ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

フィリピンの大学からロンボク島へ!ごみ問題について調査しました(ほぼ報告書!)2/2

2023年11月26日 | 6. エコツアー参加者の声

前回のブログの続きです。

(フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学から、ロンボク島にやってきた学生さんが、ごみ問題の調査を行いました)

Pada awal bulan 10, 2023..Mahasiswa dari Ateneo de Manila University mengikuti study tour oleh Yui-Tool di Lombok.

4.TPA Kebon Kongok - 廃棄物処分場

1993年から運営されているTPA Kebon Kongok処分場は、ロンボク島の主要な処分場のひとつで、1日あたり約250~300トンの廃棄物を受け入れており、総面積13ヘクタールには、すでに満杯の処分場と、新たに建設された1.2ヘクタールの処分場があります。今回はH. Didik Mahmud Gunawan Hadi氏にお話を伺い、施設を案内していただきました。

私たちが学んだことは主に以下の2つです。

(写真:見学の様子)

 (1)処分場管理における地方自治体の努力

数年前から、TPA Kebon Kongokに蓄積された廃棄物は、3種類の処理方法に合わせて分別されていることを知りました:RDF(ごみ固形燃料)、SRF(固形回収燃料)、リサイクルおよびコンポスト。RDFとSRFの廃棄物は発生源で分別されますが、その他の廃棄物はそのままこの埋立地に送られ、その後手作業で分別されるとのことです。また、埋立地から出るメタンガスは回収され、地元の人々の調理用ガスとして利用されるとのこと。この処分場では、浸出水を環境に放出する前に処理するため、生物学的手法と化学的手法を同時に適用していますが、この施設の現在の能力では、おそらくすべての廃棄物を処理することはできないだろうと彼らは懸念しています。実際、ここで適切な処理が行われた廃棄物は全体の3分の1に過ぎず、このままでは1年後には新処分場が満杯になってしまうとのことです。

(写真:RDFとSRFの収集・処理光景、廃棄物は手作業で分別される)

さらに、古いゴミ捨て場では温室効果ガスが大量に放出されていることが記録されており、これは主要なガスパイプがゴミの山の下に埋まっていたため、パイプが機能不全に陥ったためとのこと。このような状況に鑑みて、彼らは、埋立地の処理能力を向上させる新たな方法を模索しており、最近ではオーストラリアの "“Ministry of Waste”(オーストラリアのNGO)と協力し、施設の能力を拡大し、ここで働く労働者の負担を軽減しようとしているとのことでした。

 (2)環境教育の重要性

また、地域の学校に対し、生徒のための教育プログラムやゴミ処理場への遠足などを企画しており、現在ではロンボク島の30以上の学校と連携しているとのことです。彼らによると、インドネシア政府の「Clean-from-Waste 2025」計画とロンボク島の「ゼロ・ウェイスト・プログラム」の影響もあり、近年では島の廃棄物管理問題に注目し、手を差し伸べる人が増えてきたと感じているようです。しかしながら、ロンボク島の廃棄物の発生を減らすためには、まだまだ住民意識の向上が必要であることを強調していました。

(写真:現在の埋立地)

(写真:新しい埋立地)

 

5.廃品回収業者

この廃品業者は、人々が "廃棄物 "とみなすものを回収し、それらの材料をリサイクルして再利用し、その材料を使用する企業に転売しています。代表のHj.Zulkilfil氏は2022年にこのビジネスを始めたばかりですが、廃棄物から約20〜30%の利益を得ることに成功しています。彼は自分の裏庭と土地を使って事業を展開し、現在9〜15人ほどの従業員を雇用していますが、2024年までにはさらに事業を拡大し、200人ほどの従業員を雇用する予定であるとのことです。

(写真:見学の様子)

この廃品業者では、金属(アルミニウム、銅、鉄など)、プラスチック、段ボールなど、さまざまなスクラップを回収しており、これらの材料は建設現場、製造工場、解体プロジェクト、自動車修理工場、不用品を処分したい個人など、さまざまな場所から来ています。

この施設の目的は、廃棄物を選別・処理し、リサイクルセンターや工業メーカーに販売できるようにすることであり、廃棄物の品質と市場性を向上させるため、洗浄、破砕、圧縮等の方法が行われています。

また、彼は主に個人から廃棄物を購入し、前払いで現金を提供しています。これは、"廃棄物"を持ってくる個人を惹きつける彼の戦略の一つであり、廃棄物を埋立地から切り離し、天然資源を保護し、廃棄物処理による環境への影響を軽減するため、リサイクル業界で重要な役割を果たしていることがわかりました。


(写真:プラスチックセクション)



(写真:段ボールセクション)

まとめ

このスタディツアーを通して、ロンボク島の廃棄物管理および環境教育の実情を学ぶことができました。現地に行く前の調査では、廃棄物管理も環境教育もほとんど手付かずのような状態であるという認識であったため、実際に州政府や市役所の担当者と話し、レポートを見せていただいたことで、彼らなりに環境問題に取り組もうとしている姿勢を見ることができました。しかしながら、街中を見れば、川や道路にゴミを捨てている人を見かけますし、マタラム市内の川の様子は残念ながらひどいものです。住民の意識が向上し、分別することによって、これらのゴミが処分場に向かったとしても、現状の処理能力では、対応することが不可能であり、マゴットセンターおよび高倉式コンポストの活用により、政府レベルおよび地域レベルでまずは廃棄物量の60%を超える有機物の処理が優先事項であるのは明白だと感じました。それに加えて、ごみ銀行や廃品回収業者と協力し、プラスチックや金属などの固形廃棄物のリサイクル率を上げていくことも重要であると思います。海も川も山も美しいロンボク島の風景を守っていくためには、上記の訪問先に加え、大学やメディアなど様々なステークホルダーが協力し、環境教育と廃棄物管理が適切に行われればと思います。

NPOゆいツール開発工房の皆様、今回は大変お世話になりました。
このようなスタディツアーを組んでいただき、誠にありがとうございます。

いつかロンボク島の川にごみが流れることがなく、綺麗な川となり、生物たちが垣間見え、子どもたちが遊ぶ、そのような場所になってほしいと思います。

吉野高幹、水村紗英

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フィリピンの大学からロンボク島へ!ごみ問題について調査しました(ほぼ報告書!)1/2

2023年11月23日 | 6. エコツアー参加者の声

Pada awal bulan 10, 2023..Mahasiswa dari Ateneo de Manila University mengikuti study tour oleh Yui-Tool di Lombok.

