YS Journal アメリカからの雑感

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Air France Flight 447

2011-05-29 12:39:38 | 雑記
せっかく久しぶりの力作だったのに、訂正を入れた時に、うっかり全部消してしまったようです。簡単にエッセンスだけを書き直しておきます。


1)私は、軽度の航空機事故ファンである。トラブった時の、巨大システムと人間の、極致での戦いに非常に興味がある。

2)今回のエールフランス447便墜落事故は、悪天候とは言え、巡航中に起きた珍しい事故であった。悪天候が原因という憶測が当初あったのだが、飛行させようと思う位の悪天候で、墜落という事態なので、漠然とした不安があった。

3)ブラックボックスの捜索を一旦は中止しているが、なぜか再開して、今年5月に、水深 3,900 メートルで発見にいたっている。墜落2年後にしては状態が良く、早速、解析結果が出ている。(調べ切れなかったが、ブラックボックスには、発見を容易にする為に放射性物質が仕込まれいると何かで読んだ事がある)コメントのやり取りにあるのだが、例えば、衛星携帯電話(Iridium)を使って、ブラックボックスに頼らずに、すべてのデータを保存するべきではないかと思う。今回の発見は奇跡である様に思える。

4)事故の概略。速度計 (Airspeed Probes)の不具合で、ストール(失速)の警戒音が鳴る。パイロットが自動操縦を解除して、機首を上げてエンジンを全開にして一時的に安定飛行となる。この後も機首を上げたままで、ストールを起こし、機首を上げたままで、急降下を始める。機種は上がったままの状態で、なぜかエンジンをアイドルに戻す。この後2人のパイロットがそれぞれにコントロールをしようとしている。高度 38,000 フィートから4分で、機首を上げた状態のまま、時速 123 マイル(約 197 キロ)で墜落。トラブル発生時には、機長が席を外しており、約2分後にコックピットに戻ってきている。

データ解析では、速度計以外は、機械、電気系とも正常に作動していた。

5)飛行技術の基本中の基本として、ストールすれば機首を下げて速度を上げ、揚力を稼ぎ、安定を取り戻す事があるが、なぜか、それが行われていない。

6)エアバスの設計思想は、安全をコンピューターに任すという思想がある。時にシステムが人間の操縦とケンカする前例がある。有名なのは、エールフランス296便事故



今回の事故も、トラブルを起こした飛行機を操縦しているというより、巨大なシステムと戦っている感じがある。

7)ボーイングは、自動操縦が解除になると、徹底して人間に任せる設計思想の様だ。

8)アメリカは、軽飛行機の免許が三千ドルくらいで取得出来、中古の軽飛行機が2万ドルくらいで買える。軽飛行機の最初の教習で、ストールの対処、つまり、失速したらまず機首を下げるという事を習う。Airmanship という言葉があるが、アメリカのパイロットは、飛行機が身近で、小さい時から親しんでいるので、操縦を体で覚えている様なイメージがある。例えば、日航機123便の事故と同じ様な全油圧コントロールが無くなった事故があったが、パイロットはエンジンのスロットルだけで、操縦を行い、胴体着陸をさせたりしている。

設計思想の違いにも、アメリカの設計者自体が、操縦を意識しているマッチョな感じがある。

9)エアバスとボーイングの乗り心地も、エアバスの方が快適であるが、いかにもコンピューターで管理している感じが強い。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
失速 (snowbees)
2011-05-30 10:16:21
1)失速=ストール:

http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?%BC%BA%C2%AE

2)YSさんの記事のうち、「機種」でなく「機首」が正しい。
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Unknown (ysJournal)
2011-05-30 11:06:26
snowbees さん
ストールの解説リンクありがとうございました。

機種の件は、訂正致しました。お恥ずかしい。
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削除 (ChicagoKoi)
2011-05-30 22:30:22
ありゃま。
航空機の事故に関してや柳田邦夫をよくよんでます。YSさんの上げていた作家名あとで見ようと思ってましたが、消滅してましたけど名前教えてください。

Black Boxでないもっと確実なところに記録を出来るようになれば航空界にとって大きな進歩だと思います。

大韓航空がソ連に撃墜されたときのBlack Boxは結局出てこなかったですがからね。

しかし、以前相当の高度から落下して結局墜落をからくも逃れた事故未遂がありましたが、40分位のEndless Tapeの記録を消すために無事着陸後も
40分間位 Cockpitを開けないで出てこなかったCrew もいました。Pilotにとって操作の記録全てを公開されることは好ましくないのかも。
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加藤寛一郎 (ysJournal)
2011-05-30 22:58:36
ChicagoKoi さん

加藤寛一郎です。「墜落」がシリーズで、現在進行形だと思います。

柳田邦夫の「零戦燃ゆ」は、普及の名作だと思います。スリーマイルとか日航機事故とか、少し読んでいる様な気もしますが、確か、息子さんの自殺(?)などがあり、その後、そっち方面に力が入っている様で、何と無く敬遠してました。
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ブラックボックスの耐久性について (snowbees)
2011-05-31 06:59:09
現状と将来について、下記の記事が詳しい:

http://wiredvision.jp/news/200903/2009031022.html
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Unknown (ysJournal)
2011-05-31 09:43:40
snowbees 様
いつも、いろいろ情報ありがとうございます。

もし、ブラックボックスに放射性物質が積み込まれていないとすると、墜落から2年も経って発見されたのは、奇跡の様な気がします。

既に、飛行機から地上へのデータを送って記録している様なので、Iridium は必要なさそうですね。
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