こしらさんはリーチがかかってた状態。
めでたく真打内定となったのでその話題から。
そして、エイベックスから出すCDの宣伝など。
エイベックスから落語のCD出すのは初だそうですよ。
「僕にとっては小室兄さん、あゆ姐さんですから」ってwww
1枚30席で×3枚出すので計90席になるのだとか。
立川流の真打の基準が落語100席なので、楽勝でしょ?と。
これをやれ、と言われたら「聴いて下さい」って出せばいいんだから。
って、そんなむちゃくちゃな(笑)

こしらさんの看板のピンは、最初この高速落語かな?
って思ったほどあっさりな展開。
真似する男に、みんなピンの目が出てるって言ってるし(笑)
そして、真打昇進で浮かれたせいで(一之輔さん談)
持ち時間13分も残して下りちゃったよ~。
始まって1時間もたたないうちに仲入りになっちゃった。

=仲入り=

『眼鏡屋泥棒』『粗忽の釘』春風亭一之輔

川越での女子高生とのエピソードがおかしかった。
こういう日常のなんでもない話を面白おかしく聴かせるのも
一之輔さんの特技だよな~。
「川越ぜってー許さねぇ!」
「本川越と川越市は許すけど川越駅は許さねぇ!」だそうです。
※ちなみに広瀬さんは川越高校だそうです。ひゃー進学校!!

泥棒の小噺から、よくやる方とやらない方とどっちやろうか・・・
って悩んでたから、悩んでるなら鈴ヶ森かな?って思ったら、
あまりやらない方を。やったぁ!上方の噺なんですね。
なんともとぼけててほのぼのしてる噺でした。
えほん寄席で見たような見ないような・・・。

一之輔さんの粗忽の釘は初めてだったかなぁ?
ものすごくコワイおかみさんに既視感が・・・。
対する亭主はなんとものんびりしててかわいらしい。
粗忽っぷりがあまりにも板についていてもう大爆笑。

『王子の狐』立川こしら

一之輔さんが残した時間で、再びこしらさん登場。
王子の狐は、いつもおみっちゃんが寝ちゃうところで終わりなのかな?
一度フルで聴いてみたいんだけどなぁ。
おみっちゃんが狐の本性丸出しでホントおかしい。

アフタートーク:聞き手・広瀬和生

それぞれの来年の予定などについていろいろと。
ほぼ楽屋話なので、詳しくは書けないのが残念。
ただ、一之輔さんの披露目の興行が始まると、
この会もお休みになっちゃうんですよね、考えたら。
その間、広瀬さんが提案した企画がもし実現したら・・・
どっちに行こうかかなり悩みますよ!ワタシ的には。

しかし、これまでこしらさんの片思いなのかと思ったけど、
なんだかんだ相思相愛だってことが確認できました(笑)
質問コーナーがあったり、こしらさんも自分の落語のときに、
客席と会話しながらだったりと、ホールのわりには、
内輪な雰囲気で、楽しく進行した会でありました。

かまってちゃん

2011年11月16日 | 窓際ナースのお仕事
うちの病院は急性期を脱し、自宅へ戻るまでの中継地点です。
だから、死ぬか生きるかなんていうことはあまりなく、
病状的には落ち着いた患者さんが入院されています。
それゆえ、命さえ助かれば!っていう状態であれば気づかない
細かいところが気になってくるし、入院も長期に渡り、
ストレスが出てくる時期でもあるのです。

そんなわけで、急性期に比べて何かとクレームは多い。
病院としては真摯に、早急に、対応していると思いますが、
なかなか納得していただけないことが多々あります。
過去にはいじめか虐待としか思えないような仕打ちを受けたことも・・・。

そこまではいかないけれど、最近50~60代の比較的若い患者さんが多く、
自立度も高いので、いろいろと不満の声が聞かれています。
その多くは重箱の隅をつつくようなことばかりなんですが、
まあそれもご本人方にとっては大事なことなのだろうし、
少しでも快適に入院生活を送って頂くためなら、と理解はします。

しかし、「~してくれない」というクレームの多さには辟易・・・。
「薬を持ってきてくれない」
「食事を持ってくるのが遅い」
「(歩行介助の)迎えに来てくれない」

言っておきますが、こうした訴えをする方々はみんな頭がクリアで、
自分のことはほとんど自分で出来ている大の大人です。

「薬をください」と言える口もあるし、
食事は順番に配っているので永遠に来ないことはない、
歩行の準備が整ったらナースコールで呼べばいいのです。

43名の患者さんがいて、日常生活すべてに介助が必要な方も多く、
夜勤は3名、朝夕は5名で勤務しているので、
自立度の高い方はどうしても後回しになることもある。
でも、コールで呼ばれれば真っ先に行くし、優先順位を考えながら、
必要なお手伝いはしているはずなんですよね。