初めまして、吉野高幹(よしのこうき)と水村紗英(みずむらさえ)と申します。

現在、私たちはフィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学の人類社会開発学部にて、修士を勉強しています。この度は、吉野の母校である北九州市立大学とマタラム大学のご縁の下、卒業プロジェクトとして、大学生に向けた環境教育と廃棄物管理のトレーニングを実施するために、タイやベトナムのチームメンバーとともにロンボク島を訪れ、2023年9月から1ヶ月ほど滞在しました。

プロジェクト実施前に様々なリサーチを行いましたが、英語や日本語ではうまく情報を得ることができず、NPO法人「ゆいツール開発工房」さんにコンタクトを取らせていただきました。急な連絡であったにも関わらず、快く組んでいただいたスタディツアーに参加し、ヌサ・トゥンガラ・バラット(NTB)州環境森林局、マタラム市環境局、クカイ・ブルスリごみ銀行、廃品回収業者、そしてKebun Kongok 処分場を訪れ、ロンボク島の廃棄物管理の実情を理解することができました。

本当にありがとうございます。

それぞれの訪問先とミーティングの内容を以下にまとめましたので、読んでいただけると幸いです。

 

1.NTB州環境森林局

NTB州環境森林局では、廃棄物管理・環境汚染制御部門長のFirmansyah氏と対談することができました。


(写真:Firmansyah氏とのミーティング)

私たちはFirmansyah氏へのインタビューを通して、ゴミ処理や環境教育に関するデータや実際の取り組みを知ることができました。また、実際のゴミ処理率やこれまでの成果、今後の目標や課題などを記した「ゼロ・ウェイスト・プログラム達成報告書2019-2023」を共有していただきました。

報告書によると、2018年時点では20%しか管理されていなかった廃棄物が、2023年時点では55%が適切に管理されており、少しずつではありますが、廃棄物管理に改善傾向が見られます。

また、ごみ銀行やマゴットセンター(うじ虫を使ったコンポストセンター)との連携が今後のカギであるとおっしゃっていました。

実際に2023年時点でごみ銀行の数は522となっており、167しかなかった2018年から大幅に増えており、ごみ銀行がロンボク島の廃棄物管理システムにおいていかに重要な存在になっているかを示しています。

一方、マゴット・プロジェクトは2年前に始まったばかりで、政府が提供する施設が2つあり、教育とトレーニングは政府が担当するものの、基本的にはコミュニティによって運営されています。

Firmansyah氏は、「1キログラムのウジ虫は1日に2〜5キログラムの有機廃棄物を食べることができ、その高いタンパク質含有量は家禽や魚の飼料として利用できる。また、家畜に直接与えたり、乾燥させてから与えたり、ペレットにすることもできる。マゴットの糞は非常に優れた有機肥料であり、植物の肥料にもなります」とおっしゃっており、これらのプロジェクトがうまく機能し、ロンボク島の廃棄物管理のシステム作りが早急にできれば良いなと思いました。

環境教育に関しても、すべての高校に環境教育を実施することを義務づける方針があり、「Adiwiyata school program」が200校以上で実施されているとのことでした。Adiwiyata school programは、インドネシアの学生コミュニティの間で環境保全の取り組みに関する知識と認識を促進することを目的とした環境省の重要なプログラムです。また、報告書によれば、2023年までの環境教育プログラムやキャンペーンの実施回数は850回、総受講者数は741,106人であったとのことで、過去5年間に多くの取り組みがなされていることがわかりました。

しかしながら、州政府が管轄できるのは高校のみであり、幼稚園、小学校、中等教育でこうしたプログラムを包括的に実施するには、地方自治体との協力が不可欠であるとのことで、今後環境教育を促進していくにあたっては、地方自治体やコミュニティ、さまざまなステークホルダーとの連携が不可欠であると感じました。

 

2.マタラム市環境局

マタラム市環境局では、環境局長官のIrwansyah氏およびPesona Harumの担当でもある I Made Wibisana Gunaksa氏とお話しすることができました。


(写真:Irwansyah氏および I Made Wibisana Gunaksa氏との記念撮影)

NTB環境森林局と同様に、私たちは彼らとのミーティングを通して、ゼロ・ウェイストの目標達成に向けた市の取り組みや今後の目標・課題について話を聞くことができました。彼らもまた、市と州では管理体制が異なるため、様々なステークホルダーを含めた協力が不可欠であると述べていました。Irwansyah氏は「有機廃棄物が排出される廃棄物全体の60%以上を占めており、これはマタラムの廃棄物問題に取り組むチャンスである。そして、有機廃棄物の量を減らす鍵は、マゴットセンターと環境教育である。」とおっしゃっており、将来的に有機廃棄物の40%がマゴットセンターによって処理されることを期待しているようです。
しかしながら、有機廃棄物と固形廃棄物の分別は住民個々人の責任であるため、近年はペソナ・ハルム(Pesona Harum)を通じて環境教育プログラムに力を入れているようです。Pesona Harumは、NTBゼロ・ウェイストを実現するための「廃棄物ゼロの環境を目指す運動(LISAN)」の一環である独自の政策です。2017年は7校のみで実施され、2018年と2019年は震災とCOVID-19の影響で中止となったようですが、2023年現在では60校で実施されており、今後実施校を増やしていくことを目標としているようです。

 

3.クカイ・ブルスリごみ銀行

クカイ・ブルスリごみ銀行は、有機ゴミやプラスチックを中心とした家庭ゴミを収集し、堆肥化やリサイクルを通して生活に役立つものに生まれ変わらせる、地域密着型のごみ銀行であり、今回は創設者であるパイズル氏にお話を聞きつつ、実際の取り組みについて学ぶことができました。

このごみ銀行では、2つの異なる方法で地域住民の廃棄物を交換しています。1つ目は、提出された廃棄物の量と同額のお金と交換するプログラム、もう1つは廃棄物を植物など他の製品と交換するプログラムです。

