東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

専制と隷従、圧迫と偏狭の道

2014年11月28日 | 日記

 柴田道子さんの学童疎開の回想

 私たちの部屋は学寮中の模範だった。規律を守り、あまりさわがず、先生を困らせることがない、その上よく勉強する班、先生はまったくそれ以上の何を求めよう。だが先生の目がとどかないところで恐ろしいことが起っていた。……〔班長の〕A子は、自分の気に入らぬことが起った時、先生からおこごとをちょうだいした時、よくこの仲間はずれを行なった。B子は誰先生にひいきされているからとか、C子のところには家からよく手紙が来すぎるとか、たわいない理由から、班中の子どもに命令して、B子をぶつとか、その日はC子と口を聞かないことなどのきびしい制裁をするのだった。この仲間はずれは順番のように廻って来る。被告の子どもは、一時もはやく仲間はずれから解放されたくてじっとがまんして班長のゆるしを待つのだ。反撥したり、友に同情したりすると、すぐ仲間はずれが自分のところに廻って来る。……
 そのうち子どもたちは、班長の気をそこねないように色目を使うことを覚えた。東京から送られて来たお菓子を班長には多く与えるなどの形をとって現われた。……郷愁にかりたてられ、お手洗いに入って泣き、あるいは夜布団の中で声を殺して泣いたものだ。

 このいじめの構造は、今の学校にも共通する構造がありはしないか。
 この話を紹介している小熊英二さん(〈民主〉と〈愛国〉、新曜社)は、「こうした子どもたちの状況は、大人社会の縮図だった。教師から抑圧を受けた班長が、その鬱積を班員にむかって爆発させるという現象は、社会全体が軍隊型の組織に再編されていた当時の日本では、いたるところで発生していた。
 この現象もまた、戦後に丸山真男によって、上位から下位への『抑圧移譲』という言葉で表現されることになる。」
と述べている。
 新たな戦前の今、「抑圧移譲」=イジメの構造はパワハラなどの蔓延として表れている。しかし、抑圧された状況にあっても教職員は子どもを抑圧してはならない。それは、未来を担う子どもたちを専制と隷従、圧迫と偏狭の道に追い込み、社会の大損失になるからでもある。


60万回のトライ

2014年11月26日 | 日記

 先日,映画『60万回のトライ』を見た。大阪朝鮮高級学校のラグビー部の活動をドキュメンタリーでまとめたものである。映画のテーマ上,在日朝鮮人の問題も端々にでてくるが,それ以上にラグビー部のドキュメンタリー映画としても充実している内容だった。
 上映会のあと,監督の朴思柔さんと朴敦史さんのトークがあり,現在の在日朝鮮人の問題が韓国であまり認識されていない。という事実を知らされて,驚くと同時に自分の勉強不足を反省した。
 日本の朝鮮学校は非常に家庭的で、大阪朝鮮高級学校のラグビー部も,部員やその保護者,学校全体が家庭的で,みんなが応援していることが,このラグビー部の強さなのだ。と映画を見ながら実感した。特に花園の全国大会のシーンでは,京都の在日朝鮮人の団体が大挙してスタンドを埋め大阪朝鮮高級学校のラグビー部を応援するシーンから在日朝鮮人社会の連帯の強さを認識した。結果,眼前で全国制覇をのがした大阪朝鮮高級学校のラグビー部ではあるが2019年に日本で開催されるワールドカップに向けて,部員のうち数名が現在も日本代表として活躍している。その意味で大阪朝鮮高級学校のラグビー部から元気をもらいつつ,また,楽しみが一つふえた。


壊憲総選挙

2014年11月21日 | 日記

 本日、衆議院は解散され、12月2日告示、14日投票で衆議院議員選挙が行われる。消費税増税先送りとアベノミクスの是非が争点のように報道されているが、実は安倍政権がこの2年間で行ってきた解釈壊憲をめぐる選挙ではないか。
 安倍政権は、7月1日集団的自衛権行使の容認の閣議決定による憲法解釈の変更を行った。これは、憲法9条を行政が壊すもので、明らかに立憲主義に反する。10月8日に公表された、日米防衛協力のための指針の見直し「中間まとめ」では、これまで防衛協力を「(1)平時(2)周辺事態(3)日本への武力攻撃事態」に分類していたが「平時から緊急事態まで、切れ目ない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐための措置を実施する」と分類を撤廃し、平時から緊急事態まで幅広く米軍への支援を行うことを可能にした。これは「集団的自衛権行使容認」を、法整備をしないまま実行するもので、日米協議が憲法を上回る壊憲緊急事態だ。
 東京教組は、憲法学習月間として、憲法学習会にとりくみ、集団的自衛権行使容認の既成事実化である「日米ガイドライン」の再改定に反対し、憲法改悪を許さないとりくみを進める。これは、憲法第九十九条 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」に基づくものである。
 ちなみに、衆議院解散・総選挙は、憲法第七条 「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。三、衆議院を解散すること。四、国会議員の総選挙の施行を公示すること。」に基づく。今回の解散は、憲法六九条「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」にはあたらない。憲法六九条よる解散でなくても、内閣に解散権(裁量的解散)があるかどうかは学説が分かれている。


