私が密かに2000年代最高の物語だと思っていた伊藤計劃のSF小説「虐殺器官」「ハーモニー」が来年アニメ映画になるらしい。これでメジャーになってしまうのはちょっと残念である。せっかくとっておきだったのに。
特に「ハーモニー」はSFを超えた文学的作品で、繊細な表現は「ライ麦畑」を彷彿とさせる傑作だ。
1作目虐殺器官で描かれるのは人類はなぜジェノサイドを行えるのか、という疑問。ここで物語の着想の基になっているのはルワンダ虐殺だと思われる。活字メディアやラジオが「ツチ族は敵だ」「やられる前に殺れ」というヘイトスピーチでフツ族を煽った結果がルワンダの大虐殺だ。ルワンダに限らず過去の大量殺戮はプロパガンダと一体だった。
更に2作目「ハーモニー」では個人の健康状態・行動が全て監視・管理された超福祉社会が描かれる。メディアに操られヘイトスピーチに煽られる人々。全体の安全を追い求めるあまり個人の自由を奪う社会。SFが現代社会の問題を描きその延長を予測し警告するのは定番だが、この夭折作家の伊藤計劃の描く未来は今の日本に当てはまり過ぎて怖い。
、絶対に子ども達に育てていきたい態度の1つだ。
(有楽町の空)
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