集められた廃棄物のうち、約70%が有機物、10%がプラスチック、20%がその他の固形廃棄物とのことで、有機廃棄物はコンポストに入れられ、発酵されたのち、最終的には肥料に加工されるようです。パイズル氏は独学で学んだ日本の高倉式コンポストを活用し、砂糖、米、ココナッツの水から堆肥を作っていました。また、家庭でも簡単な器具を使って堆肥を作る方法を村の人々に教えているとのことでした。

一方、プラスチックについては、ごみ銀行は通常PET、PP、HDPEをリサイクルしており、地元の人々から1kgのPETボトルをRp.2,000で回収し、回収業者にRp.3,500で販売している(PPはRp.5,000)とのことでした。地元の人々から回収した後、現在スラバヤのプラスチック回収業者に販売しているようですが、運営コストを削減し利益を最大化するため、近隣の島々で別の選択肢を探しているとのことです。

上記とは別に、プラスチックゴミから手作りの工芸品を作る方法も教えており、私たちもパイズル氏の娘さんから工芸品作りの一部を学ぶことができました。

(写真:パイズル氏とのミーティング)

学んだことは主に以下の4つです。

 (1)環境教育の重要性

パイズル氏とのインタビューを通して、私たちは人々の行動や習慣、そして廃棄物問題を取り巻くシステム全体を変えるために、教育がいかに重要であるかを学び、再認識しました。

教育の重要性は、パイズル氏が繰り返し強調しており、彼はコミュニティを変えるために実施した段階的な教育方法を私たちに教えてくれました。

 (2)活動の持続可能性

パイズル氏は「一朝一夕にできることではなく、大切なのは忍耐強くコミュニティと関わり続けることだ」と述べ、人々の行動を変えることの難しさを話してくれました。

 (3)コラボレーション

私たちはパイズル氏の仕事を通して、協業の重要性を学びました。彼は、地元の大学の教育学部と協力することでより多くの学生に教えることができ、地元政府と協業することでより多くの家庭に堆肥化設備を提供することができています。活動の効果を最大化するためには、関係するステークホルダーの協力を得ることが重要であると感じました。

 (4)環境教育には時間が必要

周辺の村々を訪れてみると、パイズル氏が継続的に教育を行っているにもかかわらず、ゴミのポイ捨てや不適切な廃棄物管理が散見されました。彼が言ったように、環境教育には時間が必要であり、徐々に変化していくのを辛抱強く見守る必要があるのかもしれません。

次のブログへ続く・・・)

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ロンボク島を訪れ感じたこと(学生さんの感想)in Lombok

2020年03月01日 | 6. エコツアー参加者の声

1月初めに、ロンボク島でのゆいツールの活動に同行した学生Yさんの感想です。

Pada bulan januari 2020, Mahasiswi dari Jepang jalan2 ke Lombok. Dia belajar tentang kehidupan orang Indoensia, budaya, dan masalah sampah di Lombok.

+++

私は立命館大学の学生で、2019年9月から半年間インドネシアのバリ島の大学でインドネシア語を学んでいました。2020年の1月にゆいツールの活動に1週間参加させてもらいました。

(東ロンボクのスンバルン地区の幼稚園にて。後方左から四番目が筆者)

留学前からバリ島で人々の環境に対する意識調査を行いたいと思っていました。というのも、一年前にバリ島でダイビングをした際、海に浮かぶ大量のプラスチックやペットボトルを見て衝撃を受けたからです。メディアなどで環境問題についての情報は目にすることが多くなりましたが、実際に自分の目で見て他人ごとだと感じなくなりました。そして途上国(インドネシア)のゴミ問題、環境問題に関心を持つようになりました。留学先をバリ島にしたのも、2019年1月にビニール袋、ストローの使用が禁止された事を知り、ゴミ問題に対してアクションを起こしている多くの団体や、人が多いことを知ったからです。

バリ島留学中に、ゆいツールの行う環境教育や活動に興味を持ち、ロンボク島でごみ銀行やクリーンアップなど様々な取り組みがなされていることに関心を持ちました。また村での滞在で人々と関わり、ローカルな生活を体験し人々の環境問題に対する考えについて知りたいと思い、活動に参加しました。

私は1週間のロンボクでの活動を通して、様々なことを感じ、考え、学びました。

1つ目は、「人と人、そして自然と人のつながりの密接さ」です。

(滞在したランタン村で。泊めてもらった家の姉妹らと)

私は、ロンボク滞在中に3つの村を訪れました。どこの村も大勢の人が私を笑顔で迎えてくれました。異国にいるのにとてもほっとして、温かい気持ちになりました。村での生活を身近で体験し、現地の人の生き生きした姿を見ることができました。休む暇もなく、1日中色々な体験をさせてもらいました。滝に飛び込んだり、伝統菓子作りを体験したり、イスラムの文化に触れたりすることができました。すべての体験が新鮮で、バリでの生活とまた異なっていてとても刺激的でした。今でも写真を見返すと、村の自然の豊かさや人々の暖かさを思い出します。

数年前にロンボク島で地震があり、多大な被害を受けて訪れる人が減り、村ツーリズムの参加者も減っているということを聞きました。村ツーリズムは、村の自然を生かした観光ということで、村の人々によって発展させてきたものです。人を呼び込むためにパンフレットを作ったり、橋を作ったり、ツアーを考えたりして開発してきたものです。またそれは環境教育にもつながっていました。環境教育をすることで、村の景観維持につなげツーリズムを促進し、村をより魅力的な場所にする1つの方法でもありました。

2つ目は「自分の生活を見直すきっかけになったということ」です。

西ヌサトゥンガラ州の環境局へ行くことができ、政府側の意見や今後の目指すべき方針について聞くことができました。ゴミ銀行についても積極的に広げていこうと考えているそうです。

日本に長く住む私は、プラスチックを人の手でそのまま物に作り変えるなんて考えたこともありませんでした。そしてそれが暮らしを支える一つの収入源になるなんて面白い発想だと感じました。買って帰ったプラスチックでできた筆箱(写真上)は、日本で様々な人に興味を持ってもらえます。そしてロンボク島でのゴミ銀行について説明します。

村の人々の暮らしはエコで溢れているように感じました。

カバンや服はボロボロになるまで使い、野菜や肉も食べることのできる部分は全て食べます。

ただ問題なのは、(自分たちが捨てているごみが環境にどのような影響を与えているか)知らないという事です。これらを解決するためゆいツールが大きな役割を担っていると感じました。ゴミの分別や、ゴミ銀行、ポイ捨てをなくすなどまず環境教育が大事です。

