陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

芸術と映画

2009-11-28 | 映画──社会派・青春・恋愛
十一月もあと三日。今年の秋もそろそろお別れですね。
秋といえば文化の秋・芸術の秋。
今年の秋は(というかここ二、三年は)あまり美術展にもでかけられませんでした。そのぶん、映画を観る時間が多くなっています。

ほんとうは文化の日に掲載したかったのですが、遅ればせながら、芸術をあつかった映画の特集を組んでみます。

「ザ・マジックアワー」
三谷幸喜監督作品。人気が下火の俳優が、口のうまいプロデューサーの企みに乗せられて、町のギャングに一泡吹かせるという喜劇。
西田敏行が凄みのある親分を演じていますが、最後はやっぱり憎めないおやっさんに(笑)

「序の舞」
明治時代、絵画で身を立てようとする女流画家の奔放な人生。それを陰で支える母親の苦労も偲ばれます。タイトルは、モデルとなった上松松園の代表作より。

「独立少年合唱団」
吃音症の少年が、美しいボーソプラノの持ち主の美少年と巡り会い、合唱に生きがいを見出していく青春ドラマ。学生運動さかんな六〇年代の不安な社会情勢をも反映しています。

「バルトの楽園」
ベートベンの「第九」初演の地での逸話をもとにした感動作。第一次世界大戦末期、ドイツ軍捕虜たちと日本の収容所所長との交流を描いています。

「愛と哀しみのボレロ」
第二次世界大戦でひきはなされた、アメリカ・ロシア・フランス・ドイツの家族がたどる哀しくも数奇な運命。数十人の舞踊家をしたがえて展開される、ラストの「ボレロ」演奏のシーンは圧巻としかいいようがありません。

「アマデウス」
夭折の天才音楽家モーツァルトの半生を、ライバルの音楽家の視点から描く。
ロココ時代の豪華絢爛な衣装や舞台に目を奪われますね。にしても、モーツァルトの妻が三代悪妻のひとりとされているなんて知りませんでした。映画だと、金遣いの荒い夫に苦労する若妻という印象です。

「永遠のマリア・カラス」
奇跡のオペラ歌手マリア・カラスの晩年に近い生涯に迫った一作。大富豪や大統領との華やかな恋路の影で、声の衰えに苦しんだ歌姫の懊悩が描かれています。

「おしゃれ泥棒」
オードリー・ヘプバーン主演のラブコメ。父親の窮地を救うべく、家宝の名品を美術館から盗もうとするご令嬢。彼女に手を貸した泥棒が最後に盗んだもののほうが、ガードが固くてたいへんだったでしょ?

「カラヴァッジオ」
バロック時代のスキャンダラスな人生を送った画家カラヴァッジオをモデルとした芸術映画。作中の絵画さながらに、登場人物にポーズを組ませているあたりはみごと。

「サルサ!」
クラシックの世界で将来を嘱望されていたのに、メキシコ流ルンバに取り憑かれたフランス人青年。肌の色も素性もいつわって、ルンバの聖地にとびこみ、ルンバの名手である娘に出逢って。世代を超えたラブロマンス。

「戦場のピアニスト」
ユダヤ人迫害の進む一九三〇年代のポーランドで生まれた実話。強制収容所送りを免れて戦火を生き延びたピアニストが、ドイツ人大尉に救われるヒューマンドラマ。あのピアノ曲が有名になりましたね。

「ダ・ヴィンチ・コード」
今年、「天使と悪魔」が劇場公開されたダン・ブラウンのベストセラー小説の映画化第一弾。ルーブル美術館でおきた不可解な殺人事件の容疑をかけられた大学教授が、真犯人を追う壮大なミステリー。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
視力障害がありながらも、女手一つで息子を育てる母親の楽しみは、劇団でのダンス発表会。しかし、息子を思う気持ちを逆利用した周囲の人々によって、不幸な運命に傾いていく。ラストは涙なしには観られない。

「野ばら」
スイスの美しい高峰を背景に、少年たちの美しい歌声がひびく。養父の好意で、ウィーン少年合唱団に入団した純粋な少年を主人公にした学園ドラマ。

「フリーダ」
二〇世紀を代表する女流画家と謳われるフリーダ・カーロの情熱的な生涯。ディエゴ・リベラと紡いだ愛とその破綻、ロシアから亡命したトロツキーとの不倫などスキャンダラスな人生はけっして賞賛するべきものではないのですが、障害を抱えながら筆をとりづけた強さには惹かれますね。

「ホワイトナイツ 白夜」
ソ連に亡命したアメリカ人バレエダンサーと、彼の監視を命じられた黒人タップダンサーとの交流を描いたヒューマンドラマ。趣きの違う舞い手であるふたりが、共演してダンスを繰り広げるシーンは見応えじゅうぶん。

「ミュージック・オブ・ハート」
演技派女優メリル・ストリープ主演。スラム街の貧困層の子どもたちにバイオリンを教えることで、更生に協力した実在の女性音楽教師の話。シングルマザーが多い合衆国の家庭事情も加味されています。

「モディリアーニ─真実の愛─」
二十世紀初頭のボヘミアン芸術家アメデオ・モディリアーニの人生を、妻の献身的な愛、ピカソとの対決を軸に浮き彫りにしています。

「善き人のためのソナタ」
ベルリンの壁崩壊のわずか数年まえ、東ドイツは息詰まるような監視社会でした。秘密警察の大尉が監視していたのは、演出家と舞台女優の暮らし。やがて大尉は彼らの自由な気風や芸術的談義に惹かれていきますが、彼の好意が悲劇を招くことに…。


芸術家が出てくる映画は好きなので好んで観ています。書き溜めたレヴューはそのうち、ぼちぼちと掲載予定。
これはというおススメ作品がありましたらご教示願います。



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