東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

科学者の倫理

2014年02月28日 | インポート

Photo雨降れば
雨に放射能
雪積めば
雪にもありといふ
世をいかに
 この歌はフクシマの歌人のものではない。米国の水爆実験(1954年3月1日)の後に湯川秀樹さんが詠んだものだ。ビキニ環礁の実験により、マグロ漁の操業中の「第五福竜丸」の乗組員二十三人が「死の灰」を浴びた。日本は広島、長崎に続いて三たび被曝を経験した。島民は未だに故郷の島に帰ることはできていない。そして、28種類のサンゴが原水爆実験で絶滅した。負の遺産として世界遺産にも登録されている。その後この日をビキニデーとし、核兵器廃絶運動も高揚した。しかし、2011年3月11日、福島原発事故により四度の被曝を経験することになる。
 「原爆をつくった科学者たち」(岩波書店)には、戦時中、マンハッタン計画(原爆開発)に参加した科学者の回想がつづられている。そこには、巨額の資金を使い刺激的な先端研究ができた喜びと、世界初の核実験を成功させた興奮がつづられている。日本への原爆投下手順表を作った科学者は「当時の最大の心配は、手順表を実行した時の深刻な影響ではなかった」と語っている。
 ここに科学者の限界を見てはいけない、科学者には研究の結果が人類に及ぼす影響まで責任を持つ倫理と哲学が求められている。
 ビキニデーは、明日3月1日、60周年を迎える。
(精子発見の蘇鉄・小石川植物園)


危険な逆走

2014年02月27日 | インポート

Photo
 ニューヨークタイムスが「戦争と平和と法」と題した論説を20日に掲載した。
 論説は、冒頭で安倍首相の解釈改憲を暴挙と断じ、国家主義者である安倍氏は、憲法の平和主義を否定し、同盟国と協力して日本の領土外で攻撃的な活動を可能とするための法律を成立させたがっている。とした上で、

 憲法には「日本国民は…、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と記されている。日本がより広範な役割を果たす前に、憲法の修正がまず必要とされることを、歴代の政権は合意してきた。総理府の内閣法制局は、権力の乱用を防ぐため新しい法律の合憲性を監視する機関だが、これまでこの解釈に同意してきた。
 法制局に立場を反転させるよう圧力をかけるため、安倍氏は8月に通常の手続きを踏まず、法制局長官に部外者の小松一郎を指名した。小松は集団的自衛という考えに同調する外務省官僚であった。 安倍氏の選んだ専門家集団(安保法制懇)は、この問題に対する報告書を4月に発表し、安倍氏を後押しすると見られている。安倍氏は先の国会で、国民は次の選挙で彼に審判を下すこともできると暗に示したが、それは立憲主義の誤った見方である。安倍氏は当然、日本国憲法を修正する動きに出ることもできるはずである。そのための手続きが面倒すぎるとか、国民に受け入れられないといったことは、法の支配を無視する理由にはならない。
 最高裁は日本国憲法の平和主義的な条項について見解を示すことを長らく避けてきた。安倍氏がもし自らの見解を日本の国に押し付けることに固執するのなら、最高裁は安倍氏の解釈を否定して、どんな指導者でも個人の意思で憲法を書き替えることはできないことを明らかにすべきである。

 と結んでいる。実にまっとうな論説ではないか?日本の新聞社の論説委員は何をしているのだろう。
 その小松内閣法制局長官が26日、入院から復帰しての初国会答弁で、前述の安保法制懇の報告書が出たら、それを踏まえて全体的に、従来の憲法解釈そのままでよいのか、改める余地があるのかということを検討すると意欲を示した。
 一方、米議会調査局は、「安倍首相の歴史観は米国人の認識と衝突する危険性がある」と警戒感を露わにしている。
 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。(憲法前文)」を、安倍政権は明らかに逆走している。
  (寒紅梅・小石川植物園)


マインドコントロール

2014年02月26日 | インポート

新聞報道によると、安倍首相は「教育基本法の改正に長く手を付けなかったのは、マインドコントロールにかかっていたからだ。」と、国会審議の中で述べたらしい。このところ、「前のめり」な発言が目立っているが、ほんとうにこんな人が首相でいいんだろうか?