(現地の人が作ったエコブリック。プラスチックの包装紙などを詰めて、ブロックの代わりにします)

途上国の人々は日本のような先進国が開発した大量のプラスチックを利用しています。例えば、シャンプーなどは本当はボトルで買った方がごみは少なくてすむのに、小分け包装のものの方が安いから、日々使えるお金が少ない人たちはそちらを買わざるをえない。地球環境<安さなのです。生活のために便利で安いものを使わざるを得ないのです。先進国が途上国に与える影響は非常に大きいと感じました。インドネシアが直面するごみ問題の責任の一端は私達日本人にもあることを忘れてはならないと思いました。先進国に住む私たちだからできること、変えるべきことを見直すきっかけになりました。

日本に帰国してから、キャッシュレス化など日本がより便利になっていることを実感しました。そして家でゴミを分別をする時、プラスチックの量に改めて驚くこともあります。消費者の私達にもできること、私が伝えることができることをは沢山あります。大量生産、大量消費国に住む私は、自分ゴトとして捉えて生活を見直していきたいと思いました。

そして活動を通して感じたことは、ごみ処理のシステムがまだ不十分なインドネシアでは、一人一人、1つ1つの村、1つ1つの島の意識を変えるということであると思います。州レベル、国レベルの対策に加えて環境について考える人、アクションを起こす人が増えれば、より多くの人が問題意識を持つようになることは可能であると思います。そのためにどれだけ時間がかかるかわかりませんが、そして何がゴールかは難しいですが、未来にインドネシアの豊かな自然を残すために今、すべての人の自分ゴト化が必要です。

滞在中、ごみを見つけるとドゥルカディチーム(ゆいツールが育てている若者たち)のみんなが、「あれはゴミではない、お金だ」と言っていたのがとても印象的でした。そのような意識の人が少しでも増えてごみ問題を他人ゴトに捉えないことが大事だと思いました。

(東ロンボクのマングローブ林にて)

(思い出に。マデくんが書いてくれたイラスト)

+++

Yさんが参加したゆいツールの活動(ブログ記事)はこちら。

日本の学生さんを連れて、スンギギエリアのごみ拾いに参加 in Lombok

日本の学生さんと一緒に、州の環境森林局でヒヤリング! in Lombok

若者たちがコンポストづくりを指導!? in Lombok

ロンボクの幼稚園と小学校で、「ごみについて考えるプログラム」を実施しました! in Lombok

ロンボクの高地スンバルンへじゃらんじゃらん(おでかけ)♪ in Lombok

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暮らしから学ぶ~村ツーリズム体験談(学生さんの感想) in Lombok

2020年01月20日 | 6. エコツアー参加者の声

12月下旬に、ロンボク在住の日本人大学生向けにツアーを実施しました。以下、彼の感想です。

***

先日、ゆいツール開発ラボさんのツアーに参加してきました。

そこで僕は、「村ツーリズム」なるものを体験させていただきました。内容は、村で行うエコツーリズムです。

エコツーリズムEcotourism)とは、自然環境の他、文化・歴史等を観光の対象としながら、環境の保全性と持続可能性を考慮するツーリズム(旅行、リクリエーションのあり方)のことである。 (Wikipediaより)

僕は正直、ザ・観光にあんまり興味がありません。

有名できれいな場所を見て、たくさん写真を撮って、夜は優雅にホテルに泊まる…といった観光をしても、あまり楽しいと思えないんです。。

それよりも、もっとローカルな人たちの生活を体験したい。もっと、現地の人々と交流したい。

村ツーリズム(エコツーリズム)は、そんな人におすすめかもしれません。

どんな経験だったか、レポートしていきますね!

 

今回、僕が滞在したのは「ブウン・スジャティ村」。

ロンボク島中心市街地から車で30分ほど走った場所にあります。村につくと、若者3人が出迎えてくれました。

そのうちの1人がマデくん。この村でエコツアーを進めるのを取り仕切っている人物です。 

(着いて早速、家の果物を狩る。写真中央がマデくん)

 

彼が中心になって、村をガイドしてくれました。

一緒に庭の果物を取ってその場で食べたり、近くにある滝に案内してくれてちょっと水浴びをしたり、料理の作り方を教わったり。。

村に滞在し、そこにある暮らしを体験する。

(米の収穫を体験)

 

(バリ人(ヒンドゥー教徒)がお祈りに使う花のお供え物の作り方を教えてもらう)

(バリの音楽を体験)

純粋に、そこにいる人との交流を楽しむ。

この村の人たちにとってはただの日常ですが、僕にとっては非日常の連続。とても刺激的でした。

 

そして、あることを強く感じました。それは、日本においては忘れていた「自分は生きているんじゃなく、生かされてる」という感覚。

 

2つ大きな出来事がありました。

1つ目は、自分でアヒルを絞めて食べたことです。

 

1日目の晩御飯、食卓にはアヒルのスープが出てきました。

このおうちはアヒルを飼っていて、ガアガア鳴いているのを見てました。

「あそこのアヒルがこれ?」と聞くと、「そうだよ」とのこと。

「もし機会があれば、ぜひそれを体験したい」と伝えました。すると、2日目に実現。

最初は見てるだけのつもりだったのですが、「ほら、持って持って!」と言われ、アヒルを掴むことに。

ぎゅっと足を持つと、ちゃんと温かい。「ああ、こいつも生きてるんだ」と。

 

そう思っていると、お父さんがアヒルの首根っこをナイフで引きちぎりました。

飛び散る鮮血。もうほんとに、真っ赤な血でした。

「もう手を放していいよ」と言われ、手を離すと、のたうち回るアヒル。

 

少したってアヒルが息絶えると、中学生くらいの子どもたちがすぐさま羽根をむしり取り始めました。

とりあえず僕も一緒にむしり取る。むしり終わると、見たことある肉の形になってました。

 

そしてその日の晩御飯で、スープになって出てきたアヒルを食べました。

それを食べると、なんか何とも言えない気持ちになりました。

さっきまで生きていたアヒルを、今こうしていただいている。

心から、感謝の念がわいてきたのです。

 

