陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」

2010-10-26 | 映画──SF・アクション・戦争
2008年のアメリカ映画「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」(原題 : Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull)は、1981年からはじまるハリソン・フォード主演の大人気考古学アドベンチャーシリーズの第四作目。前作「最後の聖戦」からはなんと19年ぶりの新作。物語上も19年の月日が流れています。

ファンには嬉しい反面、過去のビッグタイトルに寄りかからざるを得ないハリウッドの事情が伺われもしますよね。
ちなみに、私はこのシリーズ、今回が初視聴でした。

インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション【2枚組】 [Blu-ray]インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション【2枚組】 [Blu-ray]ジョージ・ルーカス パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2008-11-07売り上げランキング : 1205おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools



レッドパージが吹き荒れる米国はネバダ州の1957年。
考古学者にして冒険家のインディアナ・ジョーンズ博士ことインディは、相棒のマックの裏切りによって、ソ連のスパルコ大佐が企てた米軍基地の秘密研究所のある遺物の強奪に加担させられそうになる。からくも難を逃れたインディだが、FBIからのスパイの嫌疑で圧力がかかり、教授職を解かれる。

その折しも、インディをマットという不良っぽい青年が訊ねる。
マットから旧友の考古学者オクスリー教授こと、オックスが行方不明になったと聞かされ、マットの母からのふしぎな暗号文書を解読したインディは、一路、南米ペルーと飛ぶが…。

80年代に端を発したこのシリーズ、当時の雰囲気をよく再現しています。(ただ吹き替えのことば遣いが、現代に近いのがやや残念)
しょっぱなからスパルコ大佐たちの狙うクリスタル・スカルとやらが、典型的なエイリアン(その昔、矢追なんとかいう人の特別番組でさかんに見かけた)とつながっていることがわかりますので、なんとなく先は見えてはいますが、インディたちにつぎつぎと襲いかかる困難がなかなかスペクタクルで、CGでつくった大げささがあまりなかったので、それなりに楽しめました。

アクションはスピード感がなく、空を裂く切れ味鋭い中国のワイヤーアクションや「マトリックス」の衝撃のように、感覚を揺すぶってくるような演出はないのですが、物語上1950年代という時代にあった動きだと思われます。ただ、ちょっと、これはありえないでしょ、とつっこみたくなるような動きもありますが、そこは家族向けアクションなのでご愛嬌でしょう。

「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」もそうでしたが、この四作目はジョーンズ一家の親子ドラマでもあります。

冒険好きが高ずるあまりに結婚式直前に花嫁から逃げるなんてひどい主人公!と思いますが、その相手もなかなかタフな女性だったようで。過去のシリーズを振り返ってみたくなりました。

核実験場で「あんなもの」に入って生き延びたり、溺れるものは藁もすがるというけれど、砂地獄から「あんなもの」に掴まって這い上がったりと、ものすごい生命力を発揮して困難を切り抜けるインディの運の強さ。その必死ぶりがかえって笑えてしまう。ふつうの銃撃戦のサスペンスアクションなら主人公はたいがいどこかで瀕死の重傷を負いそうなものなのですが。こういうコメディなハリソン・フォードは観たことがなかったので、新鮮味がありました。

そのジョーンズ博士が、展開が進むにつれて、子を想う父親のまなざしになってくるのが印象深いですね。

共演は、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(本シリーズの初作)のカレン・アラン、「トランスフォーマー」のシャイア・ラブーフ、「コンタクト」
のジョン・ハート。
スパルコ大佐を演じたのは、なんと「タイタニック」のケイト・ブランシェット。草薙素子みたいな大佐(笑)だったので気づきませんでした。
「最後の聖戦」に登場したショーン・コネリーが写真でカメオ出演しています。

監督がスティーヴン・スピルバーグだけに、ラストが「未知との遭遇」風でしたよね。

製作総指揮を「スターウォーズ」シリーズのジョージ・ルーカスがつとめ、音楽はジョン・ウィリアムズ。
この映画シリーズ、じつはあの高らかで勇気を鼓舞するようなBGMで勝っているような気もしますが…。
スピルバーグが過去最高の制作費をかけ、興行収入も莫大に得たというのに、第29回ラジー賞を受賞したという、なんともふしぎな作品ですね。

(2010年10月17日)

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 - goo 映画

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NHK杯2010 氷上のミュージカル | TOP | 映画「宮廷画家ゴヤは見た」 »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画──SF・アクション・戦争