久遠の絃

-くおんのいと-
since 2003/9/1
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空青く

2007年03月11日 22時40分44秒 | 久遠
空青く冷たい風が吹き抜ける
流れ出す雲は 白い光に照らされて
大きく大きく 手を広げても抱えきれない空の下で
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あやふや

2007年03月11日 22時36分15秒 | ことばのうみ
 夜の風の中にタバコのけむりがとけていく。
 けむる空はゆっくりとした月が並び、整列された星が見える。
”こんな夜中にどこへ行くんですか? 今日はこんなにさむいのに”
 声をかけられてふりかえる。白い服を着た少女。
”今日はこんなに月が並んでるんだ。外に出ないわけにはいかないじゃないか”
 つぶやく男。
 いつもよりも暗く、いつもより多く、いつもよりなお明るい。まるであやふやな空が広がる。
”そうですね。今日の月は何か違うんですね”
 タバコのけむりが空を舞う。
 かわいた空気が、ぴんと張りつめて、すいこむ息は白くけむる。
”なんだかここでこうしていると、僕等もあやふやになってしまいそうだ。ほらもうタバコの火が消えそうになっている。君は、帰らなくてもいいの?”
 見上げた月は、どろどろととけはじめた。
 どろどろと、どろどろと。
”こんな月の日は帰らなくてもいいんです。いえ、たぶん帰れないのです”
 大きくなったあやふやな月が、ゆっくりととおくの街へと落ちていく。
”まさか・・・・・・”
”そうなんです。今日月は生まれ変わるのです。私たちのいた街を食らって”
 その街が光につつまれ、そこから大きな月がせり上がってきたのは、つぎの日の夜だった。

 いまでもこんな月を見ると思い出す。
 あの日出会った月の事を。月をやさしくつつみこむ白い服を着たあの少女の事を。



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