もう一つの出来事は、村のおじさんに森を案内してもらったときのこと。

森を歩く道のりの中で、おじさんはいろんな果物や山菜をぱっと見つけてもぎ取り、僕に手渡してくれます。

そのしぐさが、もはや庭に植えてある野菜を取って「これ食えるよ~」って言ってるみたいなナチュラルさなのです。

森全体が自分の庭、みたいな。

 

でも僕が見ても、全く見分けがつかない。「この葉っぱとあの葉っぱ、どっちが食べられるやつだっけ?」となってしまう。

 

きっとおじさん、ずっと森とともに生きてきたんだな。

そして、その恵みを享受して生きてきたんだ。そう感じました。

 

僕のような普通の人間が普通に暮らしていると、鳥を自分で殺めなくても、森で果物を探さなくても、スーパーで買えます。

 

でもそれだけでは、「命をいただく」ということがどういうことなのか、本当にはわかっていませんでした。

動物にしろ植物にしろ、生きている命を犠牲にしていただいているんだ。

だいぶ遅いですが、ようやくそのことを心から理解できた気がします。

 

人は生きているんじゃなく、生かされてる。

 

このように、自分が慣れ親しんだ環境とは異なる環境に飛び込むことで、多くの気づきや学びを得ることができます。

リアルな生活の中に入り込める「村ツーリズム」、おすすめです。

***

感想を書いてくれた学生さんが綴っているブログ「BIKIのロンボク滞在記」も併せてご覧ください。

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ゆいツールの活動に参加して感じたこと(大学生の感想)

2019年10月11日 | 6. エコツアー参加者の声

先月、バリ島&ロンボク島にやってきた大学生の感じたことです。彼が体験したことはこちらのブログから。

***

私はゆいツールでのツアー全体を通して、死が身近にあることの大切さを感じました。

私自身以前から日本での生活の中で「死」が人々から隔絶され、いわゆる先進国の国々でスプラッター映画などの残虐な光景のある作品が好まれていることに疑問を感じていました。

ロンボクのある村を訪れた際、喉に縄をかけられた鶏が料理になるまでの全工程を見る機会がありました。

鶏だったものが日本で見るような鶏肉に変わっていくのを見て、今までの人生の中でどうしてこのような光景を見ようとしてこなかったのか悔しさを感じました。

日本の学校で命や食事が大事だと教わったとき、なぜ大事なのかうまく伝わらってこなかった経験がありますが、鶏の「死」を見た時にそれが分った感じがしました。

私は、それ以来肉でも野菜でもそれらが生き物であったことを頭の片隅に止めるようにしています。

また、ロンボクの道路はとても混雑しているのですが、みんなが合図にクラクションを鳴らしていました。

日本だとあり得ないことですが、その光景の中にみんなが事故を起こさないように注意していると感じました。

事故を起こさせないようにしているのは日本も同じかもしれませんが、ロンボクでは事故を起こさないために好まれないクラクションを使ってまで注意していたため、事故がしっかりと「死」という大きなものに結びついていると感じました。

やはりそれは、ロンボクの人々にとって「死」が身近に感じられる恐ろしいものなのだと思いました。

 

また私は、ロンボクで“人のつながり”を学びたいと思い、ゆいツールの活動に参加しました。

私は昔から他者とコミュニケーションをとることが上手ではなく、大学生になり新しい環境に入ってゆく中で私自身の人とのつながり方に「本当につながっているのか」など疑問を感じずにはいられませんでした。

そこで、あえて価値観や言語、環境が全く異なるロンボクで“人とのつながり”の本質を確かめたいと思いました。

ロンボクで私が最も強く感じたことは、“つながり”は常に感じなくてもあるものだということです。

私は数ヶ月前まで高校生だったからか、“人とのつながり”はほぼ毎日会うような濃い関係だと感じていました。

しかし、ロンボクでのホームステイ先の村から帰るときに「この家をインドネシアの君の家だと思って、日本でつらいことがあったらこの家を思い出してほしい」と言われ、私は見えなくても会えなくてもそこにはしっかり“つながり”があるのだと感じました。“つながり”は実感が沸かなくても常にあり続け、思い出すことが出来る。それが“つながり”の本質の一つだと思いました。

私はこのロンボクで得た気づきを日本にある関係にも当てはめ、これからも“つながり”を作っていこうと思っています。

これが今後、私の“つながり”に対する考え方として実を結ぶかは分りません。

しかし、ロンボクでこれに気づくまでの経験や思いは常に私の中で実っていると感じられます。

 

最後に、私はゆいツールの活動に参加する以前から自然保護に興味があったわけではありません。

しかし、だからこそロンボク島で自然保護以外のことも感じられたと思います。

たとえ自然保護に興味が無くともロンボク島で気づけることがあると思うので、機会があればロンボクに来てみることをお勧めします。

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留学のしめくくりにバリ島・ロンボク島へ!(学生さんの感想)

2019年06月29日 | 6. エコツアー参加者の声

今回は、5月末から6月上旬に、ゆいツールの活動に同行した高校生の感想を紹介します。

****************

はじめまして。

現在高校4年生の学生です。

この、4年生というのは、高校3年生の夏から今年の5月までインドネシア環境林業省付属職業専門高等学校(スマトラ島リアウ州)に留学していたためです。

そして留学中に一か月の実習授業として訪れたブキッ・ティガプル国立公園で偶然にもゆいツールの山本さんの情報を得て、留学終了後、本帰国前の時間を使い、ゆいツールの活動に付き添ってバリ島・ロンボク島を訪問してまいりました。

今回は、この2つの島での経験したことと感想を書きたいと思います。

(スウン・カウのマングローブ林で)

まずバリ島は2泊3日の滞在で、マングローブ林を訪れたり、日本の団体が建築したエコホテル(コテージ風)を訪問したりしました。

(エコホテルの様子はこちらのブログから)

デンパサールのスウン・カウというところにあるマングローブ林では、バリ州環境林業局の支所でマングローブやごみ問題についてインタビューをしました。

私は、この時に対応してくれたスタッフの方(写真上の左側の男性)が日本語を独学で習得した、ということにたいへん驚きました。日本に行った経験がない中で、一人で本を読み独学で日本語を習得し、今回のインタビュー中も日本語とインドネシア語を巧みに操りながら答えてくださいました。私たち以外の日本人が訪問した際もしっかり日本語で対応するそうです。