皆既月食

2014年11月19日 | 日記

先月のことだが、写真のような、地球と月の模型を作ってみた。地球の模型は、直径12.5cm。実際の約1億分の一の模型だ。

なぜこんな模型を作ったかといえば、10月8日に皆既月食があったからだ。月食は、地球の影に月が入ることで起こり、日食と違って、観察できる頻度も高い。今回は、夕方6時過ぎに部分色が始まり、7時半ころに皆既を迎えるという、観察にはうってつけの条件だった。これを逃す手はないと、校庭での観察会を企画し、子どもたちの参加を募った。もちろん、小学生なので安全を配慮し、保護者同伴を条件にした。

 当日は、いかに皆既になる時間帯の条件が良くても、曇ってしまってはどうにもならない。昼前から空の様子を気にしていた。午後には、雲が広がり「ダメかな?」と思ったのだが、夕方にかけて東の空の雲が切れ、5時過ぎには、満月が顔を出した。出張先から学校へ戻って、資料や観察カードを受付用の机に出すやら、観察用のスコープを用意するやら、準備をして参加者の到着を待った。参加者は、親子合わせて60人近くになった。月は、左下の方から徐々に欠けていくが、皆既になるにつれて、反影に照らされて赤銅色になる。子どもにとっては、そうした理論よりも、月をじっくりと見たという経験こそが、大事だと思う。


小三治のまくら

2014年11月17日 | 日記

 先日、柳家小三治の独演会の切符が手に入り久しぶりに落語を聞いた。
 郭話の「付け馬」と気の長い、短い2人の友達のやり取りの「長短」をじっくり聞かせてもらった。
 小三治と言えば「まくら」が有名だが、その「まくら」で小三治が子どもの頃、銭湯で会う棺桶屋のおじさんに棺桶のウンチクを聞かされ、未だに何の役にも立たないが、石けんについた毛をキレイにつるんととる方法は役に立った。ウソじゃない、試してくださいと言うのがあった。これが、お尻で石けんに付いた毛を拭き取るという荒技。
 半信半疑で帰宅後、風呂で試してみたが本当だった。「いやー、むきたての卵みたいにキレイに毛がとれるんですよ」と言った小三治の表情を思い出し、風呂場でにんまり。人間国宝の話を2度楽しませてもらった。
 お先がよろしいようで…


フリーハンド解散

2014年11月14日 | 日記

 どん底のアベノミクスを救うための日銀の「金融緩和」が株高というバブルをつくり、バブル崩壊のツケは国民が負うことは前述した。
 その崩壊前に解散・総選挙でフリーハンドを得ようという企みが進んでいる。
 しかし、それだけでは終らない。欧米を中心とする現代の資本主義そのものの危機を近代経済学者の水野和夫さんが「資本主義の終焉と歴史の危機(集英社新書)」で明らかにしている。

 彼は、中心と周辺によって成立する資本主義が、地理的・物的空間(実物投資空間)からも電子・金融空間(グローバル金融市場)からも利潤をあげられなくなったことを利子率の低下という現象により歴史的に説明する。長い16世紀の利子率の低下を空間革命(海へ、大航海時代)によって存えた資本主義は、今、グローバリズムによっても乗り超えることができず、バブルの繰り返しによって破綻を速めている。それは、西欧の終焉でもある。中国バブル崩壊というハードランディングでなく、定常状態を維持するソフトランディングができる条件はすでに資本主義がいきづまった日本にあるという。
 バブルのツケは、公的資金投入という国民(貧者)によって購われる。アベノミクスは、金融緩和=資産バブルと雇用崩壊。積極的な財政出動=雇用なき経済成長(株主配当優先で、過剰設備を雇用者報酬で賄う)を産み出し、その危機を速めている。
 富の蒐集先を失った資本主義は電子・金融空間(金融市場)をつくり、未来(子孫)からの収奪に及んでいる可能性が大きい。それは、原発、環境破壊も同様である。
 国債とは、利潤を生むものではなく、日本株式会社の会員権への出資と考え、日本は脱成長という成長をめざすべきとする発想の転換も提言している。
 資本主義の終焉を歴史的、経済学的に立証し、人類の歴史の危機を警鐘を鳴らす小冊子だった。


