北陸にて

2017年05月15日 | 日記
友人Iさんの母上のお里、福井県坂井市での「熊本地震復興支援チャリティコンサート」が無事終わりました。
思えば、昨年9月にIさんが熊本で初めての単独自主リサイタルを開催された折、はるばる福井から聴きにおいでになったご両親に、M先生が「今度は福井にコンサートに行きますね!」と仰ったのが始まりでした。
Iさんもいろいろ考えた末、熊本地震の復興支援ということならやる意味がある、と肚を括って準備をはじめたのですが、何しろ遠隔の地ですから物事はそう簡単には運びません。各方面への協力のお願いや打ち合わせに何度も福井へ足を運び、準備に奔走すること数ヵ月。傍で見ていてもハラハラするような緊張感の中、ついに当日がやってきました。前日、M先生の熊本での活動を全面的にサポートして下さっているUさんご夫妻と私は、同じ便で福岡から小松経由で福井入り。Iさんのご主人は、大阪在住のIさんの妹さんご一家とご一緒に大阪から福井入りし、妹さんと共に当日スタッフとして活躍して下さいました。Uさんは譜めくり、Uさんのご主人は受付。どちらも大役です。M先生のお嬢さんのRさんも東京からやってきて、訳詞朗読を務めて下さいました。熊本からも、Uさんご夫妻の他にIさんのお友達も駆けつけて下さり、受付を手伝って下さいました。うちの合唱団の団員さんも「Iさんの追っかけです」と言ってお友達と一緒に聴きに来て下さいました。Uさんの昔のお知り合いや、以前熊本にいらして今は金沢にお住まいの方が聴きに来て下さったり、熊本からのご案内があったからということで福井のロータリークラブの方々がおいで下さったり、もちろんIさんのお身内もおいでになり、いろいろなつながりの方々がご来聴下さっていました。
Iさんは相当疲れていて、体力的にもつかどうか心配していたのですが、前日のリハの後半から調子が出てきて、本番は素晴らしい歌声でした。私も咽頭炎でずっと声が出ない状態が続いていましたが、当日に合わせたように声が戻ってきて、無事に歌うことができました。何かに守られているような温かい感覚をおぼえて、安らかな気持ちで歌えたのが不思議でしたが、後でIさんと話していたら、彼女も同じ気持ちだったそうです。Iさんの代々のご先祖様の地ですから、きっとお守り頂いたのでしょうね。
北陸の方たちは表情や態度が控えめです。でも、終演後、お客様方が「素晴らしかった」、「鳥肌でした」、「感動しました」と言いながら帰っていかれました。本心から仰っていたと思います。終演後、皆でIさんのご実家に少しお邪魔させて頂きましたが、ご両親の柔和な表情が印象的でした。遠方に嫁いだ娘が、地元でこんなに素晴らしいコンサートを開催するなんて、きっと想像もしていらっしゃらなかったことでしょう。うまくいくかどうかご心配もなさったでしょうから、どんなに嬉しかったことかと思います。
翌日はUさんご夫妻は永平寺へ、M先生とRさんと私はIさんのご案内で観光に出かけました。まず、火曜サスペンス劇場でおなじみの(笑)東尋坊へ。遊覧船に乗って、昔々地理の授業で習った柱状節理の見事な岸壁をとっくりと眺めました。その後、勧進帳で有名な安宅の関に連れて行ってもらいました。Iさんのお母様のご実家である古刹にもお寄りし、北陸の春の一日を満喫して、夕方の便で小松空港から福岡経由で熊本へ。ゆったりとした心豊かなおまけの一日のお陰で、すっかり疲れも癒され、今日からまた元気に仕事に戻ることができました。Iさんらしい行き届いた心尽くしに、ただただ感謝です。
生まれて初めての北陸の旅は、美しい印象に彩られた思い出深い経験になりました。