~前回のつづき~
《どの社の教科書が、どの国を重視している(=頁使用量が多い)のか》については、評価無しで伝えることができるので、このシリーズの使命は果たせる。
が、せっかくだから、もう少し具体的に考えてみる。
■「近・現代史」のなかで、近隣諸国をどの程度描くべきか
明治維新(1868)から大東亜戦争終戦(1945)までの77年の間で、我が国と歴史的関係の深かったアジア・西太平洋の国々を、距離が近い順に挙げると、
① 昭和20(1945)年の終戦時まで数十年間「日本」であった朝鮮半島(李氏朝鮮を併合1910-)と、台湾(清から割譲1895-)。
② 「満州事変」や「支那事変」をへて我が国と長く戦争状態だった中国亜大陸 (清国→中華民国/1949から中華人民共和国)。
③ 我が国と東アジアへの影響力を競い、戦ったロシア(※1922-1991年は「ソビエト社会主義共和国連邦=ソ連」)。
④ 欧米列国の植民地であり、大東亜戦争で日本軍が侵攻し、戦中と戦後すぐの一時期にさまざまな形でその独立を支援した、東南アジアからインドまでの多くの国々。
⑤ 第1次世界大戦後、我が国が「委任統治」していた南洋諸島 など。
◆ Ⅰの観点(客観的なかかわり度)でみると、おおむね上記の距離順とちがわないようだ。
◆ Ⅱの観点(重要度)で、我が国の近い将来(10年ほど)、その国との関係による影響がどんなものになるだろうか、と考えると・・・
(※当然、考える人によりちがってくる。なお、期間を長くとるとまったく予測できない! ただし、距離の要素は、しだいに薄まることはあるだろうが、日本が存続する間はなくならない。)
A 好ましい影響があるだろうと思える国・・・④ > ⑤ > (ロシア)
B 好ましくない影響があるだろうと思える国 (敵性国家、違いすぎる文化、など)・・・中共(存続している場合) > 北朝鮮(同前) > 韓国 > (ロシア)
(※現在の我が国を国策として敵対視しているのは、中華人民共和国と朝鮮半島(朝鮮民主主義人民共和国・大韓民国)だけ)
・重要度順 ~どんな影響だろうと、その大きさを考えれば~ (※赤字は負の影響)
1 中共・・・武力紛争あるいは日本侵略の可能性 /経済的関係 /在日中国人
2 北朝鮮・・・敵対行為 /武力紛争の可能性 /拉致日本人の未返還 /在日朝鮮人
3 台湾、④の国々・・・政治的、経済的連携による相互恩恵 /在日○○人
4 ロシア・・・油断ならないが… /世界のパワーバランス上無視できない存在(核戦力)(日米関係) /「北方領土」問題
5 韓国・・・日本敵対視 /在日韓国人 /竹島占拠
6 南洋諸島・・・親日の国々(島々)
したがって、もし私が中学日本史を書くのなら、上の順で記述量を配分する。
・「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」
友好国との貿易・交流が完全にとだえても国(民)は存続するが、敵対国から攻撃(武力戦、情報・文化戦、サイバー戦など)を受ければ、侵略や国家崩壊が起き、亡国の可能性がある。
~次回、日清戦争のころ~
<全リンク⇒1へ> <日朝関係(戦前) 152・153・154・155・156・157・158・159・160・161・162・163・164・165・166・167・168・169・170・171・172・173・174・175・176・177・178・179・180(この項完)>