最近、精神科系の本をよく読んでます。
うちの病院は回復期リハビリテーション病床だけど、
8割がた脳血管障害の患者だから、
脳血管性の痴呆は切っても切り離せません。
(あえて、認知症ではなく痴呆という言葉を使わせてもらいます)
脳血管性だろうが老人性だろうがアルツハイマーだろうが、
痴呆は痴呆なわけで、対応が大変なことに変わりない。
中には、ベースに統合失調症とか、精神疾患のある人もいるけど、
あくまでもリハビリをやるのが目的の病院なわけで、
クスリで寝かせたり、拘束で動けないようにするわけにはいかんのです。
この本を読んでいて、「閉鎖病棟の保護室」レベルの患者が、
なんといっぱいいることか・・・!と愕然としてしまいました。
脳血管障害で、リハビリをしなくてはいけないというだけで、
無理やり一般病棟に入院している患者・・・。
症状的には、もう精神科病棟でないと見られないレベルでも、
「リハビリ」が大義名分になってしまうんです。
「何のためにここにいるのか」ということすら理解できない患者に、
リハビリをしろ!というのは、ある意味拷問でしかありません。
本人の意欲もないのに、リハビリをしたって、効果は出ません。
仮に機能回復したとしても、四六時中監視してないといけない状態で、
本当に「良くなった」と言えるのかどうか・・・。
まあ、そういう患者でも何でも受け付けちゃうウチの病院も悪いんだけどね。
ひとつには、まだまだ世間一般の方の精神科への偏見もありますね。
家族を精神科に入院させているとは恥ずかしくて言えない・・・という
しかし、安全が確保され、メンタルもうまくコントロールしてくれる、
専門医のいる病院のほうが、患者にとって幸せなこともあるんです。
分裂病が統合失調症に、痴呆が認知症に、
呼び方が変わろうが、患者を取り巻く状況は何も変わってない、
と、この元松沢病院の医師である著者も語っています。
まったくその通りですね。
適材適所というか、棲み分けをしなければ、
本来の病院の機能が破綻してしまいかねません。
そして、人間も破綻してしまいそうです・・・