木下川解放子ども会が絵本「山の粥」(原作:川元祥一)を発刊した。
ぜひ、教材として活用したり、多くの子どもたちに読んでほしい絵本だ。
飢饉と年貢で飢餓に苦しむ農民に、被差別民が「山の粥」を内緒でふるまい飢餓を救ったというお話だ。「山の粥」とは、食べ物に困った殿様に「くすり」と称して鹿や猪の肉の献上を命じられた被差別民が、その残りの骨や内臓を煮込んで作ったスープだ。
被差別民の若者平介が、いつも自分たちを差別する農民に山の粥をふるまうことに「なんであんなヤツらを助けるんだい?」と藤べぇじいさんに聞く。じいさんは「差別されているオレたちだからこそ、命の大切さや人をいたわることの何であるかを知っているんじゃよ。だからこういう時は、助けるんじゃ。それがこの村でずーっとつづいてきた誇りというものなんじゃよ。」と応える。
このセリフは、木下川解放子ども会が原作を構成劇にするなかで練り上げられたものだ。
作画の渡辺つむぎさんは、震災で校舎が壊れてしまった仙台の東北朝鮮初中級学校の方々がふもとの避難所にキムチとごはんの炊き出しに奔走したこと―知事の補助金打ち切りや高校無償化からの排除など差別を受けながら―が作画のきっかけであり、まさに「山の粥」と言う。
前作「よみがえった黒べえ」(皮から革へ、ものを作り生み出してきた「村びと」の営みのすばらしさと「けがれ意識や差別のおろかしさ」を描く絵本。)とあわせて推薦する。
購入、お問い合わせは、FAX 03-3611-3419(解放同盟墨田支部)。
(キイチゴ)
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