陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「序の舞」

2009-05-29 | 映画──社会派・青春・恋愛


上村松園の絵はあまり見たことがなく、とくに心に残るほど惹かれるというわけでもない。名前だけ知っていた、そんな日本画家。
この閨秀画家の半生をモデルにした、宮尾登美子原作の小説を映画化したものが、84年の映画「序の舞」。
モデルとあって実話じゃないのだろうけれども、ときおり挿入される画家の実作の映像がリアリティを醸し出している。

物語はある意味、二世代ヒロイン制で、画家の母親勢以の少女時代からはじまる。
養父母にも夫にも死なれ、女手でひとつでふたりの娘を育てた母。彼女は娘たちに堅実な生き方を願ったが、次女の津也は絵の才能を発揮。しかも画塾の師・松溪と深い仲に。
母はそんな娘を責め、津也は師匠のもとを離れて自立しようともくろむが、他の男を頼る羽目に。
小学校の図画教師で欧州へ遊学したのち帰朝して名をあげた、西内大鳳(竹内栖鳳がモデルかと思われる)や、同門の画塾生だった徳二。しかし、彼女はふたたび師匠のもとへ。

この時代、女性が画家として身を立てるのはたいへんだったのだろうな、と思わされる一作。いや、今でもそうかもしれないけど。画壇のしがらみとか。


しかし、どんな境地にあろうと、片時も絵筆を離さなかった信念はすごい。
ほんとに不器用なほど絵のことしか考えていない。しかも、画家でござい、といったような不遜な自負心がみじんもないヒロインの生き方が気持ちいい。といっても、そんな自負心もあたためようがないほど、彼女を襲うのは苦難の連続なのだが。

そして、最後におとずれる母と娘の和解。娘がけっして世間に顔向けできない母親になったときの覚悟をみて、その母も腹をくくったところ。

母の日特集としてお勧めしたい映画かな。

母親役に岡田茉莉子、娘の女流画家には「櫂」でもおなじみの名取裕子。
図画教師役には風間杜夫。風間杜夫は、そのむかし、ドラマでよく見かけましたけど、いまはどうしてるんでしょうね。鶴見慎吾は大河ドラマ「天と地と」で光秀役をやっていたけど。そういえば、あれ山下真司も出ていて、スクールウォーズ師弟コンビでしたね。いっそ、松村雄基も出してくれたらよかったのにな(笑)


(〇九年一月三日 記)


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