陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「サルサ!」

2008-12-30 | 映画──社会派・青春・恋愛
年末年始にかかわらず、休日はわりといい映画を深夜にやっていることがおおくて嬉しい管理人です。
レンタルビデオ店にいっても、話題作は何本もならべてあるのに、貸出率がさがってすこし古くなった作品はすぐなくなっていますしね。

私が好んで観るのは、芸術家が登場するものです。なぜというに、よほどのことがないかぎり、人が死なないから。
二十九日の深夜にみた「サルサ!」もそんな名作でした。

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サルサというのは、キューバが発祥のラテン音楽、そしてそれにのっとったダンスの一種です。目のやり場に困るくらいのかなりのセクシーダンス。ルンバに近いですね。

主人公のルネは生粋のフランス人青年。将来を嘱望された期待のピアニストだったのですが、サルサへの情熱さめやらず。神聖な音楽院での演奏会でサルサを弾いて、みずからクラシックの道を断ち、友人でキューバ人のサルサの達人フェリペの手ほどきをうけます。
いまはしがない宿を経営しているキューバの国民的作曲家のところへ居候したルネは、サルサのダンス教室を開くことに。フェリペにくらべるとはるかに踊りのへたなルネですが、名を変え、肌の色を偽ってキューバ人になりきっています。
教室をおとずれた女性ナタリーに恋をするルネ。家庭の事情で賞金目当てにダンスコンテストに出場することになったふたりは相思相愛になるけれど、ルネは自分の正体を明かせない。

最後はお約束なハッピーエンドですが、ひたすら明るい南国の舞踊と音楽に魅せられ、そして驚きのストーリーにも引き寄せられてしまう名作。このふたりだけではない因縁の恋人も絡んでいく、感動のラヴストーリーです。ヒール役のナタリーの婚約者が、食いだおれ太郎人形を細くしたようなお坊ちゃまなのにも笑えます。

過去にレヴューした映画「ホワイトナイツ」もそうでしたが、人種の壁をこえた文化の交流、愛情のやりとりを描いた良作ですね。ルネの訛りがポイントになってくるので、吹き替え版でないのもよかった。フランス語で口説かれるとやっぱり色っぽく感じますね。ドイツ語は硬派すぎますし。

音楽ってやはり民族の気質がでるものなのでしょうかね。生まれながらにもっているリズム感が違うのかもしれない。日本人が英語独特のイントネーションを体得するのに苦労するのとおなじで。最終的にルネは黒人のふりをやめて、白人のピアニストとしてキューバに渡り認められています。彼にはサルサのステップを踏むことは無理でした、と。
また逆にいえば、黒人にクラシック音楽はむずかしいのかもしれない。経済的な理由や差別もあるのでしょうけれど。東洋人の指揮者や演奏家はN響でちょくちょく見かけますが、黒人がタクトを振っているのはみたことありません。ネットで調べると、わずかながらいらっしゃるようですが。

ちなみに、三十日深夜は待望の「愛と哀しみのボレロ」が放映とのこと。楽しみです。しかし、寝不足が…(苦笑)


サルサ!(1999) - goo 映画サルサ!(1999) - goo 映画

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