私はこのときすでに約1年間インドネシアで生活し、日常会話程度はできるようになっていましたが、これらは環境要因が強いと自覚しています。しかし、このスタッフのように本当に強い思いがあれば、環境など関係なく語学の習得は可能なのだと学びました。そしてきっと、語学に限らず、自分が本気で思ったことは自分次第で叶えられるのだと思いました。

レンボンガン島のマングローブ林では、舟に乗りました。小さな舟で船頭さんが漕いでくれて、マングローブの葉が風に揺れる音や虫や鳥の声、川を進む音に耳を澄ましゆったりした気持ちになりました。

(レンボンガン島のマングローブ林)

私は、森林が持つ保健休養効果に興味があり、この効果を生かし将来はインドネシアなどの熱帯雨林を保全していきたいと思っていますが、ここでの体験は私の夢に繋がるものでした。

そして旅の後半はロンボク島へ。

(中部ロンボクのランタン村で)

イスラム教の断食明けのお祭りの日を村で過ごしたくて、ランタン村に2泊ホームスティもしました。

バリ島でもロンボク島でもとても貴重な体験ができましたが、私が最も心に残っていることは、ランタン村にホームスティする前にスンギギ第一公立小学校を訪れたときのことでした。(ゆいツールの報告はこちら

この学校は、昨年のロンボク大地震で被害にあった学校で、ゆいツールが支援をしたため現状確認のために訪問しました。この日は学校は休みで、校長先生が私たちを迎えてくれました。

ゆいツールが送った支援金で、校舎を直している職人さんもいました。

私は初めて地震の被害にあった学校を訪れましたが、復興までは遠い現状であると感じました。

そんな中、ゆいツールが寄付した支援金は、社会の中で支援が届きづらく早い復興が望まれている学校に、一筋の光のようにしっかりと届いていました。

国内国外に関わらず、何か災害があった場合、有名企業やタレントさんなどが多額の寄付を送った、という話をよく聞きますが、実際現場でどう活用されているのかなど、寄付した後の状況について私は考えたこともありませんでした。

しかし、今回の訪問で、日本のNPOが寄付をしたその先を目撃し、支援金が本当に小学校の復興に役立っていることを実感しました。

(山本さんと校長先生。奥はゆいツールのアシスタントのコマンさん)

これまでNPO法人というものが何をやっているのか知らなかったのですが、今回ゆいツールの活動を通して世界で本当に困っている人たちを助けることができる団体だということを知りました。

山本さんを始め、ゆいツールの現地の仲間たちと過ごしたバリ島・ロンボク島は私の一年間の留学生活を締めくくる最良の時間となり、私もこの方たちのように現地で本当に困っている人々を助けられる人材になりたいと思いました。またその中では、留学のきっかけの思いとなった「インドネシアをはじめとした熱帯雨林の保全」という側面から特に活動していきたいと思います。

最後に、このような素晴らしい価値あるツアーを提供してくださったゆいツールのみなさん、そして山本さんに感謝を申し上げたいです。本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いします。

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ESDスタディツアー~違いに気づき、文化を知り、行動につなげる~(先生の言葉)

2019年04月18日 | 6. エコツアー参加者の声

大学の先生の文章を紹介します。

先生は、ロンボクを訪れるのは2回目。今年も、3月のエコツアーに学生を連れて参加され、記録係の方が作られた記録集に文章を寄せられました。

ゆいツールは許可を得た上で、その全文をこちらに転記させていただきました。

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ESDスタディツアー~違いに気づき、文化を知り、行動につなげる~

今回のツアー先に選んだのは前回同様、インドネシア共和国のロンボク島です。

多文化共生が求められる今日、異文化を背景にもつ他者とともにいるあり方が問われています。持続可能な開発を考える上でもそれは重要です。違いを前提に、ともにいられる暮らし方や働き方を考えていかなければなりません。けれども、そもそも私たちは違いを理解できているのでしょうか。

ともに暮らすことで見えてくる他者との違いを通して、私たち自身の当たり前に気づくこと、異文化をもつ他者がいることを知り、地球および地域環境の保全を考えること、ここに今回のツアーの目的がありました。持続可能な開発には、制度設計や技術革新が必要です。そうした環境整備によって人々の意識や行動の変化が見込めます。けれどもそれを待っているだけにならないように、教育があります。一人ひとりができることから始める、このfirst stepを踏むために、私たちはさまざまなことを学びます。何をすることがよいのかを考え、選択していきます。

ロンボク島でのさまざまな出会いは、私たちに自分自身を問い返すときを与えてくれました。私たちはときに自己矛盾を感じて、「持続可能な開発」から逃げたくなったり、自らの選択を正当化するために自己防衛になったりすることもあります。持続可能な開発のプロセスは、決してキレイで平坦な道ではありません。凸凹した道、開拓しなければならない場、一人では到底進むことができない道を通ることもあります。持続可能な開発は、一人ひとりの努力だけではなく、「ともにする」誰か、「ともにいる」誰かがいることで成しえることのように思います。

前回のスタディツアー同様、家族ではない異なる者たちが集い、ひとつの家族のように暮らした日々がこの冊子にまとめられました。インドネシア語で「相互扶助」や「協同」を意味する「ゴトン・ロヨン(gotong royong)」には、私たちが忘れていた「ともにする」ということがありました。本冊子はツアー参加者が、ロンボク島の人々の「ゴトン・ロヨン」を通して感じた記録が編まれています。孤独や孤立が引き起こすさまざまな問題を見聞きする現代社会において、本冊子の記録が「ともにする」「ともにいる」ことを改めて考えなおすきっかけとなれば幸いです。

結び

「大きなことをしてるわけじゃない、身近にある、小さなことをしているだけ」

シンプルな言葉に私たちはさまざまなことを思い巡らしました。「持続可能な開発」と聞くと、私たちはとても大きなことを成し遂げなければならないように思います。気候変動、人権侵害、経済格差など、国際社会で問題視される状況に、私たちはどう対応することが望まれるのか、解決策を探すなど途方もない道のりだと思ってしまいます。けれども、そうではないことに気づかされたスタディツアーでした。参加者と同世代の若者がそれぞれの土地でできることをしていました。賛同してくれる仲間を探し、ネットワークを広げていました。彼/彼女たちは、村をよくしたいという気持ちを原動力に活動していました。