マインドコントロールというなら、戦前の「軍国主義教育」こそ、マインドコントロールの最たるものではないか?私たちの先輩の北村小夜さんは、青年部との対談の中で、「鬼畜米英」のポスターを描いた話をしてくれた。家の台所で、肉ひききを見た小夜さんは、アメリカとイギリスの兵隊を肉ひききにかけるという絵をポスターにして、意気揚々と先生に提出したそうだ。「いいポスターだ」と褒められることを期待しながら。10才をこえたばかりの少女に、そんな絵を描かせたのは紛れもなく「軍国主義教育」だろう。

おりしも、今日は2月26日。226事件の日である。いうまでもなく「昭和維新断行、尊皇討奸」を掲げた青年将校が起こしたクーデター未遂事件だ。未遂とはいえ、多くの政治家が殺害され、この事件以後、軍部の暴走が止まらなくなっていく。

今の日本に、また「軍靴の足音」が近づいているのだろうか?そんなことは、あってはならない。


子どもの幸福度から学校を考える

2014年02月24日 | インポート

Photo 先日、オランダに住む教え子からメールが届いた。オランダ人との間に生まれた子ども達のために日本語を学べる場を作ろうと運動しているという。
オランダではモンテッソリーやイエナプラン、ダルトン等の色々な教育方法が認められ、様々なメソッドや宗教の違う小規模校があり、両親と校長が面談し、学校の方針を聞いて、入学させるのだという。オランダ人の夫も自分で、ダルトンを選んで通ったという。
 公立私立のどちらでも親の負担はない。また、どの学校でも普通に蘭・英・仏・独等の言語を教えるので何カ国語もできるのは当たり前だという。かつて日本に多くの文明をもたらしたオランダは、小国ながら世界と交易し、貿易によって国を富ませた。それは、教育に対する大らかさ故に、柔軟な発想や協調性をもった国民が育ったからではないか。日本では、学力テスト、平均点の公表、教科書検定をより国策に合わせたものにするとか、きな臭い国定化が始まっているように感じる。能力や学力は、テストがもたらすものではない。教育効果は目先の点数ではなく、もっと巨視的に捉えるもの、何十年後かにどんな人間になっているかに表れる。「教え子を戦場に送るな」のスローガンを再び肝に銘じて流れに竿をさそう。(WEEKLY東京教組「プラザ」より)

 先日、リヒテルズ直子さんのオランダの教育を紹介した講演を紹介(2/4)したが、子どもの幸福度から学校を考えたときに日本は後進国と言わざるを得ない。私たち教職員の力量が問われる問題だ。
(ニュートンのリンゴの木・小石川植物園)


親の介護

2014年02月21日 | インポート

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 「行き場なく雑魚寝の老後」新聞の一面記事に老後を考えさせられた。義母は14年間の介護生活から昨年夏に解放され、のんびり一人暮らしを階下でしている。まだ呆けられない、老化は足からと、毎朝の散歩は欠かさないが、会話する機会は減っている。仕事で帰宅の遅い夫は、毎朝の会話を欠かさないように心がけている。父親とは折り合いが悪く、介護も母親に任せできた反省もあるようである。小学生までは毎日お世話になっていた孫たちも、年齢とともに生活時間帯が違ってきて、朝晩の挨拶で終わってしまう日もある。実家では、88歳と84歳の老父母が暮らしている。予定が空けば、毎月1回くらいの割りあいで金曜日の夜に新幹線に乗り、買い物や家事を済ませ日曜日に終電で帰宅するようにした。
 職場でも同世代の職員の話題は「親の介護」である。病気になった、介護が必要になった、仕事との両立など考えさせられることばかりである。
 どのタイミングで介護休暇をとるか悩んでいる人もいる。親の介護で早期退職をせざるを得なかった知人男性は、10年間母親の介護に費やしたが自分の老後を見てくれる身内はいないと寂しそうに語った。特別養護老人ホームや有料老人ホームを選択できる人ばかりではない。消費税が値上がりしたら、大きな負担になる。2025年には65歳以上が3割を超える。自分も仲間入りしている。(Weekly東京教組「プラザ」より)

