YS Journal アメリカからの雑感

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未だに今年度予算をグダグダやっているアメリカ

2011-03-31 08:44:26 | アメリカ政治
もう何回も、去年の9月から今年度(2010年10月ー2011年9月)の予算が成立しておらず、2週間と3週間の短期暫定予算を2回成立させて、騙し騙し連邦政府が何とか回っている。(今年度に入る前に民主党は、今年3月までの6ヶ月の暫定予算を成立させていた)

今の暫定予算も来週4月8日に切れるので、何らかの予算が成立しなければ、連邦政府はシャットダウンする事になる。

共和党は、成立した2回の短期暫定予算で、既に $10B(約8000億円)を削減しており、今年度の予算で、2010年中間選挙の公約である一年で$100B(約8兆円)の歳出削減を上回りそうなペースである。(7ヶ月で $61(約4兆8000億円))

共和党としても、2、3週間毎の細切れ暫定予算を今年9月まで繰り返す気は無い様なのだが、未だに上院で過半数を占めている民主党が全く協力を拒んでいる。(これも、もう何回も書いているが)民主党は、1995年クリントン政権のときに、下院で過半数を占めていた共和党が歳出削減の予算に固執し結果的に連邦政府がシャットダウンし、棚ぼたでクリントン政権と民主党にその後の選挙で有利に働いた事があり、シャットダウンを厭わない雰囲気がある。(共和党にも恐怖感がある様に見える)

一方で、共和党も歳出削減で方向性は一致しているものの一枚岩ではない。保守派は、特に、ObamaCare の準備予算 $105B(約8兆4000億円)が今年度予算に巧みに仕込まれている(これは ObamaCare とのコンビネーション)事を問題にしており、もし、共和党が下院で割れれば、民主党に付け入る隙を与える事になる。

4月8日以降の今年度の予算がどのようなものか、未だにハッキリしない異常な事態であるが、来年度の予算の審議も始まろうとしている。オバマ政権は、財務長官がこのままでは "Unsustainable" と思わず言ってしまった冗談の様な来年度の予算教書を提出しているが、共和党は4月に独自の予算案を提出する予定である。

単純な歳出削減だけでなく、Social Security(年金)、Medicade(低額所得者のための国民医療制度)等の社会保障にまで踏み込んだ本格的な財政再建案を盛り込まれている予測である。

今年度、来年度の予算を審議している間に、もう1つ財政上の問題を解決しなければならない。5月もしくは6月に国債の発行残高が、上限である $14.29T (約1143兆円)に達する。これを引き上げるには議会の承認が必要なのである。

保守派からは手緩いと言う批判はあるものの、共和党は昨年の公約を守り、真剣に財政再建に取り組もうとしている。それに比べて民主党は、未だに財政危機という認識も薄く、全てを政治問題として処理しようとしている。共和党が削減案を出す度に、民主党は何の対抗案も無く(未だに財政は健全とか言っている議員もいるくらいだし)シャットダウンを持ち出して、国民の不安を煽るくらいしか出来ない。(シャットダウンといっても、国防省などの需要度の高い機関はしない)

さて、民主党のリーダー(大統領として国のリーダーという事になっているが)のオバマは、予算、財政についてこのところさっぱり音無である。でも、演説好きなので沈黙しているわけではなく、リビアの件では、今週、全ての批判に答えられる様な全方位外交的な演説を30分も行い、今日も外国の石油に頼らない政策(ついでに原発の選択肢も捨てないと言っていた)についてスピーチを行っている。

尚、現時点でオバマ最大の関心事であるであると考えられる Final Four (ベスト4)が出揃った NCAA男子バスケットボールトーナメントについては、自分の言葉でキッチリ解説していた。