歩行の介助、というのは朝昼夕の食事の前後にリハビリを兼ねて、
食堂までの歩行を介助したり付き添ったりするんですが、
これは特に、その患者さんによってタイミングがあり、
しっかりした方には自分が行きたいときに呼んでもらったり、
時間を決めて迎えに行ったりすることもあります。
ある患者さんは、迎えに行ったときには「まだ早い」と断り、
「では、行きたい時に呼んでください」と言っておいても、
断固としてコールは押さず、迎えに行くのが遅くなったら、
後で嫌味をネチネチ言います。
いわく「呼ばなくても迎えに来るのが当たり前」だと。

これってどうなんだろう・・・。
ただの「かまってちゃん」なような気もするんですが。
要するに、みんな自分を優先してほしい、常に気にかけてほしいと思ってる。
それは人間ならば誰もが思うことなんでしょうけれど、
そこは大人なんですから、空気も読んでほしいと思うのです。

このところ、全体の重症度は低くなり、比較的落ち着いているんですが、
こんな患者さんばかりで、ものすごく気を使うのが疲れる日々です・・・。

第430回浦和市民寄席

2011年11月14日 | 落語
ぽかぽか陽気の日曜日に、昼間っから地元で落語が聴ける幸せ・・・。

『出来心』柳亭市助

市助さん、お初だぁ。
入門2年目なのになかなか達者。落研出身なのかな?
市馬師匠に入門するだけあって(?)声がなかなか良いです。

『ちりとてちん』柳家喬之進

後のお二人がまだ到着してないってことで、長めのマクラ。
小学生には大ウケしたという小噺、くだらなくて好き!
”ちりとてちん”を食べて、身体中叩いて悶絶する姿と、
それに対するお客さんの反応が面白かったよ。
客席のお爺さんの咳き込みが激しくなった気がします。

『笠碁』隅田川馬石

浦和駅が改修して、元の改札のところで切符を探したそうで、
あれ、絶対しばらく誰でもやりますよね。私もまだ慣れない。
馬石さんは最近ご自分でも碁をおやりになるそうで、
子供のころ「誰が見るんだろう」と思ってた碁の番組を、
この日もちゃんと録画して出てきたそうです(笑)
そのせいか、碁盤を見つめながら変わる表情がとてもリアル。
でも、「待った」じゃなくて「これはね、間違えちゃったの」
と、言い訳するあたりとか、笠かぶって身体ちっちゃくしてるところとか、
なんとも可愛らしい感じで、ほのぼのしてしまいました。

=仲入り・抽選会=

最近お茶菓子は「雪の宿」が定番化してるようです(笑)

『寝床』桃月庵白酒

今月初めにずっと九州沖縄を回っていたということで、
小三治師匠も参加したときのエピソードをいろいろと。
寄席でトリをとるとき、下手すると朗読や歌で終わることもある。
あれは誰かちゃんと言った方がいいんじゃないかっていう話から寝床へ。
これはつまり小三治師匠の朗読や歌は、だーさまの義太夫ってこと?
うーむ、確かに私も小三治師匠の歌のCD借りてきて、
まさかほんとに全編歌だとは思わなくてがっくりきた覚えはある・・・。
まあ、美味しいお酒とお料理付きなら、歌の会でも行く・・・かな?

本編のだーさまの方は、発声練習の声がキョーレツ。
長屋に海老名さんが住んでたり、頭のゴタゴタが渡辺んとこの謀反だったり、
座敷の後ろの方で流れ義太夫に当たった人の人工呼吸してたりと、
白酒さん流のギャグが散りばめられ、とにかく笑いっぱなしの寝床でした。

第8回ゆにおん寄席 続・まるこしらの会

2011年11月06日 | 落語
今年4月に続き、2度目のこの二人会。
来年も4月にあるとのことなので、年2回ペースかな。

『道灌』立川吉笑

前座仕事中の吉笑さんは2度ばかり見たことありますが、高座は初めて。
師匠・談笑さんに入門したのってわりと最近だったような。
異例の早さで二つ目昇進が決まったという期待の大型新人☆
その高座は、期待を裏切ることなく、なかなかのものでした。
スピード感と、ギャグのセンスは師匠譲りでしょうか。
前座さんの道灌で、あんなに笑ったのは初めてです。
師匠の言う「客を楽しませる」ことが昇進の条件だとしたら、
確かに文句なく満たしていると思いました。

『一目上がり』鈴々舎馬るこ

ご隠居さんがDVDを見ているっていうから「おや?」と思ったら、
完全な改作でした。数字に当てはまるものが意表をついてて面白い!
特に6・7・8のあたりはお見事です。さすがだなぁ。
そして、小金井市のゴミ問題を要約した言い立ては旬だし、
相田みつをの詩で、長渕剛の歌が出てくるあたりも抱腹絶倒。
馬るこさんは新作も面白いですが、改作がまたとても上手い!
ポスト白鳥さんor談笑さんと呼ぶべき才能だと思いますよ~。