ハロウィーン株高

2014年11月07日 | 日記

 10月31日、街に妖怪が繰り出すハロウィーンの昼下がり、東京駅八重洲口の証券会社の電光掲示板を報道陣が取り囲んでいるところを通りかかった。
 世界中の株価高をとらえようとしている様子。
 「だから、どうしたってんだ」と通り過ぎるサラリーマン。日銀による「追加金融緩和」が発表される直後だったようだが、何たる予定調和の取材。
 どん底のアベノミクスを救うための劇薬「金融緩和』のつもりだろうが、日本経済にその毒が回ってしまう事は目に見えている。
 金融の独立性を失い、安倍政権の政策に追随するだけの日銀が、バブルを演出し、必ず崩壊するバブルのツケは国民が負うという近未来がそこまできている。私たちの年金の財源までリスクの高い株式投資につぎ込もうとしている無茶ぶりである。
 しかし、株高も円安も、日本経済の回復にはつながらないことは、すでに実証されている。アベノミクスの3本の矢は、すでに刀折れ矢尽きる状態。早くソフトランディングをしないと墜落してしまうのにエンジンふかしてどうすると危惧する。


アベノミクスと女性の働き方②

2014年11月05日 | 日記

アベノミクスの問題点

 

竹信さんは「安倍首相は企業が労働力を安くあげられることしか考えていない」と言います。

“限定正社員”というのは、男性労働者にまで低賃金コースを作ったということです。

そして「家事・育児・介護は女性がやってきたことだから低賃金でかまわない」

という考えのもと、外国人家政婦や介護実習生を雇い入れて、

家事・福祉労働を女性自身に買わせる仕組みを作ろうとしているのです。 

働き手の貧困化を男女が稼ぐことで乗り切らせようという方向付けは、

家事・福祉労働の公的支援を放棄するという政策です。

また、低賃金の非正規雇用を増やすということは、

個々の購買力や貯金率を低下させるということでもあります。

一人一人が幸福感を味わえるような、理想的な国のかたちからは、

日本は今最も遠いところにあると言えるでしょう。

 

組合の女性参画率アップを!

 

セミナーでは、他単組のとりくみについて学び合うグループ討議もありました。

そこで分かったことは、女性参画の進んでいる単組は、仕事の効率化と時短が実践され、

それによってさらに女性参画が進むという良い循環を生んでいるということでした。

女性の参画が進むことの長所が見えてきます。

女性デーのときに聴いた資生堂の管理職だった方の講演では、

女性の活躍度の高い企業は働き方を見直し大胆な工夫をし始めるので、

生産性が向上しているというお話もありました。

女性が働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場であり、

気持ちよく満足感を得られる職場と言えるでしょう。

 

私たちの組合も、誰もが参加しやすく、より大きな満足感を得られるようにするために、

女性参画率を上げていきたいところです。


アベノミクスと女性の働き方①

2014年11月04日 | 日記

9月27・28日、日教組の女性参画推進セミナーが開かれました。

 

日本はジェンダーギャップ指数(GGI)が非常に低く、136カ国中105位です。

これは経済や政治の分野において女性の参画率がとても低いことを示しています。

 

セミナーでは、ジャーナリストで和光大学教授の竹信三恵子さんのお話をお聞きしました。

テーマは『アベノミクスと女性の働き方』でした。

 

貧困者の57%が女性です。そして働く女性の56%が非正規雇用です。

日本の貧困問題は女性の貧困問題であり、大量の非正規雇用が貧困を生んでいることは言うまでもありません。

日本では、男性と同じレベルで働くことができ、長時間働けて転勤もできる女性でなければ、

男性と同じくらいの収入を得ることができません。

「家事・育児・介護は女性の仕事」という固定的性別役割分担意識があるため、

女性は低賃金でも非正規でも仕方がないという考えなのです。

そこには長時間労働を是とし、家事労働を蔑視してきた日本特有の労働観があります。

 

では、GGIの高い国では、人々はどのように働いているのでしょう。

その働き方を見てみると、目につくのは男女が同じ労働時間であることです。

日本に比べて男性が早く帰るということは、男性が家事や育児、介護ができるということ。

家事労働と両立できる時間が標準労働時間である、と考えているのです。

家事労働を労働と認めていない日本の労働観を変えない限り、女性参画への道のりは険しいと言えます。 

 

 貧困ライン以下にある女性の割合は、勤労世代の単身女性が32%、65才以上は52%、

シングルマザーは57%です。

 ※貧困ライン=2012年は年収122万円未満。等価可処分所得の中央値の半分。