YS Journal アメリカからの雑感

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America today is governed by a ghost

2010-09-28 17:14:33 | アメリカ政治
余りにオバマの言う事、やる事が奇妙なので、いろんな視点からの分析が行われている。「何を信じているか(宗教)」という切り口もその現れであろう。

「どう考えているか?」という切り口もある。宗教とも密接に関係あるのだが、どのような生い立ちで、誰の影響を強く受けたかを分析する試みである。雑誌 Forbes の最新号で、保守系のライターである Dinesh D'Souza"How Obama Thinks" という記事を書いている。

今回のエントリーのタイトルである "America today is governed by a ghost" は彼の結論である。この記事は、今週出版される彼の新刊 "The Roots of Obama's Rage" の宣伝を兼ねた露払い的な役目をになっているのだが、この記事にエッセンスが詰まっている感じなので本はわざわざ読まなくても良いだろう。(この本も陰険な目つきをしたオバマが表紙になっているし、ちょっと食傷気味)

では、Ghost とは、誰ぞやという事になるのだが、ずばりオバマの父親(生みの親)、Barack Hussein Obama Sr. の事である。1995年の出版されたオバマの自叙伝的な本のタイトル "Dreams from My Father" からして、父親から大きな影響がある事が理解出来る。文字通り受け止めると、オバマの理想は、父親がみた夢という事になる。(但し、父親の生き方を前面に出しており、下の政治的な信念については、論文の紹介等もせずにあやふやにしてある)

オバマの父親は、アフリカからアメリカ留学した最初の世代である。ケニアは独立直前であり、考え方の根本は、ヨーロッパ列国(ケニアはイギリスの植民地)による植民地主義からの開放である。。留学後、独立したケニア政府のエコノミストになって、アフリカでの社会主義の問題について論文を出したりしている。つまり、アフリカにおける植民地主義からの脱却とより良い社会主義国家の確立が、オバマの父親の理想であったと考えられる。

しかし、父親はケニアの政権闘争に巻き込まれて失職し、アルコール中毒になり、飲酒運転の自爆事故で46歳で亡くなっている。

興味深いのは、父親とはたった2回しか会っていない事である。オバマが生まれる前に両親は既に離婚しているし、物心ついた頃には、母親がインドネシア人と再婚している。また、ハワイで生まれて、7-12歳まではインドネシアで暮らしたりして、オバマはカリフォルニアの大学入学する17歳まで、アメリカ本土でくらいたことが無い。

本人も認める通り、若いころは自分のアイデンティティーに悩んでおり、自分探しをしているうちに、ほとんど面識のない父親を自分のヒーローとして作り上げたのではないかと想像出来る。父親はヨーロッパ、特にイギリスの植民地主義へ強い反発があったが、オバマにとってはアメリカ帝国がそれに取って代わり、アメリカでの黒人という事情が重なり、人種、階級闘争の要素が加わったと考えられる。

Dinesh D'Souzaは、オバマと同年代のインド生まれなので、オバマが感じたであろう反植民主義の感情をキチンと理解出来ると述べている。

そう考えると、例えば、オバマがエネルギー政策で、グリーンエネルギーを推進する為に、アメリカは世界の2%のエネルギー資源しかもっていないのに、20%のエネルギーを消費している事をしきりに強調するのは、他国から搾取しているという考えが根底にあると考えると納得がいく。

問題は、植民地主義は既に終焉しており、特にアジア諸国は、アメリカのライバルとして力を受けてきているのに、オバマ大統領だけが、父親の亡霊を背負い、懸命にアメリカの活力を奪う様な政策を次々と打ち出しているとしている事である。その上、キリスト教の皮を被った黒人のための社会主義 (Black Liberation Theology) の影響も強く受けているので、質が悪い。

オバマは、優秀である事が前提ではあるが、いつも集団の中で特殊(アイデンティティーで悩む事の表側(裏側?)として)である事を売り物にして成功してきている。そして、オバマの特殊性の源泉は、父親にある。オバマが父親の亡霊に取り憑かれていなくても、オバマの父親抜きにしてオバマを語れない事に異論は無いであろう。

オバマは、何もかもが典型的な政治家と違ったので、クールであったので、これを最大限に活かして大統領にまでなったのだが、大統領という職務はオバマの本質を曝け出す事になり、選挙キャンペーンの時と同じ様にクールを醸し出す演出は、鼻につくだけとなった。

あと一ヶ月後に迫った中間選挙で民主党が大敗しても、残りの2年で経済が回復してくればオバマの再選の可能性が高いと言う予測もあるが、アメリカ国民はこんな大統領を再び選ぶ事は無いと思う。この記事を鵜呑みにする訳ではないが、オバマの奇妙な発言の根拠としては、腑に落ちる内容ではある。私が2008年の時に感じ始めたオバマに対するザラついた違和感を、アメリカ国民も覚え始めているのだと思う。


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