陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

芸術文化と映画 その2

2010-11-04 | 映画──社会派・青春・恋愛
芸術文化と映画特集の前半につづき、後半は読書・文芸・古代遺跡など、わりあい生活に密着した文化をあつかっています。


《読書の秋ならこの映画》

「耳をすませば」
柊あおいの同名漫画を原作にしたジプリアニメ。図書館通いの好きな女子中学生が、ひょんなことからバイオリン職人をめざす少年と出会う。続編の「猫の恩返し」のできばえがかなり微妙でした(苦笑)

「ユー・ガット・メール」
トム・ハンクス&メグ・ライアン共演。古い絵本屋を守る女性オーナーと、大資本のチェーン書店を拡大する御曹司。ネットで知り合ったふたりが、ほんとうの恋に落ちるまで。

「ノッティングヒルの恋人」
ジュリア・ロバーツ主演。人気女優としがない書店オーナーが恋におちるロマンチック・コメディ。いわゆる逆玉の輿。


《文学の秋ならこの映画》

「雨の朝パリに死す」
エリザベス・テイラー主演。作家志望の夫と奔放な妻。その出逢いと雨の日の切ない別れ。

「イル・ポスティーノ」
美しい海に囲まれたナポリの小島、亡命詩人と郵便配達夫とがはぐくんだ友情物語。主演俳優の遺作として知られています。

「シークレット・ウインドウ」
スティーブン・キング原作。千両役者ジョニー・デップの本領発揮。盗作疑惑で恐喝された人気作家をめぐるホラーサスペンス。

「セレブリティ」
しがない物書きをめざして人生をやり直したい中年男性の悲運を描く。ウディ・アレンお得意の華麗なるスターたちに浴びせるブラックユーモアが利いています。ディカプリオが客演。

「第三の男」
死んだはずの男が蘇る?! 三文作家が古都ウィーンで親友の死の真相に迫る傑作ミステリー。主演を食うオーラを放つ奇才オーソン・ウェルズに注目。フィルム・ノワールの傑作中の傑作。

「めぐりあう時間たち」
ヴァージニア・ウルフの著作を軸に絡み合う三人の女の人生。女性としての幸福とはなにかを追求した典型的な女性映画なのだけれど、男性にはやや不本意な筋書きかも。


《ダンスの秋ならこの映画》

「フラガール」
斜陽の炭坑街は常夏の島の夢をみるか? ハワイアンダンスに情熱をかける住民を描いた町おこしストーリー。実話がベースになっているのがミソ。多少の脚色はあるでしょうが、なかなか楽しめた一作です。

「俺たちフィギュアスケーター」
史上初男子ペアで金メダルを狙うスケーターたちの大奮闘をおもしろおかしく描いた笑劇のスポーツコメディ。下ネタが多いのですが、ところどころにパロディや政治諷刺が盛り込まれていて、かなり笑えます。

「ムトゥ 踊るマハラジャ」
幸せは象に乗ってやってくる?! 歌って楽しい、踊って愉快、大ヒットのインドミュージカル映画。筋書き自体はよくある話で、途中退屈な部分もありますが、楽しいミュージカルパートのおかげで二時間超の大作が長くは思えません。

「リトルダンサー」
イギリスの貧しい炭坑街からバレエダンサーをめざす少年の物語。炭坑街を舞台にした類作に接しているとやや感動がダウン。


《歴史の秋ならこの映画》

「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」
ご存じハリソン・フォード主演の大人気考古学アドベンチャーシリーズ最新作。なんと19年ぶりの続編! ジョーンズ博士が冷戦時代、古代ペルーの遺跡をめぐる伝説に挑む。

「トゥームレイダー」
「トゥームレイダー2」
アンジェリーナ・ジョリーが、強く、美しく、ダイナミックに世界を救います。古代遺品をめぐる大ヒット新感覚アドベンチャー。

「ナイト ミュージアム」
博物館に飾られた偉人たちの人生に励まされた男。夜のミュージムを舞台にした痛快コメディ。

「ナショナル・トレジャー」
ニコラス・ケイジ主演。アメリカ建国の謎にからむ秘宝を探す、アドベンチャー。歴史冒険ロマンの典型的なパターンを踏襲しているが、新しい点は自国の近代を対象にしているところか。

「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」
「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」
砂漠に眠る幻の都を舞台にした、凄腕の冒険家と美人考古学者との冒険活劇。中国を舞台にした第三作では、なんと息子も登場。


《サイエンスの秋ならこの映画》

「アポロ13」
トム・ハンクス主演の1970年の月探査船アポロ13号の故障事件に絡む史実にもとづいたサイエンス・ノンフィクション。宇宙飛行士たちとNASA職員による決死の救出作戦。

「インビジブル」
透明人間になる薬を開発した天才科学者がしだいに凶悪化し、最後に自滅するというストーリー。かのH. G. ウェルズの『透明人間』を下敷きにした構想でさして珍しくもないのですが、皮膚、筋肉、骨と透けていく過程のCGのつくりこみはさすが。

「コンタクト」
SETI(地球外知的生命体)との交信を夢見る女性天文学者が宇宙へ旅立つ。彼女が体験した奇跡は、科学によって実証されるのか。宇宙をテーマにしているが、実は孤独に苛まれる現代人の病巣に訴えかける社会派ドラマとしても見れる。

「遠い空の向こうに」
地に潜る生活よりも空に憧れた少年は、ロケット製作に挑戦しつづける。すべての夢みるチャレンジャーに観てほしい、珠玉の青春ドラマ。

「2001年宇宙の旅」
鬼才スタンリー・キューブリック監督の傑作SF映画。謎めいて難解なシーンが多いがゆえに、不思議な魅力をいまおもなお放ちつづける作品。リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』にのってはじまるあの冒頭シーンがあまりにも有名で、さかんにオマージュされています。


《食欲の秋ならこの映画》

「マーサの幸せレシピ」
料理は食文化、生活の基本です。仕事一筋の天才女性料理人が、姪をひきとり、陽気なイタリア人シェフに振り回されて。いわゆる疑似家族ものだが、料理のレシピのように扱えない子どもの心に辟易するマーサが、母親の愛情にめざめていくくだりはなかなか感慨深い。


《モードの秋ならこの映画》

「プラダを着た悪魔」
メリル・ストリープ&アン・ハサウェイ主演。一流モード誌のカリスマ編集長に雇われた新米アシスタントの奮闘を描くラブコメディ。

「ラストサムライ」
サムライって、一種の精神文化なのでしょうか。渡辺謙&トム・クルーズの二大共演。失われた侍魂を賭けて戦いをいどんだ男たちのドラマ。



そういえば、読書の秋といいながら、映画ばかり観ていてあまり本を読まなくなった管理人でした。
映画はなにがいいかといえば、作品の上映時間が限られているので、時間の目安が立てやすいから重宝しています。読書感想文が大の苦手だったので、本を読むことはあってもほとんどレヴューができません。ただし漫画はのぞく。


【その他の特選映画レヴュー一覧】

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 芸術文化と映画 その1 | TOP | 【登場人物紹介】マリア様が... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画──社会派・青春・恋愛