持続可能な開発には、正解はありません。これだ!という解がないから、私たちはとても大変に、面倒に考えてしまいます。けれども村での生活を通して、私たちはすでに解をいくつも持っていることに気づかされます。ただそれらに気づいていないだけ、またそれらを複雑に覆い隠すさまざまなものに気を取られて、見つけ出せなくなっています。

「私たちは何をしますか?私たちには何ができますか?」この問いにシンプルに応えてみてください。一人ひとりが、それぞれの解を行動につなげます。村の若者たちがしたことは、こうしたシンプルなことの積み重ねです。私たちが日本に帰国した後も、村で出会った若者たちはこのシンプルなことを続けています。こうした「小さなこと」は問題解決には到底及ばないかもしれません。でも、「小さなこと」の繰り返しが私たちの日常の習慣になります。一人ひとりができる「小さなこと」を探し、持続可能な社会形成につながる習慣を身につけていくことが望まれています。

最後に、今回もツアーの企画から実施までのすべてにわたってご協力いただきましたNPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)の山本かおりさん、ロンボク島で私たちをケアしてくださったすべてのみなさまに謝意を表したいと思います。そして前回同様、ツアー中の記録および本冊子作成を担ってくださいました猪野純恵さんにも心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。

2019年3月吉日

名古屋市立大学人文社会学部心理教育学科

曽我 幸代

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インドネシア人にとっても、楽しかったロンボク島エコツアー♪

2019年04月14日 | 6. エコツアー参加者の声

今回は3月のツアーに参加した、日本に留学中のインドネシア人の学生さんの感想を紹介します。(日本語で書いてもらいました)

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(ランタン村の小学校で。筆者中央)

●ツアーに行く前

私は学校教育について興味があります。とくに持続可能な開発のための教育 (Education for Sustainable Development) です。インドネシアで教育学を学んでいるうちに、学校教育にESDを導入している日本の教育機関について深く研究したいと思いました。学校におけるESDの有効性に関してインドネシアと日本の国際比較を通して深く研究したいと思うようになりました。

ESDの基本的特徴は3つあります。環境保全、社会的公正、経済発展です。ESDは未来を持続するために、人の考え方を少しずつ変えることをねらいます。周りの環境問題などを一緒に考えて、解決します。ESDは人格形成にかかわります。他者、社会、環境に対する関係性が変わります。ESDを実施するのを深く勉強したいので、ロンボク島ツアーに参加したいです。

また、インドネシアには良いところがたくさんあります。インドネシアの海はとてもきれいです。とくに、バリ島です。外国人にとってインドネシアよりバリ島がもっと有名だと思います。バリ島以外にも、ロンボク島もインドネシア人だけでなく、外国人にも有名だと思います。インドネシア人は文化や伝統をよく守っています。

私はインドネシア人なのに、ロンボクへまだ行ったことがないです。私もロンボクの文化や伝統に触れながら、環境問題を考えたいです。去年、ロンボク島に地震がありました。被害者もたくさんいました。自宅や建物が倒れました。今、まだ完全に直っていません。子どもたちに衝撃を与えました。少しずつ衝撃を減らしたいです。ロンボクで機会があれば、防災訓練を行いたいです。インドネシアの学校では防災訓練がありません。とくに、田舎にある学校にはありません。防災訓練の知識がとても足りないです。社会人と一緒に環境問題に注意して、自然環境を守ります。大人だけではなくて、子どもも自然環境に大切します。

(ブウン・スジャティ村で。バリ音楽を体験後)

●ツアー後の感想

インドネシアは多文化がある国です。5つの本島と千ぐらいの小島があります。今回、ロンボク島にエコツアーで行きました。私はインドネシア人なのに、初めてロンボク島へ行きました。一週間ロンボク島へ行けて、嬉しかったです。ロンボク島の海の景色はインドネシア人だけじゃなくて、外国人にとっても有名です。一週間ぐらいロンボク島に行って、新しい経験をしました。ごみ銀行を見学したり、ランタン村の現地文化を学んだり、イスラム教徒とヒンズー教徒が一緒に暮らしているブウンスジャティ村ではガムランをしたり、スンギギでは小学校を見学したり、被災者から地震について聞いたりしました。

私にとってロンボク島で最も印象に残っているのはごみ問題です。インドネシアではごみの分別をしっかりやりません。道端にもごみがバラバラです。この問題は私が子どもの頃からずっと解決してないです。ロンボク島のマタラムにはごみ銀行があります。それはごみの問題を解決するために、つくられました。燃えないごみのプラスチックから手作りのものを作ります。手作りの財布やマットになります。燃えないごみ以外にも、液体コンポストが作られていました。その時、地元でも取り入れたい気持ちが出てきました。ごみ銀行にはメリットがたくさんあります。ごみの問題を少しずつ減らして、地域社会に収入を増やし、創造性を高めます。

さらに、上に書いたとおり、インドネシアは多文化な国です。ロンボク島でも新しい文化に出会いました。たとえば、ニョンコラン(Nyongkolan)、島独特の食べ物、伝統的なゲームです。私の地元ではバナナの木は食べません。しかし、ロンボク島の人はよく食べます。初めて食べてみたら、美味しかったです。

ロンボク島にはリンジャニ山があり、滝もあります。滝は観光地の一つです。村の滝は住民たちがこれまで、自然の美しさを守ってきました。観光地で注意したいポイントがあります。それは清潔な環境です。滝のまわりでは食べ物や飲み物が売られていました。しかし、ブウン・スジャティ村で滝を見たときは全然違いました。そこにはごみがあまりなかったです。ラーメンのカップもごみではなく、植木鉢になっていました。

(地震を体験した日本人の方のお話を聞きながらの意見交換の様子)

去年、ロンボク島で地震がありました。ツアーでは被災者と話したり、小学校を見学したりしました。学校へ行ったとき、悲しい気持ちになりました。地震で、いくつかの校舎が倒れました。生徒も先生もまだその衝撃が残っていて、怖いので、テントで学習していました。そうした中で、生徒たちはよく頑張っていたので、嬉しかったです。さらに、先生たちからカリキュラムについて聞きました。先生たちはカリキュラムを実施するのが大変だと話しました。なぜなら、先生たちは全部の授業を理解しなければいけないからです。先生たちだけじゃなく、生徒たちも大変だと感じました。毎週、試験があって大変なのに、みんな頑張っていました。トラウマ・ヒーリングのボランティアが子どもを助けていました。震災後、ロンボク島の状況は少しずつ良くなっています。ロンボク島で一週間ぐらいを過ごして、楽しかったです。またチャンスがあれば、是非行きたいです。