 介護といえば、辛淑玉さんが「大人の女の流儀」という自著の中で、
「介護の鉄則」として、
 何よりも先に、家族以外の人に頼ること、だ。ヘルパーさんに頼む、親族に応援を頼む、福祉施設に入ってもらう、公共の助成金を使うなど、徹底的に調べて利用できるものは何でも使う。「自分の親の世話なのだから、できるところまでがんばって、疲れたら支援を頼もう」ではダメだ。先に、サポートの仕組みを作ること。一人で親を介護しようとすると、たしかに、お金はかからないけれど、かなりの時間と体力を使う。とても疲れる。その「介護疲れ」は必ず、親への愛情を奪っていく。  介護は人を孤立させ、人間性を奪うのだ。介護現場の虐待は、介護する人が追い詰められることから始まるといってもいい。
と喝破している。この潔さが介護で双方が追い詰められない秘訣だと思う。
 その本の中で、辛さんは「女というよりは男も含め人間(大人)として自立するためにはどうすべきか」を縦横無尽に論じている。例えば「ぶれない軸を持っている。」「『好きなこと』を仕事にしなくていい。」「自分の居場所は、自分で作る。」「母の愛に縛られない」など、どれも箴言である。
ウンナンロウバイ


井上ひさし「せりふ」集

2014年02月20日 | インポート

Photo 井上ひさしさんの数多くの戯曲の「せりふ」を選出した本だが、素晴らしい日本語のせりふが満載だ。心に残った「せりふ」を感じたままに4つほど紹介する。

 宮澤賢治の「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」の気分を彷彿とさせる「闇に咲く花」のせりふ。

花は黙って咲いている
人が見ていなくても平気だ。
人にほめられたからといって奢らない。

 戦争の靴音が刻々と迫っている今、戦さをはじめようとしている人に聴かせたい「花よりタンゴ」のせりふ。

誰一人として
「わたしが戦さをはじめました」って
云い張る人はいないよ。
みんな
「戦さになってしまって」とか、
「戦さが起ってしまって」とか
云ってるよ。

 絶望が深いほど希望は輝きを増す。人のせいにはできないが「組曲虐殺」のせりふは唸らせる。

絶望するには、
いい人が多すぎる。
希望を持つには、
悪いやつが多すぎる。

 沖縄も福島も、すべての地域が自治を求めている、その思いが「イーハトボの劇列車」のせりふとして語られている。

どんな村もそれぞれが
世界の中心になればいいのだわ。

(白梅「雪月花」・小石川植物園)


18年ぶりの再会

2014年02月19日 | インポート

18年ぶりに教え子と会った。小学校卒業から18年なので、彼らも「三十路」である。こちらは、定年まで、あと少しというところになっている。月日のたつのは、早いものだというのを実感する。大雪になったので、こじゃれたイタリアンに長靴で行くことになったが。

「今は、こんな仕事をしています」「今度出張で、海外に行きます」「2児の父になりました」などなどの近況報告に、「みんな立派になったなあ」としみじみ感じいる。幹事が、卒業アルバムの個人写真を、会場のスクリーンに映し出すという演出をして、当時との変化の大きさや、逆にたっぷり残った面影に、大盛り上がりだった。

一人は、「あのころはやる気がしなくて、ほとんど勉強しなかったけど、高校生になったらいろいろなことに興味がわいてきた」と言う。やっぱり本人がやる気になることが大事なのだ。こうした子どもたちとの出会いは、まさに一期一会、奇跡のようなものだ。その時々に、さまざまな苦労があろうとも、子どもと向き合い、その成長に寄り添うことができるのは、教職員という仕事の宝物である。

学校は、子どもたちの日々の暮らしと成長のための「サンクチュアリ」でもあるはずだ。しかし今学校は、当時のようなしなやかさとゆとりを失いつつあるように思う。教育が「政府の考えを子どもに注入するものだ」といった考えが、恐ろしい勢いで広まっていることを危惧せずにいられない。


栄養教諭免許取得研修

2014年02月17日 | インポート

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 都教委による栄養教諭免許取得研修がようやく実現しそうである。栄養職員の栄養教諭への全員任用替えを求め、東京教組・栄養職員部がこつこつと地道に運動を続けてきた成果であり、これがそのための第一歩だと思う。
 栄養教諭制度が始まるとき、文科省より3年にわたって免許取得のための任用研修予算が組まれた。各県で取得者が増えていく中、東京では取得2単位のみの取得に終わった。そのため、自費での取得となり、当初は休暇で受講せざるを得なかった。
 栄養教諭の任用替えが始まって5年が過ぎ、未だ46都道府県の中で一桁の任用率であるのは文科省の発表データの中でもピカイチである。任用数が少ないのもさることながら、都独自の「食育リーダー」の中心になれとその職務の過酷さに年々受験者が減っている。
 栄養職員・栄養教諭の職務である給食管理において、食材の放射性物質検査・食物アレルギーへの対応など仕事は増えていくことはあっても減ることはない。子どもたちの健康を守っていくためには決して疎かにできない大事な職務であり本務である。
 給食を実施しているすべての学校に食育の専門家である栄養職員を配置するためには学校に必置の「教諭」でなければと始めた栄養教諭であったはずだ。(WEEKLY東京教組「プラザ」より)

