ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

ホーキング博士に導かれる小さな旅

2018年03月23日 | 日記

 3月14日、理論物理学者 ホーキング博士が亡くなられた。車いすに乗った学者として誰でも知っているだろう。その業績から、アインシュタイン以来のすぐれた学者とも称される。

 このニュースを聞いて、門外漢の僕でも感じるところがあった。それで、自分の書棚を眺めていると、氏の本があった。ペーパーバックで200ページの、A BRIEF HISTORY OF TIME(時間の小さな物語)。初版がでた1989年に購入したもの。おそらく当時、世界的ベストセラーとなり、つられて入手したものだろう。ところが、しばらく読んで行き詰まり止めてしまっていた。

 今、改めて読みなおし始めたが引き込まれる。前にも書きましたが、最近、高校生向けの「物理」の参考書を読んでいたので準備はできていたようだ。

 ホーキンス博士は、最初の部分でこう書いている「今日、我々は、何故、ここにいるのか、どこから来たのか、を知りたいと願っている。人間の知識へのあくなき欲望は問い続けることで正しいものとなる。そして最終のゴールは、我々のいる宇宙がどんなのものなのか描くことである。」・・・もっともなことだと思う。おそらく誰でもそう思うだろう。

 現実の世界から、眼を星空に向けると、この自分の住むこの世界がなんと小さなものかと感じるものだ。悲しい時、辛い時に、星空を眺め癒すこともある。宇宙にはロマンがある。

 さてこうして、A BRIEF HISTORY OF TIME を通し、宇宙への小さな旅に出ることにした。おそらく、その内容には、断片的に知っていることがあるかもしれない。しかし、体系的に、ホーキング博士自身の言葉、英語で直に語られると旅の楽しみは格別になるだろう。

 ところで、上記の書籍は、日本語訳が出ていて、「ホーキング 宇宙を語る」というタイトルになっている。

   絵は、ペーパーバック版の表紙の概略。

         2018年3月23日  岩下賢治

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電気は安価が最優先

2018年03月21日 | 日記

モクレン

 私が営業している小さな店舗にとっては、経費における電気代の占める割合が他の経費よりかなり大きい。その電気代が、この数年、大きく膨らんでいる。津波の被害にあった福島原発の影響が直接響いているのである。事故前は月に2万2〜3千だったものが、ここ2〜3年は3万円を少し下回るほどに高騰している。およそ3割の値上がりである。
 これが標準的な上昇率だとすると、電気を大量に使う製造業や先端研究機関などは、悲鳴をあげているに違いない。現に山中伸弥博士は京都大学IPS細胞研究所の電気代が高いことを嘆いておられた。
 電気代が高くなったのは、原発事故の後始末や賠償金などがかさむこと、それに原発の稼働が抑止されていて、燃料である液化ガスの代金が膨らんでいるからである。東京電力ではさまざまな資産を売却し運用を計っているらしく、私の住んでいるところにあった東電病院は跡形もない。そんなにしても電気代の値上がりは防げないのである。
 電気は安価で大量に供給されるのが現代社会のベストな方向である。豊富な電気なしには新たな発明や発見、技術革新はありえないからだ。そのためには、燃料依存度の低い原発の稼働、再開発が不可欠だと思う。
 原発に過度の危険性を見る人たちは、古川和男「原発安全革命 」文春新書を読むといい。またその福島原発の放射能被害に対する科学的な報告書を見るのがいい。早野龍吾博士の著書やツイッターでの報告を読めば一目瞭然だ。さらに経済性に疑問を持つ人は、池田信夫氏のブログを薦めたい。
 現在の科学技術では、エネルギーを有効利用するためには、それを電力に変換させることが最適となっている。だから未来を開拓するには、電力を存分にしかも無償で使えるようになることがもっとも良いのである。原発に頼らなくとも電力は足りているなどという見解があるが、そのためにはアラブから大量の化石燃料を輸入しているのだ。巨大なタンカーがシンガポール海峡を越えて運行しているのである。そんな危険(気候やテロや国家の意向)を背負っての電力であることを銘記すべきである。【彬】

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政治はスキャンダルで動く

2018年03月17日 | 日記

                              近所のユキヤナギ

 森友学園の国有地払い下げ問題が尾を引いて、ここ1~2年、マスコミは政局がらみで大騒ぎである。私たち国民(?)からはもういい加減終止符を打ってくれと思うのだが、結局は安倍総理の辞任にまでもつれていくのかもしれない。古くはイギリスのトーリー党とホイッグ党のスキャンダル合戦、また記憶の新しいところではニクソン大統領のウォータゲート事件、また韓国のパククネ前大統領の失脚と、政治は政策の良し悪しからではなく、場違いのスキャンダルで動く場合が多い。

 こうした動きを後ろから支えているのが、ジャーナリズム、マスコミである。イギリスの場合は活版印刷の技術が一般化した時代の政治パンフレットの氾濫が火付け役。アメリカの場合も政治情報の収集管理の問題が発端だった。現在の日本の問題は、マスコミだけでなくパソコンの文書作成機能や発達したSNSが大きく関与しているように見える。民主主義は第四階級であるマスコミニュケーションの権力やコピー機能に左右されているかのようだ。

