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半藤一利 /昭和史〈戦後篇〉

2007年05月20日 23時17分32秒 | Books
 半藤一利といえば、私は20代の頃、映画絡みで「日本の一番長い日」で知り、その後しばらく経って「ノモンハンの夏」や「ソ連が満洲に侵攻した夏 」といった力作を愛読した覚えがあるし、「文藝春秋」での座談会などは常連でもあるので、この「昭和史」という本を知った時は、あの語り口で昭和史を俯瞰してくれたらさぞや読み応えがあるだろうと、ずいぶんと期待したものだけれど、実際に手にとってみると、これが執筆したものではなく、数人の関係者の前で講義のような形で語った内容を、文章として起こしたものであることがわかって少々落胆した。語り下ろしなどといえば聞こえはいいけれど、口述筆記じゃねぇかなどと思った訳だ。

 ところが、これの前巻にあたる「戦前編」を読んでみると、「日本の一番長い日」のような緻密さや豊富な情報量が書き込まれたようなものとは、もちろんタイプが全然違う読み物ではあるのだが、これはこれで非常におもしろく、わかりやすかったのである。なにしろ、私のような世代だと戦前の歴史というのは非常に解りにくく、何がどうやって2.26事件や軍部の暴走はどうして起こったのか、更には第二次大戦に至った経緯などなど、いろいろな本を読んではみるものの、いまひとつ実感として理解できないところがあったから、こういうわかりやすい形、まさによくできた先生の授業を聴いているような感じで読めたのが良かったのである。

 ちなみに、私が前巻を読んだのは、確か去年10月くらいで長期出張のさなかで、電車の中や出張先の宿舎で一気に読んでしまったが、そんな本であるのに、続きを読むのが半年もたってからだったのは、こちらの相対的な戦後の歴史への関心度の薄さがあるのかもしれない。ともあれ、こちらは終戦直後から高度成長期の終焉あたりまでを語っていて、戦後処理に冠して異様に詳細に語っているのが特徴だ。まぁ、今の日本の基礎となっている部分だし、著者の青春時代ということもあったのだろう。終戦直後から数ヶ月間の日本の変化を非常にリアルに語っているあたり読み物だ。また昭和30年代中盤あたりになってくると、自分が生まれた時期になるので、自分とオーバーラップして読めたのもまたおもしろい部分であった。という訳で、ここ数日ぼちぼち読んでいたのだが、本日出張先の電車の中でやはりあっという間に読了してしまった。

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