アテツマンサク


憲法をほどく

2014年02月14日 | インポート

Photo
 日本国憲法を米国の押しつけだから自主憲法を制定しようと主張する人びとがいる。確かに、GHQ(General Headquarters)のスタッフの英文を日本語に翻訳したものは多い。しかし、翻訳中に書き換えられたり、初めに日本語で書かれて英訳されたものもある。従って、日米の対話の結果生まれた双子であり、かつ、日本の国会で議論され採択された日本語版のみが拘束力を持つ憲法であると指摘するのはダグラス・スミスさん(政治学者)だ。
 この英文の日本国憲法をわかりやすい言葉で池田香代子さんが新訳した本、「やさしいことばで日本国憲法」(マガジンハウス・952円)は、是非、授業でも活用してほしいと思う本である。
 例えば9条は、こんな具合だ

わたしたちは、心からもとめます。
世界じゅうの国が、
正義と秩序をもとにした、
平和な関係になることを。
そのため、日本のわたしたちは、
戦争という国家の特別な権利を放棄します。
国と国との争いを解決するために、
武力で脅したり、それを使ったりしません。
これからは、ずっと。
この目的をまっとうするために、
陸軍、海軍、空軍そのほかの、
戦争で人を殺すための武器と、
そのために訓練された人びとの組織を
けっして持ちません。
戦争で人を殺すのは罪ではないという特権を
国にみとめません。

 交戦権(The right of belligerency)を「戦争で人を殺すのは罪ではないという特権」と訳しているところに戦争の本質がよく表現されている。
 池田さんは、「世界がもし100人の村だったら」で有名ですが、「100人の村」とジョン・レノンの「イマジン」のむこうに憲法を見たといっています。
Imagine all the people living life in peace(想像してごらん みんなが 平和に生きているって・イマジン)
have the right to live in peace(平和のうちに生存する権利・日本国憲法前文)

ミツマタ


日朝教育交流の集い

2014年02月13日 | インポート

P2110010 2月11日、朝鮮大学校で第40回日朝教育交流の集いが開催された。40年前、若かった朝鮮学校と日本学校の教師たちが続発する生徒たちの抗争を止めるために、まず出会い、理解することから始めようと開催したものだ。その第1回が、朝鮮大学校だった。旧知の、もう退職した朝鮮学校の校長から「私の娘は、いまこの大学で教員をしています。」と目を細める。隣の学長が「とても優秀な教員ですよ」と褒めると相好を崩す光景もあり、40年間継続してきた歴史の重みと誇りを感じた。
 朝鮮学校は開校以来、日本政府の差別政策が続き国連の人権委員会からも是正勧告が出されている。しかし、在日朝鮮人のウリハッキョ(私たちの学校)を守る心意気とたたかいによって各種学校として認可され、通学定期券の発行、インターハイなどへの出場、日本の大学への受験資格などを実現してきた。Jリーグの川崎フロンターレの得点王、ワールドカップでは朝鮮民主主義人民共和国の代表、今は韓国のKリーグで活躍している鄭大世(チョン・テセ)さんも、ここの卒業生である。北京オリンピック日本代表の李忠成さんも、朝鮮第九初級学校の卒業生だ。
P2110032
 日朝両国の政治的な緊張関係を理由に、高校授業料無償化の対象外にしたり、各自治体の朝鮮学校への補助金が打ち切られたりする事態が続いている。朝鮮高校の在校生が、理不尽な差別をただす裁判に立ち上がった。その裁判を支援する会も2月18日に発足する。ぜひ多くの皆さんに参加して欲しい。東京朝鮮高校生の裁判を支援する会結成大会
 おいしいモツ鍋をいただき交流を深めた日朝教育交流の集いから帰宅すると、フェースブックに友人から「子ども二人、朝鮮大学を卒業しました。イルボンサラムです。自由でそして頑強に成長しました。二人共女の子です。」と書き込みがあった。


