ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

エシカル消費ってなに?

2019年11月22日 | 12. コラム:環境ワード

△▼△▼ 環境ワードコラム △▼△▼

最近、エシカルという言葉が聞かれるようになりました。

なんとなく、ファッショナブルな感じがします。

(写真はイメージです。この秋の台風で水没し、やむなく閉店したカフェの思い出…)

「エシカルとは」??

***

「エシカル」とは英語で「倫理的な」という意味で、法律の縛りはないけれども多くの人が正しいと思うこと。

または本来人間が持つ良心から発生した社会的規範を意味します。・・・

エシカルという考え方は、自然と人と動物たちが、ちょうど良いあんばいで共存できる世界を目指しています。

・・・自分たちさえ良ければよい、という考え方が急速に世界に広まり、社会情勢が混沌としてきた今、

人が人らしく平穏に生きていくための道しるべとなるのがエシカルの考え方なのです。

忙し過ぎたり、お金や物を追いかけたりしていると、見失ってしまうのがあります。それは、他者を思いやる心です。

一般社団法人エシカル協会より抜粋)

***

ファッショナブル、というより、道徳的な感じがしますね。エシカル消費とは、環境に配慮した消費の在り方、でしょうか。

ファストフード、という言葉がありますが、ファストファッション (fast fashion)という言葉をご存じでしょうか?

ファストファッションは、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態のことを指しているようです。エシカルの対極にあるものと言えるでしょう。

新しいものが欲しい。ほかの人が持っていないようなものが欲しい。そういったものが手に入れやすい価格であってほしい。

そう望むことが悪いわけではありません。

ただ、安い衣料品は長持ちはしないかもしれません。来年には流行は変わるので長持ちさせる必要はないのかもしれません。

でも、原料を作っている人がいます。それを工場に運んでいる人がいます。そして洋服に仕立てている人たちがいます。

できた洋服を船やトラックで運んでいる会社や、仕立てた洋服を販売しているお店もあります。

いろんな人たちが「洋服が作られ、売られるまで」関わっていて、中には正当な賃金を払ってもらっていない人たちもいるかもしれません。

繊維工場からの排水が環境を汚すこともあります。

そんな商品を、私たちは店頭やネットショップで買って、一定期間身に着けて、そして捨てます。

新しい商品を見たら欲しくなります。どんどん買います。いらなくなった洋服はクローゼットにあふれるか、ごみとして捨てられます。

まるで私たちは、昔のヨーロッパの貴族のような贅沢な暮らしを楽しんでいるのです。(自覚していなくても)

地球上に暮らすすべての人たちが、貴族のような暮らしができるのが理想かもしれません。

でも、資源は十分にあるでしょうか?贅沢な暮らしの裏で、自然が破壊され、水が汚染され、きれいな空気が汚されているとしたら、どうでしょうか?

ごみの山が自分の家の裏まで迫ってきたら・・・?

洋服だけではなく、私たちが普段買っているすべての商品について同じことが言えます。

さて、話はちょっと変わります。

上の写真は、日本国内で狩猟したイノシシの頭部の皮と牙、そしてイノシシの皮をなめして作った小銭入れです。

日本国内では、一年のうちの一定期間、野生のイノシシやシカの狩猟が行われています。

撃ったりして可哀そう、と思う人がいるかもしれません。でも、オオカミがいなくなってしまった自然界では、ほおっておくとシカが木の新芽を食べて枯らしてしまったり、イノシシが里に下りてきて畑を荒らしたり、人間の暮らしにも影響が出てしまいます。

シカやイノシシの肉は、近年ジビエなどと言われて少しづつ流通するようになってきました。

でも、皮のほうはまだまだ利用が進んでいません。本当は利用できるものなのに、「流通に乗らないから」「使う人がいないから」捨ててしまうなんてもったいない!命を奪ったら、すべてを無駄にしないで活用するのが、いのちへの礼儀というものかもしれません。

MATAGIプロジェクトという取り組みがあります。シカやイノシシの獣皮を有効な資源として活用し、地域の活性化につなげる国内唯一の獣皮活用支援事業です。

MATAGIプロジェクトでは、「獣皮を活用しようとする方」「獣革で製品づくりを目指す方」「獣革の活用促進をサポートする方」向けに、基礎講座を開催しています。

農作物で、地産地消とよく言われます。地元や近隣(もしくは日本国内)で採れたものを積極的に食べる(利用する)ことは、環境を守ることにつながります。

なぜでしょう?