 スキャンダルは政治が安定した時代に発生する。大不況とか戦争勃発かとか、政治状況が緊迫した中では起こりようがない。だから現在のモリトモがらみも、自民党・安倍政権の安定した中でのことだと見た方がよい。野党の議員たちのいきりたった表情や、新聞論調の正義を振りかざした言い回しも、私にはファルスにしかみえないのだ。【彬】

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3月11日の梅

2018年03月12日 | 日記

 春の花と言えば、梅と桜。どちらも好きだが、日本的情緒のある梅の方に、なぜか魅かれる。小金井公園の梅祭りに絡め、花見に行こう行こうと思いつつ行けないでいた。

 それでも、3月11日の日曜日の午後、出かけることができた。

 小金井公園は桜で有名である。園内に桜の広い敷地が広がる。梅林は、その横に設けられている。28種、100本ほどである。この日は、満開を過ぎた時期だが、日差し温かく、多くの客が来園している。桜と違うのは、木の下での宴会がないことだ。静かに、清楚な姿と香りを楽しんでいる。

 僕は、東屋のベンチに腰掛け花見。温かくうとうと眠りを誘う。・・・この2~3月は忙しかったが、こうして今年も、梅を楽しむことが出来た。季節ごとの楽しみを普通に楽しむことは幸せなことだな、と思う。

  7年前の3月11日。僕は、大震災を、茨城県の勤務先で体験した。震度6度強でかなりの被害を受けた。翌日、休業となり、住まいのある常陸大宮市の街の様子を歩いて見て回った。倒壊した家は少ないが、塀は倒れ、瓦が飛ばされている。人の営みが停止している。

 辛さで胸が押しつぶされそうになる。そんななか、偶然梅林に入る。梅の花は満開である。暗闇を抜け、花園にたどり着いた気持ちになった。持っていたスケッチブックを取り出し、梅の枝木を描く。そして、その時の気持ちを次のように書き添えた。

 「大震災の翌日。大宮の街を歩く。商店は全てシャッターを下ろし、人間の活動はとまっていた。その中で、梅の花はいつものように何事もなかったようにそこにある。つらい時、優しい友に会ったかの思いで描いた。」

 この時、以前、そして、それ以降も、僕にとって、梅の花は特別な春の花なのである。

    絵は小金井公園の梅林。

       2018年3月12日  岩下賢治

 

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人間を初期化するということ

2018年03月07日 | 日記

 ボランティア先の花もも

 羽生善治棋士と山中伸弥博士の対談「人間の未来 AIの未来」講談社、2018/2/13発行が興味深く、大いに蒙を開かれたので紹介します。
 羽生善治さんは先般永世7冠を獲得し囲碁の井山さんと共に国民栄誉賞を授与された将棋の達人だ。囲碁、将棋は近年コンピュータの開発が進んで、人間の力量を凌駕するに至っている。羽生さんはそんなAIの進展の渦中の中にあって、AIの仕組みなどに積極的に関わり、業界の最先端の人たちへの取材を試み知見を広めている。将棋だけでなく社会の最先端の分野に理解を深めている才人だ。そんな知見の広い人が、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中さんに研究方法について質問する。また逆に山中さんから羽生さんに将棋の思考過程や判断の仕方などが質問される。
 どのページからも頷ける応答を読めるのだが、その中で私が特に印象に残ったのが人間の初期化ということ。
 山中博士が発見したのはIPS細胞。誰でも知っているが、その中身は新聞などの解説記事からだけでは何が何やらわからない。それを羽生さんはすぐに察して、「人間の初期化ですよね」と応じる。 
 私、ええーっと、と思う。しかし山中博士の説明を聞くうちに、それが何という明快な理解なのか!
 山中さん達の成果は、ES細胞の機能をIPS細胞で実現したということ。といっても良く解らないが、ES細胞というのは受精卵のこと。同じ受精卵なら、まったく同じものを再生できる。具体的にいうと、羊のドリーというのが生まれたが、これは同じ細胞によって全く同じ動物を再生したということ、つまりコビーである。すべての動物は単一の受精卵に保存されたDNPによって、臓器や皮膚などすべてのものが増殖されるということを証明したものである。この実験は、倫理的に問題があるとされ、現在では医学界で抑制されている。
 IPS細胞は、これに対し、皮膚の細胞からES細胞と同じ再生細胞を作ることができることを証明したものである。たとえば心臓の病を持った人の皮膚細胞から心臓を再生する機能をもった細胞を作り、これを心臓に移植することによって心臓を回復し疾患を修復するということ。つまり受精卵経由でないことが宇宙的ビッグな発見なのである。羽生さんはこれを人間の初期化だと、言ったのです。
 皮膚や臓器、骨格、これらは単一の受精卵から分裂して展開していったもの。だから皮膚や臓器の細胞の発展過程を逆戻りさせ、元に戻せすことができないのか。つまりコンピュータ用語でいう初期化が動物で可能なのではないか、ということなのである。
 現代の最先端科学・技術は、ほとんどSF的な段階に到達している。そうした状況を私たちは全く想像だにできずにいるのだが、誰かしらそうした状況の案内者・コミュニケーターがいることが切実のように思える。この本では羽生さんがその役割を見事に果たしているようにおもえる。【彬】

 

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