知らなかったこと

2014年02月12日 | インポート

土曜日の大雪がまだあちこちに残っている。東京の積雪25センチは、1969年以来45年ぶりの大雪だったとのことだ。45年前の大雪の時は、小学生だったが、クラスみんなで昇降口(児童用玄関)の外の雪かきをしたことを、覚えている。

積雪の割には融けるのが早いように思うが、あちこちに名残の雪は残っているし、相変わらず寒い。小学生のころ、教室の暖房は、だるまストーブだった。その後、中学では、だるまストーブから、石油ストーブになり、高校では、新校舎にFF暖房機が入っていた。30数年前に、はじめに勤めた小学校は、FFではなく石油ストーブだったと記憶している。

どちらにしても、教室に暖房は入っていたのだが、先日ある会議で、「うちの市では、教室に暖房がないんです」と言われて、「そんなことが!」と思った。子どもたちと教職員は、厚着をして寒さをしのいでいるらしい。暖房のいらないであろう沖縄の話ではない。たしかに東京よりは南だが、天気情報ではけっこう雪も降る地方なのだ。2年ほど前に、その市に出張した時(1月)も、雪が舞っていて、東京よりも寒いと感じた。冷房は、地域によって違いがあるにしても、教室の暖房完備は、当たり前のことと思っていたら、そうではなかったのだ。これが、21世紀の日本の公教育の一断面なのである。

夏のPM2.5対策もあって、その市では、来年度には冷暖房の整備が始まるらしいのだが、教室環境でさえ、自治体の財政事情によって、こんなに差があるのかと思った。東京でも、冷房などの設置状況は、区市町村によって違いがあるようだ。また、普通教室ではない、特別教室は、冷房完備にはなっていないところが多い。以前勤めていた学校の屋上直下の図工室の夏の暑さは尋常でなかったが、冷房はなかった。それでも、暖房は完備していた。暖房がないというのは、ちょっと信じられないことだ。

この頃は、教育政策というと何かにつけて、学力向上という話になるが、学級の人数を含めて、教育環境の整備ということを、もっと着実に進めてほしいと思うのだが。


大雪の日の独立宣言

2014年02月10日 | インポート

Photo 2月8日、東京は45年ぶりに27cm積もる大雪になった。今から95年前の1919年も東京は30年ぶりの大雪に見舞われた。この日、朝鮮の3.1独立運動の導火線となった「2.8独立宣言」が、日本語と英語に訳された独立宣言文、決議文、民族大会召集請願書として日本の議員、政府要人、各国駐日大使、内外言論機関宛に郵送された。
 その地が在日本東京朝鮮YMCA(現在の在日本韓国YMCA)の講堂。東京教組から歩いて10分ほどのところにある。ここに、右の写真の「朝鮮独立宣言一九一九 二・八記念碑」がある。
 宣言文はソウルにも伝えられ、3.1独立運動を引き起こす導火線となった。この運動は、中国の5.4運動にも影響を与えた。独立宣言文は、次の言葉で結んでいる。

 わが民族は高度の文化をもってからすでに久しい。そしてまた半万年にわたる国家生活の経験をもっている。たとえ多年の専制政治の害毒と境遇の不幸がわが民族の今日を招いたものであるにせよ、今日より正義と自由とにもとづく民主主義的先進国の範に従い、新国家を建設するならば、わが建国以来の文化と正義と平和を愛好するわが民族は必ずや世界の平和と人類の文化にたいし貢献するであろう。ここにわが民族は日本および世界各国にたいして自決の機会を与えることを要求する。もしその要求が入れられなければ、わが民族はその生存のために自由な行動をとり、わが民族の独立を期成せんことをここに宣言する。