輸送時にエネルギーをたくさん使わないからです。飛行機やトラックで商品を運ぶことによって、エネルギーを消費して空気中に二酸化炭素が放出されます。

実は、農作物だけではなく、こういった商品についても同じ視点で考えることができるのです。

国内のシカやイノシシの皮を使った商品は、大量生産で作ったものより価格は少々高いかもしれません。

でも、日本の山を駆け回って大きくなった動物を、猟師さんが仕留めて、皮をなめして商品にしてくれる人がいて、そしてそれを購入して使う自分、というストーリーが生まれます。

それって、ちょっとカッコイイことだと思いませんか?日本の山の恵みを(ムダにせず)いただいているのですから。

エシカル消費、というのは、だれでもいつでも始められる社会への貢献です。

(山)

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ストップおんだん館から生まれたゆいツール

2019年11月07日 | 13. ストップおんだん館のこと(ゆいツール以前)

最近、ストップおんだん館のことをこのブログに書いておきたい、と思う気持ちが強くなりました。

ストップおんだん館とは、2004年7月にオープンし、2010 年3 月に環境省による廃止の決断により活動を終えた、地球温暖化問題専門の環境学習施設です。

ストップおんだん館は、東京タワーの近くのオフィスビルの1Fにありました。

開館していた6年半の間に、修学旅行で東京を訪れる全国の中学生や、都内の小中学生、関東近辺の子どもやその養育者、主婦のグループ、韓国からの視察グループなど、実にさまざまな人たちが訪れました。

このストップおんだん館でインタープリターをしていたメンバーが中心になって、2010年10月にゆいツールを立ち上げました。

今年(2019年)、ニューヨークで開催された国連気候行動サミットで、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんのスピーチが注目されました。

グレタさんは、ストップおんだん館がオープンした2004年の一年前に生まれています。

その頃、日本の環境省に石油特別会計からまわってきた大きな予算がつき、地球温暖化防止を国民に呼びかけるために「ストップおんだん館」が開設されました。

ストップおんだん館は、ただの情報館ではありませんでした。

地球温暖化について、自分事として考えられるプログラムや展示物をオリジナルで作成し、来館者にはインタープリターが対応して双方向のやりとりの中から気づきを引き出しました。

展示物は作り付けではなく、自由自在に変えられる仕組みになっていました。

グレタさんの怒りのスピーチを見て、私はストップおんだん館での日々を思い出していました。

地球温暖化を食い止めるために、私たちひとりひとりが、あるいは企業が、あるいは政府が、あるいはNGO団体が何ができるのか、来館者と一緒に考えていた日々でした。

その頃、私たちインタープリターは、温暖化が進むと「西日本で豪雨が多発するようになること」「台風が大型化して日本を襲うようになること」「氷河や永久凍土が溶けていくこと」「海面が上昇し、世界中で高波や高潮の被害が広がること」などを、来館者に伝えていました。

今起こっていることは、予測された出来事でした。

ストップおんだん館が閉館し、京都議定書からパリ協定へ、世界の約束も変わっていきました。

温室効果ガス(二酸化炭素やオゾンやメタンなど)を多く排出している国が、地球温暖化の問題により大きな責任を持つことは当然でしょう。

そう言えば、現在、聖心女子大学のグローバル共生研究所(渋谷区広尾)の展示室で、「女性と社会的弱者にとっての気候変動」という展示が行われています。

私はそこで、ツバルに関する映像展示を目にしました。

ツバルは、温暖化で真っ先に海に沈む国として知られています。ストップおんだん館でも、展示で紹介したり、ツバルオーバービューの遠藤さんを招いてイベントを実施したりしました。

現在ツバルでは、いくつかある島のひとつを盛り土をして迫りつつある海面上昇に対応しよう、とか、別の島に引っ越しをしようという対策が考えられているようです。

ストップおんだん館がなくなっても、京都議定書がパリ協定に変わっても、アメリカが「温暖化などでっちあげだ」と言ってパリ協定から離脱を表明しても、温暖化問題は消えてなくならず、ツバルは着々と沈みつつあるのだ、と思いました。

そして、グレタさんのような若い世代が、未来を憂えているのだ、と。

ストップおんだん館から生まれたゆいツールは、来年10年の節目を迎えます。いつの間にか、ストップおんだん館で働いていた年数を超えていました。

地球温暖化の問題も、プラスチックごみの問題も、森林破壊の問題も、大きすぎて太刀打ちできなさそうです。

それでも、ゆいツールはESDと環境教育に希望を託して、まだもう少しがんばってみようと思っています。

(山)

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