『片棒』立川こしら

真打が決まった途端、急にいろいろ仕事のオファーが来たとか。
それが、落語関係じゃない仕事先からが多いので、
「本当に落語家だったんですね!」と驚かれたそうです。
「片棒」は集いで一度聴いたことがあったかな。
三人兄弟が三人ともどうしようもないのがこしら流。
特に、銀の「お父っつぁん祭り」が本当にバカバカしくて。
「お金が貯まる♪使わなけりゃ貯まる♪」とかいう歌詞の妙な歌。
そして、神輿の上に飾られたお父っつぁん人形。
なんともシュールな風景。でも大筋はちゃんと正当なんだけどね(笑)

=仲入り=

『牛ほめ』馬るこ

こちらも改作で、今年に入ってよくかけているネタなのだとか。
与太郎がほめに行く佐平おじさんの家はデザイナーハウス。
和風の家なのにシャンデリアとかカッシーナのソファとか、
趣味の悪い成金邸宅を、与太郎がバッサリ斬るという、
ちょっと皮肉な演出になっておりました。
ビンラディンのコスプレには爆笑!!

『あくび指南』こしら

真打トライアルのときに広瀬さんにやれと言われてたネタなのに、
実際は別の噺をやってしまったそうです。
「人の運命勝手に決めないでほしい」と毒づいてみたり、
「アドバイス全然聞いてないってことですね~」と自分にツッコんでみたり。
成城ホールで聴いたときには、それほど面白くなかったんだけど、
昨日はちょっと進化してたかな。wikiで覚えたにしては上出来です(笑)
というか、八五郎の物覚えの悪さがさらにひどくなってる気がする・・・。


今回は馬るこさんの古典の改作、そして自由なこしらワールド。
考えてみれば、こしらさんは改作というわけではないのよね。
結構古典の原型に忠実にやっているのに、なんだろあの面白さ。
2人の個性がよく出ていて、楽しめる会でありました。

さいたま落語亭

2011年11月01日 | 落語
「若手落語家を育てる会」というタイトルがついているこの会。
天どんさんがレギュラー、そして毎回ゲストがお1人出演されます。
今回は、天どんさんと菊六さんなので、まるで火曜会in浦和みたい。
お茶のサービスもあるので、ワンドリンク付きと言えなくもない(笑)

『湯屋番』古今亭菊六

高座に上がった時点で天どんさんがまだ来ていないとのことで、
「たっぷり!」なんて声もかかりましたが、そうもいかず、
文七なんかやったら天どんさんに張り倒されそうだし・・・
と言いながら、若旦那の話を始めたところで、
天どんさんが会場後ろのドアから顔を出し「来たよー♪」と満面の笑顔。
「声かけなくたっていいんですけどね」って菊六さんも苦笑です。

冒頭、若旦那が味噌漉し持って豆腐を買いに行く話からで、
お湯屋さんへ行くまでにそんなエピソードがあったとは。
もうお湯屋さんへ行くってところから始まるのしか知らんかったよ。
ここをちゃんとやったの、菊六さんで初めて聴きました。

『大工調べ』三遊亭天どん

「私のほうはバカが出てくる噺を中心に頑張ってますよー」だって。
そのバカ=天どんさんの与太郎は、もうすんごいバカなんだけど、
時々、いや・・・でもこいつそんなにバカじゃないかもしれないって
思わせる部分もあったりして、奥深いんだな、これが。
棟梁の方は、なんかピリッとしてないところがイイ。
大家さんもあんまり怒ってる感じがしなくて、どこかのんびりムード。
江戸っ子ったって、いろんな江戸っ子がいたんだろうから、
キレのない江戸っ子が出てくる大工調べがあってもいいよね。

=仲入り=

『代脈』天どん

去年の円朝まつりで師匠のを聴いたっけなぁ。
与太郎に続いてバカの銀杏。
ボケっぷりがほんとに救いようがなくておかしい。
いくら見習いとはいえ、こんなバカな医者いるかよ!
って思ったけど、いるわ・・・現代でも。
これからは、おバカな医者のことを銀杏って呼ぼう。

『甲府い』菊六

菊六さんは久しぶりだったけど、改めていいなぁと思いました。
なにしろ高座に上がる形がいい。座ってる姿もきれい。
所作も絵になるし、表情も鮮やか。
そして、何より聴いていて楽しいし、飽きない。
絶妙な間と、流れるような口調は、耳に心地いい。
やたらギャグはさんだり、極端にデフォルメしたり、
大袈裟に演じてるわけじゃないのにね、面白いんだもの。
「古典落語は面白い落語家がやれば面白い」
という志らく師匠の言葉を思い出します。
「甲府い」って、わりと地味な噺だなぁと思ってたけど、
なんかすごく良かった。心温まる感じがしました。
あと、近所のおかみさん連中の妄想が笑えた!

・・・って、なんか菊六さんのことべた褒めした書き方したけど、
私は天どんさんも好きなんですよ~。全然違う魅力。
どの登場人物も天どんさん風味になっちゃうのよね。天どん劇団。
シニカルなギャグも独特で、ムフッと笑っちゃう。
そして、自分で自分にツッコミ入れたり、自己分析しちゃうところが、
客観的で冷めてて、そこがまた妙な面白さなんです。
こういう対照的な会、またぜひやっていただきたいものです。