うちの病院の入院患者さんは、大体2~3ヶ月、
長い人で5ヶ月くらいで退院します。
正直、退院を心待ちにしてしまうような患者さんも多いです
先日、退院したAさんもそうでした。
わがままで、自己中で、依存的で、おまけにセクハラジジイ。
手のかかる患者さんランキングの常に上位に輝いてました。
病気のせいもあると知りつつも、忙しいときなどは、
イライラしてしまうことも多々ありました
そのAさんが、退院の日を迎えた朝。
ステーションで仕事をしていて、ふと視線を感じたら、
車椅子のAさんが、いつの間にかじっとこっちを見ています。
目に涙をためて、うるうるしながら、
「言いたいことばかり言ってごめんな・・・。」
と、しょんぼりしています
介助量が多く、家での介護は難しいため、施設へ転所するAさん。
「今すぐには家に帰れないので、施設でもう少しリハビリを続けましょう」
と、本人には説明しているものの、もう家には帰れないだろうことを
察しているのかもしれません・・・。
自宅へ帰る患者さんには「頑張ってね!!」と明るく送り出せる我々も、
施設へ移る患者さんへ、何と声をかけたらいいか、いつも躊躇します。
中には、「家よりかえって気楽でいいよ!」なんて強がってる人もいますが、
また新しい環境に慣れ、人間関係を一から築かないといけないってことは、
誰でも憂鬱だし、すごいストレスでもあると思うのです
わがままばかり言う患者に、腹を立ててばかりいたけど、
思えばそれだけの人間関係があったからこそなのかもしれません。
「Aさん、よく頑張ったよね。
ここに来た時にはちゃんと座ってることもできなかったんだもの!」
という、スタッフの言葉に、また涙をぬぐうAさん。
それを見ていた我々も、ついついもらい泣き
あんなにウザかったAさんを、許せてしまった自分がいました・・・