(マタラム市で宿泊した、Komang INNで)

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ロンボク島で感じたこと学んだこと(2月のツアー参加者の感想)

2019年04月05日 | 6. エコツアー参加者の声

私が、今回ゆいツール開発工房さんによって企画されたツアーに参加した目的は、よりローカルな生活を体験し、より近い視点から環境について学びを深めたいということでした。

これまで旅行で訪れた東南アジアの都市は、すべて観光地化されていて現地では旅行客に会うことが多かったです。私は、観光より現地で生活をしている人々とできるだけ同じように生活したいと思っていたため、このツアーでその願いを叶えることができました。

このツアーの中で、主にゴミ問題に対する普通のインドネシア人の取り組み、村で生活することの豊かさと都市で生活する私たちの豊かさの定義の違い、また村の人々が日々の生活の中でいかに幸せを探求しているのかなど、多くのことを学びました。

とくにゴミ問題について学んだのは、次のようなことでした。

村では基本的に、ご飯を作るときも遊ぶときも近所にある自然由来のものを使用していてとてもエコな生活をしていました。しかし、道端にある小さなお店で販売されているお菓子や飲み物は基本的にすべてプラスチックで梱包されています。この梱包の仕方も日本のようにジップ付きの大きな袋ではなく、一回分の使用量を小分けにしていました。これらのプラスチックゴミを処理する行政のシステムが村まで浸透していません。その結果、ゴミを道端に捨てる、燃やす、川に流すというのが実態でした。

 

行政が制度を整えるのを待つのではなく、自発的にゴミ銀行(インドネシア独自のごみ回収、リサイクルシステム)を通じて現状を変えようと取り組む人々の姿がとても印象的なツアーでした。

ビナ・ブダヤごみ銀行のパイズルさんたちと。

ドラゴンフルーツ畑の展望デッキにて。

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三度目のロンボク島で「自分自身から他者へ目を向ける」~学生さんの感想~

2019年03月26日 | 6. エコツアー参加者の声

(ランタン村で。筆者中央)

「自分自身から他者へ目を向ける」が今回の私のテーマでした。

【今回私がツアーに参加した経緯】(私は今回、2月下旬から14日間ロンボク島に滞在しました)

私は4年間の大学生活を自分の可能性を発掘することに力を入れすぎたため、活動の中で様々な人と出会えていたのにも関わらず、その人たちへの理解がうわべだけになっていたことに気付きました。それは、2016年12月と2017年12月に参加したロンボク島エコツアーの時も同じでした。

「見ず知らずの外国人を受け入れる力のあるインドネシアの人」

「村全体が家族のように強いつながりのあるインドネシア」

というところだけを見て、それがすべてだと考えていました。

彼らの寛容さや陽気さ、まじめさ、貪欲に前に進もうとする努力がどこから生まれてくるものなのかをしっかり見つめ直し、もっと彼らのことを知りたいと思い、今回は「他者へ目を向ける」ということをテーマとし、異文化交流を通して以下の3つを彼らから学ぼうと思いました。

Ⅰ「彼らの気持ちや考えを心で理解する」

Ⅱ「彼らの生きる知恵を学ばせていただく」

Ⅲ「インドネシア独自の家族やコミュニティのスタイルを学ばせていただく」

【今回のツアーを振り返って】

Ⅰ:「あなたが楽しくて嬉しいのなら私も楽しいし嬉しい」これは、よく彼らが私に言ってくれていた言葉です。どんな場面でも、現状を受け入れ、他者を助ける、みんなで分け合う、という教えが彼らの中には常にあるように感じました。また、「自分がやりたかったことは形を変えたけどそれでも十分幸せだし、ここにいることこそが幸せなんだ」と語る彼らが持つ教えは、彼らが生きる全ての瞬間にあり、それがあることで、彼らは寛容になれるのかなと思いました。

Ⅱ: 彼らは自然と共に生きることで、生きる知恵を獲得していました。彼らは、自分の力で何でも作ってしまいます。特に食事と遊びと家づくりには彼らの生きる知恵が詰まっていたように感じます。まず、食事では、周辺の自然に生えている草や果物などの中から食べられるものを見つけ出し、料理に使います。魚を釣るのも自分で作った竿で器用に取って見せてくれます。高い位置になるフルーツは、木を登ってとり、一人でたくさん持ち運べるように、皮を紐代わりにして結んで運んでいました。次に遊びでは、周辺にある木や竹で濡らした紙を詰めて飛ばして遊ぶガンを作ったり、また、次の家づくりでは、砂に水を加えレンガのようなものを作り、自分たちで骨組みから仕上げまで行っていました。彼らがこのように生きる知恵を持つのは、「親や近所の大人に教えてもらったから」と語っていました。それはⅢのつながりの強さと深く関係していると感じました。

Ⅲ:家族や村全体のつながりの強さは計り知れないものでした。彼らの暮らしは、1世帯だけでの暮らしではなく、親戚も周辺に家を建て、家族みんなで協力し合って暮らしを送っていました。畑仕事や家事、家畜の世話、子どもたちの子守、そして村を訪問する外国人のお世話など全てを家族や周辺に住む人たちと協力して行ってくれていました。洋服やサンダル、食事など、1つの物を一人で使うではなく、他者と分け合うことができる人々、文化だったように感じます。また、たとえ知らない人でも誰かの友人や、家族であったりするため、すぐにつながるということに驚きました。

【彼らと共に生きるために】今後

私は彼らと以前より長く時間を共にしたことで、この先もずっと彼らと関わっていきたいと考えるようになりました。たった一瞬の出会いで私を180度変えてくれた彼らと一緒にやっていける活動を模索していこうと思います。そのためにも、4月からは社会に出て「他者へ目を向ける」ことを忘れずに、仕事をし経験値を積んでいきたいです。

そしていつか、また、彼らのそばで生きたいと思います。

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