 東アジアの平和と日本の独立について考えさせられる記念碑だ。


ここまで来た放送支配

2014年02月07日 | インポート

Photo 安倍首相のお友達人事でNHKの会長になった籾井勝人(もみいかつと)氏が、就任会見で「従軍慰安婦の問題は、どこの国でもあったこと。」と発言し、閣僚からも「あり得ない発言、即刻辞任すべき」(1/26朝日朝刊)と報じられている。
 このあり得ない発言を撤回し、謝罪したばかり籾井氏が、今度は5日の参院予算委員会で、NHKのFM番組にレギュラー出演している音楽評論家のピーター・バラカン氏に対し、東京都知事選が終わるまでは原発問題に触れないよう要請していたことを明かした。と東京新聞が報じている。籾井氏はバラカン氏について「放送法は政治的に公平であること、意見が対立している問題にはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを定めている。都知事選では原発問題が争点の一つとなっており、期間中の番組はより公平性を期する必要性があり、いろいろ検討した結果、出演が取りやめられた」と述べた。
 原発問題を都知事選の争点からはずす動きは、多くのマスコミでも見られる。当のバラカン氏は先月下旬、都知事選が終わるまで原発の問題に触れないよう複数の放送局から求められていたと明らかにしていた。また、NHKラジオ第一放送で先月末、経済学の観点から脱原発について語ろうとした中北徹東洋大教授に発言をやめるよう求めたことについても籾井氏は、「選挙期間中でもあり、テーマの変更を求めた」と認めた。
 もう、辞めて戴かないとジャーナリズムとしてのNHK自体が壊れてしまう。
 あさって、2月9日は、東京都知事選挙。雪の予報もありますが、気をつけて投票に行こう!


温度差

2014年02月06日 | インポート

Photo 東京でも雪が降り、気温が一日で10度以上違う温度差に身体がついていかない、インフルエンザやノロウィルスなど感染症も学校を襲っていて子どもたちの健康が心配だ。
 温度差と言えば、沖縄と東京の温度差も気になる。気温ではなく、政治の温度差である。
 仲井眞沖縄県知事が辺野古の埋め立てを承認したが、地元の名護市長選挙は辺野古移設反対の稲嶺さんが当選。それでも自公政権は、辺野古移設を粛々と進める姿勢だ。しかし沖縄では、県議会が移設断念に加え知事辞職を決議。那覇市議会など8市町村議会も辺野古移設断念や知事辞職などを求める意見書や決議を可決している。また、公明党沖縄県本部は、「日米両政府は、「県内移設」を断念し、一日も早く普天間の危険性を除去し固定化を避け、辺野古移設案を見直すとともに、仲井眞知事にあっては、『県外移設』を求める県民の期待に応え、歴史に誇れる判断をしていただくよう強く要請する。」との提言を出している。
 元県議会議長で自民党県連顧問でもあった仲里利信さんは、「安倍政権のやり方は戦争まっしぐらだ。安倍政権は、新防衛大綱・中期防衛力整備で、沖縄を『安全保障上極めて重要な位置』とした。尖閣諸島をめぐって中国との対立に対処するため、県内の自衛隊基地の強化が持ち込まれた。5年計画で24兆6,400億円、水陸両用車52両、オスプレイ17機、兵員増強、その7~8割は沖縄に配備されるとみられる。
 辺野古を認めれば、沖縄は際限なく基地化される。米軍は、『沖縄が基地を認めたんだから』と解釈して、増強を止めることはできない。辺野古に基地を造ってしまうと米軍撤退は不可能。耐用年数200年。知事の承認で、菅官房長官は『日米同盟は向こう50年安泰だ』と述べた。沖縄は米軍の軍事植民地として放置された。主権もない、民主主義もない。今回の基地建設はなんとしても止めないといけない。」と述べている。
 この温度差は、私たちが何とかしなければならない。沖縄の暖かい春を東京に呼び込みたい。
ソシンロウバイ


青年部のアンケートから

2014年02月05日 | インポート

毎年京教組青年部では、青年教職員を対象に職場での悩みや問題点を浮き彫りにするためのアンケートを行っている。今年のアンケートの中で、印象深い回答があったので紹介する。

アンケートの質問その1は、「生きがいを持って働いていますか?」というものだが、その質問にに次のような回答があった。

「仕事は、生きがいではなく、やりがいをもってするものだと思います。仕事を生きがいにしてしまうと、それがうまくいかなくなった時に、心を病んだり、自ら命を絶ってしまうと思います。生きがいとは、家族と過ごすことだったり、仲間と語り合うことだったり、死ぬ前に一度やっておきたいと思うことではないでしょうか。」

考えさせられるこたえであった。仕事だけが「生きがい」であっては、さびしい人生になるだろうし、仕事をただ「食べていくための手段」だけにしては、1日の三分の一以上の時間が「苦役」にしかならないことになる。生きがいであるにしろ、やりがいであるにしろ、仕事への「意気込み」を持てる職場でなければならないことは言うまでもない。「ワークライフバランス」ということが言われて久しいが、現状はまだまだ程遠い。特に、さまざまな困難を抱えている青年層の声には、しっかりと耳を傾けていかねばならないと思った次第である。